其の三十四
美しき日本語の世界。
"「さわり」の部分" ってどこ?
もし、あなたが誰かに『物語の "「さわり」の部分" だけ教えて』と聞かれたなら、いったいどの部分を説明するだろうか。
最初の部分?
それとも別のどこかだろうか。
意外と勘違いしている人が多い「さわり」の本当の意味。
文化庁が実施した「国語に関する世論調査(平成28年度)」によると、半数以上の人が「さわり」を「最初の部分」と理解していることがわかった。
しかしこれは誤った認識である。
「さわり」とは江戸時代に竹本義太夫が創始した浄瑠璃の流派の一つ、義太夫節の最大の聞かせどころ、聞きどころとされている箇所を指した言葉だ。
それが転じて,音楽や物語の最も感動的な部分、話や文章の要点などという意味で遣われている。
すなわち多くの人が勘違いしている "「さわり」の部分" という言葉の、本当の意味は「要点部分」。
前述した質問の答えでいえば、物語の「さわりの部分」を問われたら、つまりは「物語の要点」という意味になるのである。
例えば人気の映画を観に行こうとして、すでにその映画を観た友人に「さわりの部分だけでも教えてよ」なんてうっかり質問してしまったなら、さぁ大変。
その友人が「さわり」の真の意味を理解していたなら、楽しみにしている作品の見どころを含めたストーリーの本筋を暴露されてしまうだろう。
いわゆるネタバレになるが、これでは元も子もない。
まぁ、お互いが「さわり」の本当の意味を知らなければ何も起こらないのだけど、それはそれで日本人として少々恥ずかしい。
恥をかかなくても済むように、言葉の意味は正しく知っておきたいものである。
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