ドラマ(2012年)
リッチマン、プアウーマン
『リッチマン、プアウーマン』とは
『リッチマン、プアウーマン』(英称:RICH MAN , POOR WOMAN)は、フジテレビ系の「月9」枠で2012年7月9日から9月17日まで、毎週月曜日21時 - 21時54分に放送されたテレビドラマである。
主演は小栗旬氏。
公式な略称は「リチプア」、「RMPW」。
2013年4月1日には、続編のスペシャルドラマ『リッチマン、プアウーマン in ニューヨーク』が放送された。
小栗氏は若くしてIT企業を作り上げ億万長者となった社長を演じ、ヒロイン役の石原さとみさんは、東京大学理学部という高学歴ながら内定がもらえず就職活動に奔走する女子大生を演じた。
生活も価値観も正反対の2人が、衝突を繰り返しながらもお互いを知り精神的に成長して惹かれあう「現代版『プリティ・ウーマン』」的恋愛ドラマに加え、「絵空事じゃない地に足のついた夢を語って、世の中に発信できる」「男のカッコよさ」を描くことを主題とし、企業ものとしての要素も多く盛り込まれている。
平均視聴率は12.4%であったが、有料動画配信では好調な売上を記録した。
連続ドラマの特性を生かしたストーリーや、アイデンティティをめぐる問題を描いた姿勢などが評論家などに評価されたほか、ザテレビジョンドラマアカデミー賞での2部門受賞などいくつかの賞を受けている。
あらすじ
日向徹は若くして時価総額3000億円のベンチャーIT企業「NEXT INNOVATION(ネクスト・イノベーション)」(以下、記述上は適宜NIとする)を率いる社長であり、天才と評されるが傍若無人で毀誉褒貶の激しい人物である一方、母に捨てられた心の傷を密かに抱えている。
ある日彼は自社の会社説明会で、東大生ながら折からの就職難で内定ゼロの就活生女子と出会う。
その名は澤木千尋といい、彼の探している実母と同姓同名であった。
日向は彼女を自分が力を入れる戸籍情報管理システム「パーソナルファイル」(以下、PF)の計画にインターンシップとして参加させる。
しかし彼女の名は実は偽名であった。
彼女は日向の実母の知人で、日向は覚えていなかったが数年前に日向本人と出会っており、彼を実母に会わせてやれなかったことを悔いていた。
そのことからつい澤木千尋の名を騙って彼の前に現れたのだが、やがてその素性は日向にばれてしまう。
日向は一旦彼女を解雇するが、彼にとって今まで出会ったことのないタイプの彼女はPF開発への新しい視点を与えてくれるとして、夏井真琴という本名を明らかにさせた上で再度雇い入れる。
真琴は日向に惹かれていき、彼の傍で力になりたいと考えるようになる。
しかし、真琴がもたらした日向の変化は、彼と固い友情で結ばれていた副社長・朝比奈恒介との関係にヒビを入れてしまう。
朝比奈は日向を裏切り、元社員の遠野を利用して顧客情報流出事件を起こし会社を危機に陥れ、日向を解雇して社長の座を乗っ取る。
真琴はようやく手にした企業研究員の内定を断り、社員にも見捨てられて会社を去る彼にただ一人ついていく。
二人は新会社を設立し、個人資産も失い無気力に陥った日向が真琴の励ましで立ち直った頃、朝比奈は遠野の裏切りにより背任などの罪で逮捕される。
日向を慕うNI社員たちを迎えて新会社が次第に成長する中、真琴は困難を乗り越えて人間的にも成長した日向に対し、自分にできることは何もないと考えて彼の傍にいるのが辛くなり、企業研究員の採用を再び受ける。
日向は連絡を絶った真琴を心配して探すうちに実母と再会し、長年のわだかまりを解消するとともに真琴への特別な感情を自覚する。
しかし日向はその思いを素直に告白できず、二人の関係はすれ違う。
日向は経営危機に陥ったNIを存続させるため同社の社長に復帰し、拘置中の朝比奈とも和解し謝罪を受け入れる。
何とか経営危機を乗り切った矢先、真琴が研修のためブラジルに出発することを知った日向は彼女を空港まで追いかけて愛を告白し、自分の仕事であるITの技術で地球の裏側で働くことになる真琴との距離を無くしてみせると約束する。
1年9か月後、日向は刑期を終えた朝比奈を迎え、二人の友情は復活する。
そしてブラジルから帰国した真琴は、恋人として日向に迎えられる。
物語はスティーブ・ジョブズの人生そのまま
若くしてIT長者。
最先端をリードするカリスマ社長。
常識に捉われない破天荒な言動。
聴衆を魅了するスピーチ力。
一度は会社から追い出されるも、その後追い出された会社から乞われ見事に返り咲く…。
本作のストーリーは、観れば観るほどスティーブ・ジョブズの人生そのものだ。
そのあからさまぶりに、思わず笑ってしまうほど。
しかしここまであからさまだと、逆に清々しい気分になってくる。
実際、小栗旬氏自らが制作発表記者会見で、日向のキャラクターに通じる人物としてApple創業者のスティーブ・ジョブズを挙げており、制作発表の席でジョブズの言葉を参考にしたとまで語っているから、自覚はあると思われる。
スティーブ・ジョブズ信者としては、本来なら一笑に付してやりたいところだか、どうしてどうして再放送のたびに観てしまう。
きっとスティーブ・ジョブズの波瀾万丈な人生を、カジュアルに楽しめるような感覚が本作の魅力なのだろう。
悔しいかな小栗旬が格好良すぎ
何度も申し上げるが、著者はスティーブ・ジョブズ信者である。
信者からすれば、小栗旬氏が演じるカリスマ社長なんてスティーブ・ジョブズのカリスマ性には遠く及ばない。
やはり現実で本当に革新を成し遂げた人間と、フィクションの中の人物とでは比べものにもならないのも当然だ。
それでも主演を務めた小栗旬氏が格好良さは、悔しいかな認めざるを得ない。
スティーブ・ジョブズもビジュアルが良かったが、それを日本人顔で演じるとするならきっとこういうことなのだろうと妙に納得してしまう。
日向の相棒・朝比奈恒介役を演じた井浦新氏は、たしか本作で初めて知った俳優さん。
なんとも言えない特徴的な演技が印象的で、本作リピート視聴の一因でもある。
スティーブ・ジョブズのビジネスモデルの再確認
本作の物語をスティーブ・ジョブズの人生で例えるなら、Apple Ⅱで大成功を収めた後あたりから始まる。
そして採算を無視したLisa(リサ)とMacintoshの開発に固執したため、Apple社から一度追い出されている。
Apple社から追い出されたジョブズは、教育・ビジネス用の高性能なコンピューターを開発・製造するNeXTを設立。
今書き出したのはスティーブ・ジョブズの人生だが、そっくりそのまま本作のストーリーと合致する。
追い出されるきっかけとなった事業の違いこそあれ、本作の大筋はまさにスティーブ・ジョブズの人生そのものだ。
この点で本作は大変見応えがある。
ジョブズは大きな成功の影で失敗も多かった。
ジョブズならどうするか?
そんな風に考えながら本作を観てみるのも楽しいかもしれない。
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