日本映画
一度死んでみた
『一度死んでみた』とは
『一度死んでみた』は、2020年3月20日公開の日本映画。
監督は浜崎慎治氏、主演は広瀬すずさん。
薬を飲んで仮死状態になった父親を火葬から救うべく、デスメタルバンドのボーカルである娘がゴースト社員である父親の秘書と協力して奮闘する姿を描くコメディ。
公開2週目には週末興行収入ランキングで1位になった。
この作品で広瀬すずさんは、第44回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞を受賞。
一度死んでみた 豪華版(初回限定生産)(Blu-ray Disc+DVD)/広瀬すず吉沢亮堤真一リリーフランキー小澤征悦嶋
あらすじ
父親のことが大嫌い、いまだ反抗期を引きずっている女子大生の七瀬(広瀬すず)。
売れないデスメタルバンドでボーカルをしている彼女は、ライブで「一度死んでくれ!」と父・計(堤真一)への不満をシャウトするのが日常だった。
そんなある日、計が本当に死んでしまった との知らせが。
実は計が経営する製薬会社で偶然発明された〈2日だけ死んじゃう薬〉を飲んだためで、計は仮死状態にあるのだった。
ところが、計を亡き者にしようとするライバル会社の陰謀で、計は本当に火葬されてしまいそうに大嫌いだったはずの父の、絶体絶命のピンチ に直面した七瀬は、存在感が無さすぎて "ゴースト" と呼ばれている計の部下・松岡(吉沢亮)とともに、父を救うため立ち上がることを決意する。
火葬までのタイムリミットは2日間。
はたして七瀬は無事、計を生き返らせることができるのか――!?
登場人物
野畑七瀬
演 - 広瀬すず
売れないデスメタルバンド「魂ズ」のボーカルを務める女子大生。
父親の教育により子供のころは化学が大好きな少女だった。
現在は父親と2人暮らしだが、大の父親嫌いで存在自体を疎ましく思っている。
本性では「くそおやじ」が大好きで、研究者としても認めている。
松岡卓
演 - 吉沢亮
計の秘書。
あまりの存在感の無さに「ゴースト」と呼ばれている。
ピンチに力を出すタイプ。
野畑計
演 - 堤真一
七瀬の父親で野畑製薬の社長。
会社乗っ取りを企てるライバル企業のスパイ社員を炙り出そうと2日間だけ仮死状態になる薬「ジュリエット」を飲んだものの、ライバル企業の策略により2日後に火葬される事態に陥ってしまう。
「ロミオ」の開発者。
本当は、亡き妻のため作っていた薬。
火野
演 - リリー・フランキー
計が「ジュリエット」を飲んだことがきっかけで仮死状態になった際に現れた天国への案内人。
計に付き添う優しい人。
渡部
演 - 小澤征悦
「経営再建のプロ」として野畑製薬に雇われた男。スパイ社員の炙り出しのため、計に「ジュリエット」を飲むことを提案する。
葬儀の妨害と火葬を急ぐ。
田辺
演 - 嶋田久作
野畑製薬のライバル会社である「ワトスン製薬」社長。
若返りの薬「ロミオ」の研究データを手に入れるために計を亡き者にしようと企てる。
野畑百合子
演 - 木村多江
計の妻および七瀬の母。
本編の5年前に亡くなっている。
藤井
演 - 松田翔太
計が飲んだ「ジュリエット」を発明した研究員。
計には「じいさん」と呼ばれている。
たまにジュリエットを飲み、死んで三途の川で釣りして2日後に戻る。
オタク
演 - 加藤諒
七瀬がいるバンド「魂ズ」を応援するオタク。
ラーメン店の店主
演 - でんでん
七瀬のアルバイト先のラーメン店の店主。
野畑製薬の役員
演 - 森下熊幸(宇崎)、おかやまはじめ(曽野)、湯浅卓(実)、眞鍋かをり(小池)
とぼけた役員会でも、要点と計の意向は心得ている侮れない役員たち。
計が死んで、娘が社長でも「社長命令」は絶対である。
野畑製薬の社員
スゴイ薬を作ってるせいで、食べることが一番。
食堂に計を一時的に安置しているため、昼食を心配する。
警備員
演 - 城田優
野畑製薬の警備員。
出番は一度。
掃除のおばさん
演 - 原日出子
野畑製薬に通う掃除のおばさん。
ワトスン製薬の手下
宇宙飛行士
ボーイ
演 - 佐藤健
高級クラブのボーイ。
あかね
演 - 池田エライザ
高級クラブに勤務するキャバクラ嬢。
同僚
演 - 古田新太
計の元同僚。
ジェームズ布袋
演 - 大友康平
音楽ディレクター。
坊主
演 - 竹中直人
百合子の葬儀で奇妙な読経を挙げる坊主。
支配人
演 - 妻夫木聡
計の葬儀に使用される「クラウンホテル」の支配人。
超豪華キャスト×トップクリエイター陣が贈る、最高にハートウォーミングな痛快SF(死んだ・ふり)コメディ
5分に1度の勢いで次々に登場する超豪華キャスト
艶やかな黒髪をピンクにカラーリングし、ハードなメタルファッションに身を包んだ七瀬は、広瀬すずさん史上最もパンチのきいた強烈キャラだろう。
父親に向って「一度死んでくれ~!」と絶唱する "反抗期こじらせ中のデスメタル女子" はまさに新境地といえる。
彼女は本作でコメディエンヌとしての新たな才能を見せつける。
また国宝級の美しい顔面を持ちながら、そこにいることに誰も気付かない松岡を演じるのは、2021年の大河ドラマ『青天を衝け』では堂々主演を務めた吉沢亮氏。
イケメンオーラを全力で封印し、潔いほど存在感のない "ゴースト男子" になりきってみせている。
誰もが認める実力派俳優・堤真一氏は、ピッチリ分けた七三ヘア&眼鏡というクセ強めの "科学オタクの変人社長" 。
一人娘の七瀬に日々罵られ、しまいには途中で幽霊になってしまうという気の毒な父親・計を、その圧倒的な演技力でコミカルに体現している。
さらに脇を固めるキャストも超豪華。
リリー・フランキー氏、小澤征悦氏、木村多江さん、松田翔太氏、柄本時生氏、西野七瀬さん、城田優氏、佐藤健氏、池田エライザさん、志尊淳氏、古田新太氏、竹中直人氏、妻夫木聡氏ほか、あり得ないほど贅沢な豪華キャスト陣が5分に1度の勢いで次々に登場。
スクリーンを賑やかに彩ってくれている。
CM界のヒットメーカー2人の強力タッグ
監督は本作が映画デビュー作となる、浜崎慎治氏。
au「三太郎」シリーズ等を手掛ける超売れっ子CMディレクターだ。
脚本はソフトバンク「白戸家」シリーズをはじめ数々の国民的CMを世に送り出しているCMプランナー/クリエイティブ・ディレクター澤本嘉光氏。
CM界のヒットメーカー2人の強力タッグに加え、人気音楽クリエイター・ヒャダイン氏がキャッチーな楽曲の数々を担当している。
監督・脚本ともにCM界のクリエイターだが、畑違いの映画界でもその実力を遺憾無く発揮している。
最高にハートウォーミングな痛快SF(死んだ・ふり)コメディ
終始安心して観ていられるコメディ。
コメディではあるがほんのり泣けるシーンもしっかり用意されていて、そのバランスが抜群。
やはりリリー・フランキー氏が出演している作品にハズレなし。
本作での、あり得ないほど贅沢な豪華キャスト陣が5分に1度の勢いで次々に登場させる手法は、福田雄一監督作品を彷彿とさせる。
しかし本作からは、福田組のそれとは別の印象を受ける。
それは本作での豪華キャストの登場が、あまりに自然だったからだ。
反して福田組の作品は、そのほとんどで演技が大袈裟だしとにかくクセが強い。
それが本作では、これほどの豪華キャストを起用していながら、ちゃんと観ていないと気づかないくらい、恐ろしく出番が短い俳優さんが何人もいる。
福田組の作品でも、必ずというほど有名俳優の無駄遣いが話題になるが、本作の無駄遣いはそれを凌駕する。
何せ、セリフらしいセリフがまったくない豪華キャストの何と多いことか。
だが、ちゃんとセリフはあったにもかかわらず、推しのはずの西野七瀬さんですら、恥ずかしながら正直気づかなかった。
あと志尊淳さんも。
セリフすらないような贅沢な無駄遣いが気持ちいいほど自然な演出になっていたのだろう。
また自然にみえたもうひとつの理由として、固着したイメージを上手く裏切ったキャストそれぞれの名演技が影響していると思う。
堤真一氏演じる野畑計は、なんだかいろいろ緩すぎてかなり新鮮な印象だった。
また、本作ほど明るく吹っ切れた木村多江さんの演技は過去に観たことがない。
それほどイメージがかけ離れているにもかかわらず自然にみえたのは、演技が変に誇張されていないから引っかかることなくスッと入っていっだからだろう。
これほど豪華キャストの皆が皆、万事こんな感じ(なかにはクセ強のキャストもいたけど…例えば城田優氏とか竹中直人氏とか)だから、誰かが突出することなく自然に観ることができた。
本作に出演しているキャストの中で、もしあなたの推しがいるならそのイメージとは違うであろう演技を是非観てほしい。
きっとさらに推しになるだろう。
選曲センスも最高
本作は、劇中歌もさることながら選曲のセンスが素晴らしい。
基本はロック(デスメタル)を想起させる選曲が多いが、要所要所でセンスが光る。
なかでも三途の川でのシーンでスメタナの『我が祖国』第2曲「モルダウ」が流れてきた時には、そのセンスの良さにシビれまくった。
選曲を担当したのは音楽クリエイターのヒャダイン氏。
さすがだ。
広瀬すずの驚きの歌唱力
これはもう完全に余談だが…。
化学の元素記号に関連した「す~いへいりーべ、ぼ〜くの船〜♪」という歌を覚えているだろうか?
元素記号を覚えやすくするために作られた歌だが、本作でも何度か耳にする。
特に本編の後半くらいで流れる広瀬すずさんが歌うこの歌が上手すぎて少し驚く。
こんなに歌上手かったのか…。
ギャグのようなこの歌を、本格バラードのように歌い上げる歌上手の広瀬すずさん。
必見だ。
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