映画
決戦は日曜日
『決戦は日曜日』とは
『決戦は日曜日』は、2022年1月7日公開の映画。
病に倒れた衆議院議員である父親に代わって立候補した令嬢を当選させようとする私設秘書の奮闘を描く。
窪田氏と助演の宮沢りえさんは本作が初共演となり、脚本の段階で出演を快諾した。
窪田氏は坂下氏とは仕事を共にしたかった相手とした上で、「監督が描く人の醜さや谷村の視点から見る景色が滑稽すぎて笑いが止まらなかった」とし、宮沢さんとの初共演についても「一緒に芝居をするのが刺激的で、毎日現場に行くのが楽しみだった」といい、「これまでとは違うりえさんが見られると思う」と語っている。
一方の宮沢さんも出演を承諾した理由として「今までとは全く無縁の役柄だったので演じられるか不安だったが、演じてみたい、この作品に参加してみたいという意欲の方が勝った感じ」とし、窪田氏との初共演についても「その場の空気を瞬時に汲み取ったりできる安定感や周りへの気遣いに対する気持ちがあって頼もしいなと思った」と語っている。
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あらすじ
とある地方都市。
谷村勉はこの地に強い地盤を持ち当選を続ける衆議院議員・川島昌平の私設秘書。
秘書として経験も積み中堅となり、仕事に特別熱い思いはないが暮らしていくには満足な仕事と思っていた。
ところがある日、川島が病に倒れてしまう。
そんなタイミングで衆議院が解散。
後継候補として白羽の矢が立ったのは、川島の娘・有美。
谷村は有美の補佐役として業務にあたることになったが、自由奔放、世間知らず、だけど謎の熱意だけはある有美に振り回される日々…。
でもまあ、父・川島の地盤は盤石。
よほどのことがない限り当選は確実…だったのだが、政界に蔓延る古くからの慣習に納得できない有美はある行動を起こす――。
それは選挙に落ちること！
前代未聞の選挙戦の行方は？
ジャンルはコメディ？
しかしその実態は日本の政治のリアル
本作をジャンル分けするならコメディに含まれるらしい。
それはきっと厳格であるべきはずの選挙活動が、非常にコミカルに描かれているからだろう。
しかし、本作を果たして本当にコメディ扱いして良いのか否かには疑問が残る。
なぜなら、著者にはこれが日本の選挙の現状にしか見えなかったからだ。
後援会を動員して演説会場を埋めたり、候補者調整のカラクリを赤裸々に暴露。
代議士候補の機嫌を損ねて大声で怒鳴られる秘書など、ワイドショーで話題になるような議員の話題はとてもリアルに描かれている。
宮沢りえさん演じる二世候補者が選挙運動に矛盾を感じて落選しようと好き勝手に演説を始めると、逆にコアな保守層の支持率がアップするなど皮肉な現象もまたリアル。
また物語冒頭で秘書が代議士を背負って泥道を歩く姿は、東日本大震災の被災地を視察で訪れた大臣が、長靴を忘れて職員に背負わせた光景と重なって明らかに皮肉が込められている。
だからといって、政治批判をしているわけでも政治風刺をしているわけでもない。
結果的に描かれているのは、二世候補者をこの出来レースからリタイアさせないための秘書の苦労だけである。
いくら不祥事が発覚しようが、スキャンダルが明るみになろうが、途中で投げ出さない限り必ず当選してしまう日本政治の闇。
そんな風に感じた著者は、おそらく笑いを狙ったであろうシーンでも笑うことが出来なかった。
だって、きっとこれは事実なのだから。
それが証拠に、投票日当日の投票所は閑散としており、投票箱の中に入っている投票用紙は微々たるものだった。
これも投票率の低下を揶揄しているのだろうが、そんなことにも触れはしない。
ただひと言、「投票率が下がれば組織票が生きてくる」という趣旨のセリフだけ。
そんな調子で、すべてが淡々と進行していく。
トラブルが起こっても、怒るのは利権にありつこうと群がる有象無象だけ。
秘書たちの、なんと冷静なことか。
すべてのトラブルに、決められた通りの対応を続ける。
唯一、声を荒げ感情を吐き出したのは政治献金のキックバックの比率で揉めた時だけ。
この皮肉には、あまりにリアルすぎて逆に笑えた。
そういう意味では、皮肉が皮肉に見えない凄さがある作品ともいえる。
本作が政治家のレベルの低さ、傲慢さ、二世議員の問題点などを改めて訴えている点は非常に有意義であるが、本作をコメディ扱いしなければいけない日本の現状に憂いを感じて仕方ない。
政治に無関心の人の目には、本作はどう映るのだろう？
危機感を感じてもらえるのだろうか？
著者としては願わくば、本作をコメディとしてではなくドキュメンタリーとして観てほしいと強く感じた。
多くの人が政治に興味を持つキッカケの作品になることを祈ってやまない。
ただし、まったくドラマチックな作品ではないからご注意を。
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