『勇者ヨシヒコ』シリーズ
『勇者ヨシヒコ』シリーズとは
『勇者ヨシヒコ』シリーズはテレビ東京系「ドラマ24」(金曜日深夜)枠内で放送された山田孝之主演の連続テレビドラマのシリーズ。
記念すべき1作目となる『勇者ヨシヒコと魔王の城』が2011年7月から。
2012年10月から続編の『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』が。
さらに2016年10月からは第三章となる『勇者ヨシヒコと導かれし七人』が放送された。
2017年開催のヨシヒコフェス発表の際にシリーズ完結が正式に宣言されている。
ちなみに、ヨシヒコシリーズで仏役をつとめた佐藤二郎主演『浦安鉄筋家族』の7話以降の放送延期に伴い、2020年5月23日から7月11日(第8話)まで「みんなでリクエスト!もう一度見たい!テレ東深夜ドラマアンコール」として再放送されている。
映画『大洗にも星はふるなり』でもタッグを組んだ福田雄一脚本・監督、山田孝之主演による「ローコスト冒険ドラマ」。
放送開始前からメディアの報道では「ドラクエ風」であると紹介されていた。
だが、実際にドラクエ発売元のスクウェア・エニックスも「協力」としてクレジットされており、多くの回でスライムの張りぼてやゲームと同じ効果音など、ドラクエそのままの要素が用いられている。
また、ドラゴンクエストシリーズ公式サイトからも本作の公式サイトにリンクされている。
なお、作品自体の構想は本編と同じ低予算を謳ったコメディ映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』からきており、それを意識したパロディやギャグも見られる。
また、アバンタイトルで本筋とは無関係のスケッチ・コメディー的な戦闘シーンなどが展開されるのも特徴のひとつである。
あらすじ
お人好しで純粋な若者ヨシヒコは、何の因果か「いざないの剣」に選ばれた勇者となった。
道中で知り合ったダンジョー、ムラサキ、メレブを仲間としパーティーを組んだヨシヒコは、世界を平和にするため旅に出る。
テレ東「ドラマ24」はクリエイターのチャレンジ枠
「予算の少ない冒険活劇」に人気俳優が続々と出演
自ら堂々と「予算の少ない冒険活劇」と銘打った『勇者ヨシヒコ』シリーズ。
劇中でヨシヒコたちが立ち寄る村は毎回同じような景色。
おそらく同じロケ地だったのだろう。
また、スライムの張りぼてに代表されるように、戦うモンスターは皆ちゃちなもの。
たしかに低予算感満載のドラマであった。
だが予算が少ないと自虐し、実際にもそんな作りだったにもかかわらず、シリーズ通して出演者の顔ぶれがあまりにも豪華だった。
しかも出演時間わずか5分ほどと、有名俳優の無駄遣いぶりには非常に驚かされた。
有名俳優の無駄遣いはその後福田雄一監督の十八番になるのだが、福田監督にとって『勇者ヨシヒコ』シリーズは実験の場だったように思う。
年々うるさくなりつつあったTV業界にあって、クリエイターがやりたいことを、好きなようにやれる場は激減していた。
石橋を叩きまくったような当たり障りのない番組ばかりで、まるで灯の消えたような業界だったが、テレビ東京系「ドラマ24」で『勇者ヨシヒコ』シリーズが攻めの姿勢をみせた。
言うなれば、『勇者ヨシヒコ』シリーズとは、福田雄一監督のチャレンジだった。
ただ面白いものをつくりたいという熱意溢れる制作陣と、その思いに共感した有名俳優陣が手を取り合ったのが『勇者ヨシヒコ』シリーズだったのである。
あれほど豪華な俳優陣を起用できたのは、TV業界に対する不安の現れだったのではないだろうか。
『勇者ヨシヒコ』シリーズの攻めの姿勢は世間でも評価され、「ドラマ24」はその後、新しいものを欲するクリエイターたちのチャレンジ枠となっていくのである。
『勇者ヨシヒコ』シリーズが残した功績は意外と大きい。
予算の少ない冒険活劇
一番予算を注ぎ込んでいるオープニングは必見
「予算の少ない冒険活劇」ではあるが、『勇者ヨシヒコ』全シリーズ通じてオープニングのクオリティーは侮れない。
というか、めちゃくちゃ格好いい。
オープニングと劇中のしょぼさがミスマッチすぎるのも、『勇者ヨシヒコ』シリーズの魅力といえよう。
絶対観てほしい神回!
『勇者ヨシヒコ』シリーズ史上、一番ぶっ飛んだ回はこれだ!!
『勇者ヨシヒコと導かれし七人』第5話
※ネタバレを含みます。
本気で観ようと思ってくれたなら、最後まで読まないよう願います。
伝説の書III「勇者ヨシヒコと導かれし七人」 (伝説の書 3)
論より証拠。
百聞は一見にしかず。
件の動画をYouTubeのテレ東公式で探してみたが、第5話だけない(笑)
この事実だけみても、どれだけ問題作だったのかが計り知れるというものだ。
第5話は全民放キー局を巻き込んだ壮大なパロディ
第5話では、ヨシヒコ一行がたどり着いた「ダシュウ村」で物語が展開。
オーバーオールにタオルを巻いたマッツ、ターチ、グッチ、ナガサ、そしてモノマネ芸人・ホリの演じるリーダーの5人組が登場した。
村人たちは魔物・「ニッテレン」に操られ、身体が勝手に農作業を始めてしまう、という呪いをかけられていた。
もうおわかりだろう。
魔物・ニッテレンとは日テレこと日本テレビ。
「ダシュウ村」はダッシュ村。
オーバーオールにタオルを巻いたマッツ、ターチ、グッチ、ナガサ、そしてリーダーの5人組はTOKIO。
そう…日本テレビの看板番組「鉄腕DASH」をイジったパロディである。
さらにヨシヒコ一行は助けの神々に会いに行くが、王者「シエクスン」は死亡、「テレアーサ」(マギー)は事件解決に追われ、「テベエス」は『日曜夜になると稀に最強になる』という状態で、結局バナナをかぶった弱そうな「テレート」(柄本時生)とともにニッテレンに立ち向かう。
今度はちょっと難しいかも。
「シエクスン」とはCXを意味する。
そう、月9というジャンルまで確立したTV業界前王者「フジテレビ」のことだ。
「シエクスン」が王冠を戴いたまま亡くなっている姿には、素人でもさすがにヒヤヒヤさせられた。
「テレアーサ」もたちが悪い。
ティーカップ片手のメガネをかけたオールバッグの男性と、MA-1を着た相棒。
あっ、相棒っていっちゃった(爆笑)
まさにその相棒のパロディだった。
『日曜夜になると稀に最強になる』という「テベエス」は…もうわかるよね?
そう、あのモンスタードラマ『半沢直樹』擁するTBSのことである。
そしてバナナをかぶった弱そうな「テレート」とは、テレビ東京のこと。
最後に自ら『一番弱そう』といっちゃうあたりが、さすがテレ東。
ヨシヒコ一行は「ニッテレン」に取り憑いた魔物をなんとか撃退する。
最後に登場した徳光和夫氏も、かなり攻めた演出だった。
とにかくセリフがヤバすぎる。
『ズームイン』はもちろん、『スッキリ』や『ヒルナンデス』なんかも巧みに会話に盛り込んでいたと思う。
『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の第5話は、全民放キー局を巻き込んだ壮大なパロディだ。
放送後に問題になったのかどうかは不明だが、テレ東公式YouTubeチャンネルに第5話だけないというのは…
Netflixなど有料チャンネルなら普通に観れるから、気になって気になって仕方なくなった人はそちらから視聴してほしい。
個人的には『勇者ヨシヒコ』シリーズで過去イチ笑った神回だ。
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