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ioritorei’s blog

完全趣味の世界

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【日本映画『鳩の撃退法』】これは嘘か真か?それとも小説執筆の指南書なのか?意味不明のタイトルに込められた本当の意味。

 

 

 

 

日本映画

鳩の撃退法

 

 

邦画の最大の魅力

洋画の派手さこそないがどうしようもなく心にしみる…

 

 

洋画の派手さこそないがどうしようもなく心にしみる…

それが邦画の良さだと思う。

昔は当たり前のように洋画一択だったが、近年の邦画はなかなかバカにできない。

製作費でハリウッドに勝てないならシナリオと演出と演技で勝負といわんばかりに、邦画のクオリティーは年々高くなっている。

たしかにハリウッド映画は華やかで見栄えもするが、どうしても大味になってしまっているように感じる。

演出的にはどうしても地味な邦画ではあるが、シナリオ的に感性が合うのはやはり制作者が同じ日本人だからだろうか。

もちろん作品によるが、邦画には洋画のクライマックス的派手な見せ場がほとんどない。

ドッカンドッカン爆破しないし、ガガガガ派手な銃撃戦もない。

カッコいい戦闘機も、イカツイ戦車も邦画とは無縁に近い。

だが、最近そんな邦画が観ていてとても心地よい。

ガチャガチャとうるさいだけの映画は苦手だ。

時には深く考えさせられ、じわじわ心にしみてくる映画を好むようになってからというもの、邦画が面白くて仕方ない。

日本人ならではの感性で演出し魅せていくのが邦画だ。

ここではまったく派手ではないけれど、どうしようもなく心にしみて今なお強く記憶に残っている邦画をご紹介したいと思う。

 

 

 

 

 

 

『鳩の撃退法』とは

 

 

『鳩の撃退法』は、佐藤正午先生による長編小説。

2014年に小学館から出版され、第6回(2015年度)山田風太郎賞を受賞した。

2018年に小学館から文庫化。

2021年に映画化された。

 

 

鳩の撃退法 上 (小学館文庫)

鳩の撃退法 上 (小学館文庫)

 

 

鳩の撃退法 (下) (小学館文庫)

鳩の撃退法 (下) (小学館文庫)

 

 

 

映画『鳩の撃退法』

 

 

佐藤正午先生による同名小説を原作にして、2021年8月27日に公開された。

監督はタカハタ秀太氏、主演は藤原竜也氏。

全体的に原作よりもストーリーが短縮され、登場しない人物や省略されたエピソードがある他、原作とは名前が変えられた登場人物がいる。

また原作では舞台となる地方都市はどことも言及されてないが、映画では富山県に設定され、富山ロケがされている。

 

 

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あらすじ

 

 

一年前の二月二十八日。

夜には大雪が降ったその日、かつては直木賞を受賞したこともあるベストセラー作家だったものの、流れ流れて地方都市で風俗店「女優倶楽部」の送迎ドライバーとして糊口をしのぐ日々を送っていた津田伸一は、行きつけのドーナッツショップで仕事帰りの男と偶々相席となり、一時言葉を交わした。

別れ際、津田は男に「こんど会ったときに、今読んでいるピーターパンの話をしよう」と社交辞令のたわいもない約束をする。

相席した男の名前は幸地秀吉。

バーの経営者だった幸地秀吉は、この二月二十八日の夜を境に妻と四歳の娘と共に忽然と姿を消した。

それから数日後、津田は亡くなった古書店店主・房州老人の形見分けにキャリーバッグを受け取る。

古本が詰まっているだけだろうと思っていた津田だったが、鍵付きのそのキャリーバッグを開けてみると、そこには三千万円を超える札束が入っていた。

突如転がり込んできた大金。

しかし喜びもつかの間、床屋で使ったそのうちの一枚が偽札だったということが判明して――。

「一家三人神隠し事件」、その事件と同時に姿を消したという郵便局員、ピーターパンの本、房州老人が残した厄介な金、偽札、その偽札の出所を探る本通り裏の "あのひと"…。

読まれるあてのない小説を書き始めた津田の手によって虚と実、過去と現在は入り混じり、様々な人々の人生を左右した二月二十八日、雪降る一日の、"鳩が飛び立った" 物語が浮かび上がる。

津田が書くこの物語はホントウなのか、ウソなのか。

それを決めるのはーー?

 

 


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登場人物

 

 

津田伸一

演:藤原竜也

 

直木賞作家だが、現在はとある地方都市でデリヘル「女優倶楽部」の送迎ドライバーとして生計を立てている。

40代。

 

 

幸地秀吉

演:風間俊介

 

家族とともに忽然と姿を消したバー「スピン」のマスター。

37歳。

 

 

幸地奈々美

演:佐津川愛美

 

秀吉の妻。

5年前に秀吉と出会った時にはすでに娘の茜を妊娠していた。

35歳。

 

 

房州老人

演:ミッキー・カーチス

 

つぶれかけた古書店「房州書店」の店主の気難しい老人。

死後、津田にキャリーバッグに入った3000万円以上の大金を残す。

 

 

沼本

演:西野七瀬

 

津田が行きつけにしているコーヒーショップのアルバイト店員。

20代。

 

 

川島社長

演:岩松了

 

デリヘル「女優倶楽部」の経営者。

30代後半。

成瀬巳喜男の映画のファンで、デリヘル嬢たちの源氏名に昔の女優の名前を付けている。

 

 

晴山次郎

演:柿澤勇人

 

失踪した郵便配達員。

奈々美の不倫相手。

 

 

倉田健次郎

演:豊川悦司

 

地方都市の裏社会、通称「本通り裏」を牛耳る男。

30代後半。

幸地秀吉の古くからの親友。

 

 

まえだ

演:リリー・フランキー

 

津田が行きつけにしている床屋「まえだ」の店主。

30代後半。

女優倶楽部社長とは幼稚園からの同級生。

 

 

鳥飼なほみ

演:土屋太鳳

 

東京の出版社の編集者。

31歳。

お多福顔。

中学生の頃から津田の小説のファン。

 

 

 

嘘か真か?

虚構と事実が入り乱れた物語

 

 

本作の最後はこのように締めくくられている。

 

この物語は、実在の事件をベースにしているが、登場人物はすべて仮名である。

僕自身を例外として。

 

津田伸一

 

この一文に、本作の魅力がすべて凝縮されているような気がする。

いったいどれだけのミスリードが含まれているのか。

「僕」と称する津田自身が、そもそも佐藤正午先生が描いたフィクションの中の人である。

だからもちろん「実在の事件をベースにしている」というのも、フィクションということになる。

ならばすべての「登場人物」もフィクションということだ。

要するに、すべてが嘘ということになる。

だが本作が物語である以上、最初の嘘である主人公・津田の存在は否定すまい。

これを否定することはナンセンスだから。

津田は実在する。

その前提で話を進めよう。

基本的に本作は、津田の回想という形で物語が進行している。

津田自身が見聞した事実(?)をベースとしながら、そこに津田が脚色や推測や想像や創作を加え、自分自身以外はすべて仮名にして、「過去に実際にあった事実」ではなく「過去にあり得た事実」を小説にしていく…という物語だ。

そのせいで、おかしな錯覚に陥る。

津田が語る物語の、どこまでが虚構でどこまでが事実なのか?

もしくはすべてが虚構なのか?

はたまたすべてが事実なのか?

そして最後の一文が、トドメになる。

最後の一文が事の真偽を、より一層わかりづらくしているのだ。

実は本作から、小説の書き方をレクチャーされているような気さえしてくる。

「小説とはこうやって書くものだ。」

著者自身、この答えが一番スッキリする結論だ。

この線引きは観る者に委ねられている。

辿り着く結論は、きっと観た人の数だけ存在するのだろう。

本作はそういった類の作品である。

故に、作品に明確な答えを求める人にはおすすめしない。

ミステリー小説好きにはハマるかも?

何はともあれ、本作は良くも悪くも実に日本映画らしい作品である。

 

 

 

意味不明のタイトルに込められた本当の意味とは?

 

 

直木賞作家・佐藤氏の作品群のなかでも最高到達点と評されることがある本作だが、タイトル『鳩の撃退法』からしてまず意味不明である。

何か深い意味でも込められているのだろうか?

オンラインの世界ではSEOという概念が重要視されがちだ。

SEOとは特定のキーワードでネット検索した際、ページが上位に出てくるよう工夫することを意味する。

試しに今作『鳩の撃退法』を検索してみると、映画の公式サイトの上に「ハト駆除対策」「鳥害対策」などの広告がいくつも並ぶ。

どうやらアプローチが違うようだ。

では、次は試しに「鳩」単体の言葉の意味を考えてみよう。

ネット用語として遣われている「鳩」は、対象者が発言した内容や行動や出来事を誰かに伝えに来る人、またはその行為を意味している。

鳥の鳩を使って相手に伝達していた昔の「伝書鳩」から由来した言葉のため、「鳩を飛ばす」「鳩が飛んできた」といった表現で遣われるようだ。

…なるほど、『鳩の撃退法』とは、倉田(対象者)が発言した内容や行動や出来事を誰か(津田伸一)に伝えに来る人を、撃退するための方法…という意味が込められているのではないだろうか。

鳩を撃退する方法とは、すなわち津田が書く小説であり、本作のキーアイテムである小説「ピーターパン」ではないだろうか。

そう仮定するなら、本作は生粋の小説バカ(褒めています)の作品ということになる。

何から何まで小説ありきの作品ということだ。

ならば本作の不可解な内容にも納得できるというものだ。

 

 

 

 

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