洋画の派手さこそないがどうしようもなく心にしみる…それこそ邦画の最大の魅力
洋画の派手さこそないがどうしようもなく心にしみる…
それが邦画の良さだと思う。
昔は当たり前のように洋画一択だったが、近年の邦画はなかなかバカにできない。
製作費でハリウッドに勝てないならシナリオと演出と演技で勝負といわんばかりに、邦画のクオリティーは年々高くなっている。
たしかにハリウッド映画は華やかで見栄えもするが、どうしても大味になってしまっているように感じる。
演出的にはどうしても地味な邦画ではあるが、シナリオ的に感性が合うのはやはり制作者が同じ日本人だからだろうか。
もちろん作品によるが、邦画には洋画のクライマックス的派手な見せ場がほとんどない。
ドッカンドッカン爆破しないし、ガガガガ派手な銃撃戦もない。
カッコいい戦闘機も、イカツイ戦車も邦画とは無縁に近い。
だが、最近そんな邦画が観ていてとても心地よい。
ガチャガチャとうるさいだけの映画は苦手だ。
時には深く考えさせられ、じわじわ心にしみてくる映画を好むようになってからというもの、邦画が面白くて仕方ない。
日本人ならではの感性で演出し魅せていくのが邦画だ。
ここではまったく派手ではないけれど、どうしようもなく心にしみて今なお強く記憶に残っている邦画をご紹介したいと思う。
決算!忠臣蔵
『決算!忠臣蔵』とは
『決算!忠臣蔵』は、2012年に新潮社から刊行された東京大学史料編纂所教授・山本博文の著書である『「忠臣蔵」の決算書』を原作とし、『殿、利息でござる!』でメガホンをとった中村義洋監督の手により2019年に公開された映画である。
あらすじ
元禄14年3月14日。
清廉潔白な赤穂藩主・浅野内匠頭は、かねて賄賂まみれだった吉良上野介に江戸城内で斬りかかり、即日切腹を言い渡される。
突如として藩主を亡くした赤穂藩士たちは路頭に迷うこととなり、筆頭家老の大石内蔵助は勘定方の矢頭長助の力を借りて財源の確保などに努めるが、そうした努力や幕府への働きかけも虚しく、お家再興の夢は絶たれてしまう。
それでも一向に討ち入る様子のない内蔵助だったが、江戸の庶民たちは吉良への仇討を熱望。
しかし討ち入りするにも予算が必要で、その上限の都合上、討ち入りのチャンスは1回きり。
予算内で仇討を成功させるべく奮闘する浪士たちだったが……。
討ち入りするにも大金が必要!?その総額はなんと9500万円!
日本の冬の風物詩ともいえる忠臣蔵を、経費という新しい切り口から描いたのが『決算!忠臣蔵』である。
TVなどでは歴史上の出来事について、「実際はどうだったのか?」を検証する番組というのがよくある。
歴史好きなら一度は目にしたことがあるだろう。
歴史上の出来事で我々が知っていることというのは実はあやふやで、実際はまったく違ったなんてケースはザラにある。
実際に目にした人間がいない以上、現実なんてわからないのが通常なのだが、こと忠臣蔵に関してはある程度の実情がわかってきた。
それを可能にしたのが、大石内蔵助が武器購入費から会議費、飲食費などを実際に書き残した決算書の存在である。
これが本当に良くできているようで、歴史の「実際はどうだったのか?」が見えてきた。
そしてその決算書を基に討ち入りの実態を読み解いた『「忠臣蔵」の決算書』(東京大学大学院教授・山本博文さん著、新潮新書刊)が発行される。
これが『決算!忠臣蔵』の原作となった。
決算書には実際にかかった経費が実に細かく記されていたらしく、当時の武士の生々しい金銭感覚がよくわかる内容となっているようだ。
武士には基本的な金銭感覚が備わっていないことや、武士としての矜持だけは一人前で、見栄っ張りなところがあること。
金もないのに武士としての体裁だけは取り繕いたいから、とにかく無駄遣いが多かったことなど、様々な実情が明らかになった。
そんな金銭感覚ゆるゆるの武士ばかりが集まって、果たして本当に討ち入りなんてできるのか?
『決算!忠臣蔵』は、我々の知っている忠臣蔵とはまったく違い、何から何まで金・金・金の画期的な作品である。
何より斬新なのが、『決算!忠臣蔵』には忠臣蔵で一番の見せ所である討ち入りシーンがない。
普通なら考えられないことだが、時代劇の最大の見せ場であるチャンバラシーンがまったくないのだ。
だからこそ、時代劇が苦手だという人にもきっと楽しんで観てもらうができるだろうと思う。
忠臣蔵から討ち入りシーンをカットしてしまったら、いったい何が残るのか?
その答えを、是非あなた自身の目で確認していただけたらと思う。
ちなみに吉本興業が全面的にバックアップしているのか、吉本芸人が多数出演している。
お笑いファンの方なら、どんな芸人さんが出演しているのか探してみるのも一興なのかもしれない。
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