伝説のローカル番組
水曜どうでしょう
『水曜どうでしょう』とは
『水曜どうでしょう(How do you like wednesday?)』は、北海道テレビ(HTB)制作のバラエティ深夜番組。
1996年10月10日(10月9日深夜)に放送を開始。
レギュラー出演者の"ミスター"こと鈴井貴之氏と"すずむし"の異名を持つ大泉洋氏、ロケーション同行ディレクターの"ひげ"こと藤村忠寿氏と"うれしー"こと嬉野雅道氏の4人(ゲストが加わり出演人数が増えることがある)が過酷な旅を行い、その模様を放送する。
番組開始当初は、局内外から「低俗番組」の烙印を押され打ち切りとなった前身番組『モザイクな夜V3』の後、半年間のつなぎ番組の予定で、会社からは全く期待されていなかった。
しかし、半年の間に人気が出て番組が続行されることとなった経緯がある。
放送開始当時は固定の出演者・企画を設定せず、前身番組『モザイクな夜V3』の延長線上として様々な企画を行っていた。
しかし、その中の一つである「鈴井・大泉による旅メインの企画」が人気となったことで、1997年後半からは放送する企画のほとんどが旅企画となり、現在の出演者・ディレクターがひたすら会話を繰り広げていくスタイルとなった。
1999年12月8日の放送では深夜23時の放送にも関わらず、レギュラー放送時代の最高視聴率となる18.6%を叩き出し、年末にはゴールデンタイムでのスペシャル番組も放送された。
番組開始当初から「低予算」「低姿勢」「低カロリー」のいわゆる「3低」をモットーにしている。
初期は数回分の制作予算を使って、日本国内での企画が多かった。
しかし、中期から後期になると数か月分の制作予算を一気に使い、日本国外への旅がメインとなる。
2002年9月25日にレギュラー放送を終了。
その際に「今後、一生続けられるペースで『水曜どうでしょう』をやっていく」と宣言。
レギュラー放送終了後は、不定期での新作放送や、過去に放送された企画の再放送・DVD化が行われている。
また、テレビ放送以外の形でファンを楽しませることを目的として、『どうでしょう本』の制作や『水曜天幕團』による演劇公演など、さまざまな番組関連企画が行われている。
レギュラー放送が終了した2002年9月以降は、再放送の『どうでしょうリターンズ』・『水曜どうでしょうClassic』・『水曜どうでしょうプレミア』が全国各地で放送されており、2007年には全国47都道府県すべてでの放送を達成した。
現在も数年に1回のペースで『水曜どうでしょう』自体の新作が撮影・作成されており、こちらも北海道での本放送開始を皮切りに順次全国各地で放送されている。
また、番組を再構成・再編集したDVD『水曜どうでしょうDVD全集』も発売されている。
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特殊な旅番組
第1回に放送された「東京でのアンルイスへのインタビュー企画」の撮影が終わった時、「せっかく東京に来たのにそのまま帰ってはもったいない」と、鈴井氏が「サイコロの旅」(サイコロの出た目で次の行き先と手段を決定し、東京から北海道まで帰る)を企画した。
これが実質的に『水曜どうでしょう』の始まりとなり、これをきっかけとして「特殊な旅番組」というスタンスが生まれた。
レギュラー放送後半になると、出演者を撮影せずに風景ばかり撮影することが多くなる。
これは、嬉野氏がカメラを回したまま寝てしまい、出演陣の会話をBGMにただただ車窓からの風景が撮れていた事があり、それを藤村Dが「これおもしろい」「意外とこっちのほうがいい」と多くカットに採用したことがきっかけとなっている。
これについては、嬉野氏曰く「風景のなか声がしてくる方が緊張感なく見られる」とのことで、大泉氏も「車のなかでカメラを向けてほしくない、話しにくい」と語っている。
旅番組の要素が盛り込まれているものの、低予算を逆手にとり、移動には「深夜バス」やレンタカー、鉄道を多く利用。
道中に繰り広げられるタレントとディレクターのケンカ、罵り合い、座席や料理をめぐる醜い争い、トークなどをそのまま放送したところ、口コミなどで「面白い番組」という噂が広がっていった。
愚痴や罵り合いは主に企画の詰めの甘さ(無さ?)に起因しており、鈴井氏や大泉氏の説教、インチキ(やらせ)を計画・実行までの様子もそのまま「ネタ」として放送する。
観光の要素は一部に含むが、食事や買い物にクローズアップされることはほとんどない。
下ネタを含むトークも例外はあるものの、基本的にはカットされている。
藤村D曰く、レギュラー放送当時に放送されていた『進ぬ!電波少年』(日本テレビ)の手法を参考にした、という。
旅という名の拉致監禁(笑)?
常に行き先を知らされない大泉洋
基本的に番組の企画会議は、藤村・嬉野両ディレクターと企画も兼ねる鈴井氏の「首脳陣」3人で行われている。
一方、大泉氏は参加を許されていないばかりか、会議の内容・結果についても十分に伝えられない。
このため、大泉氏はほぼ毎回、ロケ初日に行き先及び企画内容を初めて知る事になる。
企画概要を知った大泉氏の驚いた顔とリアクションは、番組の見所の一つになっている。
レギュラー放送当時、大泉氏のパスポートは北海道テレビへ「局預かり」となっていたため、大泉にとってはロケのスケジュール(ロケ開始日や終了日など)しか判断材料がなく、「決め打ち」と称して荷物を用意していた。
しかし、その決め打ちは裏目に出る事が多く、代表的な例として、「北極圏突入 〜アラスカ半島620マイル〜」では、マントを羽織っただけの上半身裸に海パン姿で旅立ち、「ヨーロッパ・リベンジ」では、北極圏を越えるノルウェーで、最後まで短パンにTシャツで旅をした。
視聴者も大泉氏と同じく、企画発表で全貌を知る事になるため、番組公式ウェブサイトでは新作を遅れて放送する地域を考慮しネタバレに慎重な態度を示している。
実際に、2006年新作で行った枠撮りでは、観衆にネタバレ防止に関して釘を刺しているほか、2011年新作で行ったインターネット配信では、視聴開始前に企画名がバレてしまうことを嬉野氏が報告し、企画名を伏せるように変更した。
ひたすらアカプルコにこだわり続けた大泉洋
仮にも旅番組を名乗っているにもかかわらず、何も知らない大泉氏は行き先をいつもアカプルコと予想する。
どうしても行ってみたかったのかなww
そんな洋ちゃんだが、さり気なくどうでしょう愛を叫んだ。
それが2021年末の紅白歌合戦という大舞台。
コロナ禍が終息したなら旅行に行きたいという趣旨の会話の中で、「何処に行きたい?」と聞かれた洋ちゃん。
すかさず「アカプルコ!」と答えていた。
どうでしょうファンは歓喜したのではないだろうか。
いや、どうでしょうファンならきっと笑っただろうな。
どうでしょう班がアカプルコへ旅立ったことは、残念ながら今のところない。
洋ちゃんの長年の悲願であるアカプルコへ、いつか『水曜どうでしょう』本編で旅立つことを期待したい。
しかしどうでしょう首脳陣が、トラブルの少なそうなリゾート都市を目的地に選ぶとは、決して思えないがな(爆笑)
アカプルコ
https://goo.gl/maps/QzGtKi4sz3bPQnGK8
アカプルコは太平洋に面したメキシコのビーチリゾート都市です。
大きな湾の沿岸には高層ビルが立ち並び、後ろにはシエラ マドル デル シュル山脈がそびえています。
この街は 1950~60 年代にかけて、ジェットセットと呼ばれるジェット機で豪遊する富裕層によって有名になり、エネルギッシュなナイトスポット、ビーチ、ゴルフで知られています。
この街を象徴するラケブラダの断崖では、高さ 40 m の崖の上から小さな海の入り江に飛び込むプロダイバーの姿が毎日のように見られます。 ― Google
おバカぶりとイジられっぷりが『どうでしょう』での二人の真骨頂
今では渋い役でドラマや映画に引っ張りだこの安田顕氏。
どうでしょう班以外では、最も出演回数が多い準レギュラー的存在だた。
レギュラー最終回でのエンディングでは、鈴井氏・大泉氏と同じ扱いを受けているほどだ。
しかし顔出しの機会は少ない。
旅企画などに登場する際は、HTBのマスコットキャラクター・onちゃんのスーツアクターとして登場することが多かった。
その際、紹介テロップは「安田さん onちゃん」の表記になり、安田自身も「onちゃん」と呼ばれている。
名前すら呼んでもらえないほど、ぞんざいな扱いを受けていた。
にもかかわらず、『水曜どうでしょう』で「シェフ大泉 夏野菜スペシャル」を始め、「シェフ大泉 クリスマスパーティー」や「対決列島」など、安田氏が参加した企画はいずれも番組内で人気が高い。
安田さん onちゃんはHTBのマスコットにも関わらず、大泉氏や・藤村Dから時々「on」と呼び捨てにされる。
安田氏がonちゃんに入るようになってからは、大泉氏から殴る蹴るの暴力行為(?)を受けたり、更には鈴井氏から蹴られることもあった。
onちゃんが大泉氏に反撃して殴りかかったこともあるものの、ほとんどの場面で大泉に返り討ちに遭っている。
今の俳優・安田顕氏の姿しか知らない方にとっては、『水曜どうでしょう』に出演していた頃の安田顕氏の姿はなかなか衝撃的にうつるだろう。
今やドラマや映画に引っ張りだこの大泉洋氏と安田顕氏だが、『水曜どうでしょう』では正直、おバカキャラだ。
洋ちゃんが何故、"すずむし"と呼ばれているか?
それは、"ひげ"こと藤村Dにすずむし程度の知能だと揶揄されたからだ。
今ならやれパワハラだモラハラだと騒ぎ立てられるかもしれないが、『水曜どうでしょう』では当たり前の光景だった。
安田顕氏に関しても同様だ。
鼻から牛乳を吹き出す安田顕氏の姿なんて、どうでしょうでしか見れない。
あまりにバカすぎるからとりあえず勉強させてみるが、結局バカはバカのまま。
結局は洋ちゃんがとばっちりをうけて、四国八十八ヵ所・お遍路のルートをわずかな日程ですべてまわり切らなければいけなくなるなど、とにかく無茶苦茶やっていたのが『水曜どうでしょう』だった。
伝説のローカル番組『水曜どうでしょう』の功績
今どきのコンプライアンスに抵触しまくっている『水曜どうでしょう』だが、全国のローカル番組に与えた影響は大きかった。
何せ低予算でもできてしまう番組構成だ。
地方局はこぞって、まだメジャーになりきっていないタレントや芸人を旅へと向かわせた。
現在でも『水曜どうでしょう』の影響を受けたと思われる番組が、いくつか存在する。
テレビ東京の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』や、テレビ西日本の『ゴリパラ見聞録』などは、『水曜どうでしょう』感を強く感じる。
まぁ、どちらも『水曜どうでしょう』より断然しっかり制作されているのだが(笑)
しかしローカル番組に、これほどまでに多大な影響を与えた『水曜どうでしょう』の功績は偉大だ。
『水曜どうでしょう』を伝説のローカル番組と呼んでも、決して大袈裟な表現ではないはずだ。