水曜どうでしょう×TEAM NACSのドラマがDVD化
フィクションでありながら歴史の中で生まれたもうひとつの旅
鈴井貴之氏と大泉洋氏らが出演するバラエティ番組『水曜どうでしょう』(1996年~、HTB)の第33弾DVD&Blu-ray『四国R-14』が、2023年4月26日(水)に発売。
2月1日(水)から予約受付が開始される。
『四国R-14』とは
『四国R-14』は、北海道テレビ放送(HTB)制作のテレビドラマ。
2000年11月29日から2000年12月20日に放送された。
『水曜どうでしょう』の企画として2000年春に放送された「四国八十八ヶ所II」において、実際に発生した怪奇現象を元に製作された怪奇ドラマ。
『どうでしょう』のメイン出演者である大泉洋氏が所属する演劇グループ「TEAM NACS」とのコラボレーションで制作された。
なお、タイトルの “R-14” とは、「当該の怪奇現象を撮影したロケ14本目(R=Roll、14=本数)のテープ」のことを指す。
「四国八十八ヵ所II」とは
前回「四国八十八ヵ所」(放送時のタイトルは「四国八十八ヵ所完全巡拝」)のスケジュールが過密だったことを受け、行程が1日増の4泊5日となった。
この回のみ巡礼が春先に行われており、再度ロープウェイの乗車を逃した66番・雲辺寺、うどん屋へ立ち寄った影響で飛行機の時間が迫りパスをした88番・大窪寺を除いて巡拝を行った。
使用したレンタカーはトヨタ・プリウスだが、44番・大宝寺から46番・浄瑠璃寺へ向かう途中、ショートカットで通った山道で左後輪が脱輪しパンクするアクシデントにも見舞われている。
また、前回のロケで大泉が体調不良に陥った反省を踏まえ、今回はD陣から大泉のために「魔除け」の数珠を購入していたが、38番・金剛福寺の前後で紛失している。
5日目の午前8時半時点で、前年の経験から高松市街は通勤ラッシュにより渋滞が起こる事を知っていたため、84 - 88番にかけては大外回りのルートに変更し行く順番を変えた。
83番から87番→86番→84番→85番→88番と巡拝し、昼12時50分に高松空港から出る札幌便に乗ることを目指した(実際は渋滞や踏切にも引っかかりルート変更は失敗)。
また、「この旅最大の楽しみ」として85番八栗寺の麓にあるうどん屋「山田屋のざるぶっかけうどんを食べる」という目的があった。
実は前年も同じ物を食べており、山田屋の10時開店と同時に入店し88番まで回って飛行機に間に合った経験があった。
しかし八栗寺に到着したのは午前10時で、20分おきに出るケーブルカーに乗らないと行けない。
そのため10時10分ではなく10時30分のケーブルカーに乗るために先に山田屋へ行きうどんを食べることを選んだが、結果として88番大窪寺には行けず標識の前で撮影するにとどまった。
ロケ中のアクシデントがひとつの特徴となっているこの番組で、“インパクトのあるアクシデント” が多発した回のひとつに挙げられる。
それを象徴するものとして、ロケ4日目の深夜に巡拝した79番・天皇寺高照院で「ビデオカメラが異常な音を発して停止し、撮影したはずの映像が記録されなかった」という現象が起きた(境内で撮影した写真は存在し、放送もされている)。
車内でのカメラテスト後に再び撮影を開始したが、帰札後のチェックで「映像がデジタルノイズで大きく乱れ、音声もほとんど録音されていない」ことが判明。
さらに撮影用のバッテリーライトが消え(これは単なるバッテリー切れによるもの)、車のエアコンが故障する(設定温度よりも冷たい風しか出ない)事態も立て続けに発生し、その事件を元にドラマ『四国R-14』が制作、同年の秋に放送された。
その後、「原付西日本制覇」のロケ中の湯布院温泉の宿で、嬉野Dから天皇寺高照院で起こったことの “真実” が藤村Dに伝えられた。
それは、最初にカメラが異常停止した時、「撮影したはずの映像が記録されていなかった」としていたが、それは嬉野Dの嘘であり、実際には映像が記録されていたということだった。
しかし嬉野Dは、一度車内に戻って確認をした際にその映像を見て、「誰にも見せちゃいけない」と感じてすぐに消去(撮影部分を上書き)してしまった。
なお、映像の内容は当初大泉氏や視聴者には伝えられていなかったが、代わりに安田氏が「対決列島」のロケ中に詳細を聞き、後にトークショーで大泉氏に伝えられた。
それによると、問題の映像の中で大泉氏の足から先が消えていたという。
その後、DVD第19弾『四国八十八ヵ所II』第1夜の副音声において、嬉野Dから本当は映像が記録されていたが確認したところ、大泉氏の映っている映像全体が「カメラのモニターの一番下から、毛糸で編んだセーターをほどいていくように、映像の走査線が一本ずつ無くなっていって、最終的に全部消えた」という真相が語られ、第4夜の副音声において大泉本人にも明かされた。
水曜どうでしょう 第19弾 試験に出るどうでしょう 石川県・富山県/四国八十八ヵ所Ⅱ
罰当たり企画「四国八十八ヵ所」(笑)
『四国R-14』の元ネタとなった企画「四国八十八ヵ所」は、3泊4日ないし4泊5日でお遍路の旅を完走するという無茶苦茶企画。
通常なら歩き遍路の場合、早い人で30日、遅い人で60日、一般的な日数の目安は、大体40〜50日となっている。
それをたった4〜5日でまわろうというのだから気が狂っている。
おまけにこの企画では『どうでしょう』お約束の途中リタイアが、何故か簡単には認められない。
おかげで毎日深夜まで寺をまわり続ける、ある種の苦行となっている。
当然、悠長に参拝している時間などない。
山門ではおかしなポーズで撮影しまくり。
真面目に巡礼しているお遍路さんからしてみれば、罰当たり極まりない企画なのである。
そこへきて『四国R-14』で取り上げられたアクシデントである。
ビビるのも致し方ない。
「四国八十八ヵ所」は何回か決行された無茶苦茶企画だが、この旅に出るたびに大泉洋氏は体調不良を訴えている。
超過密スケジュールのせいなのか、はたまた…。
でも笑えてしまう企画なんだよなぁ。
TEAM NACSが5人そろって本格的にテレビに初登場した作品
初回放送から23年の時を経てディスク化される『四国R-14』は、今やテレビで見ない日はないほどの活躍を見せるTEAM NACS(森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真※敬称略)が5人そろって本格的にテレビに、しかもバラエティ番組に初登場した記念碑的な作品。
放送当時ドラマを視聴していたのはもちろん『水曜どうでしょう』の熱狂的なファンなどであったが、そのドラマ内容は当番組のおふざけなイメージを完全に覆すホラー作品であったことから、予想以上の反響を生み出し、「予想していた以上に怖すぎて、見られない」「怖くて観られない」とテレビのチャンネルを変える視聴者が続出して、オンエアごとに視聴率が下がるという珍事態となってしまったが、若かりし頃の5人の熱演を楽しむことができる。
今回のディスク化にあたり、その前後に放送された特別番組「四国R-14を100倍楽しむ方法」「メイキングオブ四国R-14」も収録。
いずれもしばらくの間、再放送すらされていなかった貴重な映像の数々で、放送当時の雰囲気をそのまま味わうことができるパッケージとなる。
さらに、『四国R-14』ディスク化を記念してHTB(北海道ローカル)では『新春恒例!ぶちぬき水曜どうでしょう』(1月3日[火]昼1:30-5:30)で、ドラマの題材となった「試験に出る石川県・富山県」4話と「四国八十八ヵ所II」4話の全8話が一挙放送された。
今から22年前、『水曜どうでしょう』が、TEAM NACSとドラマを作っていたことを知る人が現在どれくらいいるだろう。
ドラマのタイトルは『四国R-14』。
制作されたのは西暦2000年夏のこと。
大泉洋氏もTEAM NACSのメンバーもまだ若く、暇な時間ばかりがたっぷりあった時代。
監督を務めた藤村Dは今、23年前の作品を見返してこう語る。
「もちろん今の僕らの目で彼らの演技を見れば、みんな芝居はうまくはない。でも、なんだろう。当時の画面から熱量を感じるんだよ。あのドラマは、あの作品に関わった人間たちの熱量だけで出来上がったドラマなんだよ」と。
ドラマ制作の発端はこうだ。
春まだ浅い西暦2000年。
放送開始からようやく4年を経たばかりの『水曜どうでしょう』は「試験に出る石川県・富山県」のロケに出たが、ゼミナール生の安田顕氏が最終試験で満点を取れなかったため、ゼミナール校長・大泉洋氏は自らの不明を恥じ受験生の合格を祈願して今年もお遍路装束に身を固め、2回目の「四国八十八カ所」のロケに出た。
ところがロケ終盤のある晩。
とあるお寺で撮影中にカメラのアラームが鳴る経験のないトラブルに見舞われた。
車に戻ってカメラをチェックしてみると不思議なことに映っているはずの大泉洋の映像が映っていない。
こんな経験は初めてだったがカメラトラブルだろうと大泉洋氏とディレクター二人は再度境内に戻って撮り直し、多少ビビりながら八十八番札所まで巡りきって札幌に戻り、無事に放送を終えた。
だが、あの夜。
映っていなかったはずの大泉洋氏の映像は、実際には映っていたのだ。
このときの不可解な真実をもとにドラマは構想されることになる。
『四国R-14』は『水曜どうでしょう』のこれまでの旅と違ってフィクションだが、フィクションでありながらこのドラマもまた『水曜どうでしょう』の歴史の中で生まれたもうひとつの旅だったかもしれない。
他にTEAM NACSの超爆笑メーキング映像もカップリング。
『どうでしょう』ファンにはマストアイテムだろう。
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