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ioritorei’s blog

完全趣味の世界

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【アニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』】脅威として描かれがちなAI(人工知能)のシンギュラリティを肯定的に捉えた作品。

 

 

 

 

アニメーション映画

アイの歌声を聴かせて

 

 

『アイの歌声を聴かせて』とは

 

 

『アイの歌声を聴かせて』は、吉浦康裕氏が原作・監督・脚本を務める長編アニメーション映画作品。

2021年10月29日に松竹の配給により全国243館で公開された。

女子高生の姿をした「ポンコツAI」と高校生の少年少女たちの友情と絆を描いた青春群像劇。

タイトルの「アイ」には「愛」「AI」そして「I (=私)」という三つの意味が込められている。

キャッチコピーは「ポンコツAI、約束のうたを届けます。」。

テーマは「AI」と「人間」の関係で、両者は見分けがつかないように描かれている。

吉浦氏は自分が得意とする「AI」という題材に青春劇や恋愛模様をプラスすることでポップなエンターテインメントフィルムとして仕上げている。

SF的な難解さをミュージカルで突破していくアイディアや、スマートシティやAIホームなどの手の届きそうな未来の描写により、脅威として描かれがちなAI(人工知能)のシンギュラリティを肯定的に捉えた作品。

吉浦氏は、「AI社会の未来のポジティブな世界観を作品で表現したかった」と語っている。

企画の目的は、王道のエンターテインメントを劇場のオリジナル作品として制作することだった。

制作プロデューサーからの提案を受けた吉浦氏は、オリジナルで勝負する以上インパクトが欲しいということで、没にした自分のプロットを脚本家の大河内一楼氏に見せることにした。

そして意見を聞いたのち、彼に共同脚本をオファーした。

吉浦氏が一人で書いた当初のプロットでは、AIは猫型や男性ロボットなど、完成版とは異なる設定だったが、2人で原案を再構築していく中で女性型にすることが決まった。

またディスカッションで歌を使うアイデアも出て、何か大きなインパクトが欲しかった吉浦氏が選んだのは、彼がずっとやりたかったミュージカルという題材だった。

そうして「突然歌を歌う女子高生のミュージカルキャラ」が出来上がったという。

劇中アニメ『ムーンプリンセス』は、作品の中ではあくまで映像素材として使うに留まっているが、そのまま映画館でも流せるフルサイズで作っている。

公開当初は客足が振るわなかったものの、TikTokをはじめSNSで評判を呼び、公式側もSNS運用などで積極的なPRを続けた結果、公開から1か月以上が経過してもじわじわと人気を拡大した。

イギリスで開催されたスコットランド・ラブズ・アニメ2021にて日本での公開に先立って上映され、観客賞を受賞した。

監督の吉浦氏にとっては2013年の『サカサマのパテマ』に続いて8年ぶり、2度目の受賞となった。

2022年1月、第45回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞した。

 

 

アイの歌声を聴かせて

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劇中音楽

 

 

詩音が歌うことで周りの人の心が動かされたりと、本作には歌がストーリーの中に意味を持って組み込まれているが、純粋な「ミュージカル映画」ではない。

一般的なミュージカルでは、登場人物が自分の心象風景をセリフの代わりに歌で表現するが、本作の場合は、自分ではなく相手の心情を推測し、相手のために歌っている。

ミュージカル的手法は、AIである詩音がどこかコミカルに見えるよう表現する方法として導入されている。

そのため、普通のミュージカルと異なり、本作では詩音が突然歌い出すと周りが「それはおかしい」という当然の反応をする。

それによってAIならではの場の空気を読まない行動が表現されている。

そして、ストーリーが進むにつれて次第に違和感がなくなり、ミュージカルとして楽しめるようになるという構成となっている。

また物語は各キャラクターの問題が全て詩音の歌によって解決していくスタイルになっており、AIである彼女のまっすぐすぎる行動を多彩に表現するために、ポップス、ジャズ、バラードと様々なタイプの楽曲が用意された。

吉浦氏は、本作を脚本と歌のイメージを同時に持ちながら作っていった。

吉浦氏の意図したのは、すでに出来上がったストーリーを動かす仕組みとして歌があるというものだったが、ライブシーンの中で歌うような話の流れと分離したものではなく、歌が物語の中に入り込んでいるものを作りたかったという。

そのため、脚本の構成に合わせて歌の役割を決め、音楽制作側に楽曲や歌詞を発注して行った。

また楽曲が先に出来ていないと作画作業が進められないので、吉浦氏は早い段階でどの場面でどういう意図で使われるかといった情報を音楽側に先に伝えて共有し、自身は実際に楽曲を聞きながら絵コンテ作業を行った。

 

 


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あらすじ

 

 

大企業「星間エレクトロニクス」による実験都市・景部市。

この街にある景部高等学校のサトミ(天野悟美)のいるクラスにシオン(芦森詩音)という転校生がやってきた。

容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群、天真爛漫な性格というのも相まって、一躍学校の人気者になったのだが、転校早々彼女はクラスで孤立しているサトミに突如として「今幸せ?」と呼びかけ、さらにサトミの前で歌い出すなど、突飛もない行動を起こす。

そんなシオンの行動に巻き込まれる形で、サトミとクラスメイトのトウマ(素崎十真)、ゴッちゃん(後藤定行)、アヤ(佐藤綾)、サンダー(杉山鉱一郎)は、シオンが緊急停止する瞬間を目撃してしまう。

シオンの正体はサトミの母・美津子が開発した試験中のAIを搭載した少女型アンドロイドであり、その実地試験を行うために転入してきたのであった。

シオンはサトミたちを振り回しながらも、彼女たちの幸せのためにひたむきに動き、サトミたちもその姿と歌声に魅了され、仲良くなっていく。

ところが、シオンがサトミのために起こした行動がきっかけとなり、思いもよらない騒動へと発展していくことになる。

 

 


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主要登場人物

 

 

シオン / 芦森詩音

声 - 土屋太鳳

 

本作の主人公。

6月6日生まれ。

サトミのクラスの転入生で謎の美少女。

抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になる。

実はサトミの母・美津子が開発し、試験中のAIを搭載したロボット。

転校当時からサトミのことを知っており、彼女を幸せにするために懸命になる。

幸せの意味がよく分かっておらず、すぐ歌い出すなど騒動を起こし、アヤからは「ポンコツ」呼ばわりされている。

緊急停止コードで機能停止すると、自動的に腹部から入力・出力デバイスが射出される。

 

 

サトミ / 天野悟美

声 - 福原遥

 

本作のもう一人の主人公。

12月31日生まれ、血液型A型。

小学6年生の時に両親が離婚しており、現在は母・美津子と二人暮らし。

家事もこなす母親思い。

学級委員を務める優等生で正義感が強く人一倍しっかりしているが、本心を見せるのが苦手。

ある出来事をきっかけに「告げ口姫」と言われるようになり、学校では孤立してしまっている。

女児向けミュージカルアニメ『ムーンプリンセス』の大ファン。

 

 

トウマ / 素崎十真

声 - 工藤阿須加(幼少期:藤原夏海)

 

サトミの幼なじみでクラスメイト。

4月10日生まれ、血液型O型。

電子工作部の部員。

小学生のころからの機械マニアで、専門的な知識と卓越した能力を持っている。

サトミに対しては、昔からずっと好意を抱き続けているが、ある出来事をきっかけに疎遠になっている。

 

 

ゴッちゃん / 後藤定行

声 - 興津和幸

 

サトミのクラスメイト。

11月20日生まれ、血液型AB型。

勉強も運動もそつなくこなし、人柄も良いため、学校では男女ともに人気がある。

アヤと付き合っているが、最近はぎくしゃくしている。

 

 

アヤ / 佐藤綾

声 - 小松未可子

 

サトミのクラスメイト。

7月8日生まれ、血液型A型。

気が強くはっきりものを言う面もあるが、本当は優しく友達思い。

ゴッちゃんが他の女子と話していると嫉妬してしまう。

 

 

サンダー / 杉山絋一郎

声 - 日野聡

 

サトミのクラスメイト。

3月9日生まれ、血液型B型。

柔道部員。人一倍練習熱心で、AIロボットの三太夫(さんだゆう)とよく稽古をしているが、本番に弱く試合に勝ったことはない。

三太夫のメンテナンスや修理をトウマに頼んでおり、彼を信頼している。

 

 

天野美津子

声 - 大原さやか

 

サトミの母で、星間エレクトロニクス景部市の支社に勤めている。

職位は課長。

「シオンプロジェクト」のリーダーを務めている。

娘のサトミにスケジュールデータを覗き見られていることに気付かず、シオンがAIであることをサトミが知っていることに気付かなかった。

 

 

 

 

 

脅威として描かれがちなAI(人工知能)のシンギュラリティを肯定的に捉えた作品

 

 

シンギュラリティ(技術的特異点)とは、アメリカの発明家で人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル博士らが示した未来予測の概念で、一つの仮説として想定され得る、人工知能(以下、AI)が人間の能力を超える時点や、それにより人間の生活に大きな変化が起こるという概念のことを指している。

もう少し詳しく説明すると、テクノロジーの加速度的な進化の結果、いずれコンピュータは人間の知能を超える「超知能」を獲得するようになる。

そして、人間にはその「超知能」がどのように振る舞うか予測も制御もできず、その甚大な影響によって社会や人々の生活に決定的な変化が起こると考えられているのである。

あらゆる作品で人類の脅威として描かれてきたシンギュラリティが、本作では比較的肯定的に描かれている。

故に、純粋な青春群像劇として観ることができれば感動作である。

実際、著者も泣いてしまった。

本作では、青春期特有の悩みを登場人物とAIの成長と絡めることで、非常に情緒豊かに描いている。

未熟なAIの成長過程をミュージカル調に仕立てたことも良い追い風となった。

前述した通り、本作は我々が通常想像するミュージカルとは異なった作風である。

それはAIである詩音が突然歌い出すと、周りが「それはおかしい」と至極真っ当なリアクションをすることだ。

ミュージカル作品特有の謎シーンのように、一緒に歌い出すなんてことはしない。

そうすることによって、AIならではの場の空気を読まない行動が非常に的確に表現されている。

しかしストーリーが進むにつれて、AIが学習したことで次第に違和感がなくなり、純粋なミュージカルとして楽しめるようになる。

この構成は実に秀逸だ。

これならミュージカル作品が苦手な人にとっても、十分楽しめる作品なのではないだろうか。

また、舞台となる町(街かな?)の描写も近未来を予感させて素晴らしいかった。

セキュリティや生活の細部に至るまで、近い未来に必ず実現されるであろうリアリティを感じられて非常に興味深く観ることができた。

タイトルの「アイ」に込められた「愛」「AI」そして「I (=私)」という三つの意味も、非常に良く考え込まれている。

組織内のゴタゴタはあるものの、登場人物たちがAIとの理想的な関係を築く姿からは、AIは使い方次第で人類の新しい友人になり得る存在なのだと、改めて確信できるだろう。

このように、あらゆる面でAIをテーマに据えた作品として、子供でも楽しめる良作といえる。

しかし大人目線となると、AIに対する不安はどうしても払拭しきれない。

主人公の詩音は、昔々に人間が出された指示を忠実に実行しているAI。

本作ではその指示が善良なものであったから感動作となっているが、もし悪意を持った人間が指示を出していたなら…。

空気が読めないということは、AIには善悪の区別もつかないということ。

いつの世も、人類にとっての革新的な発明とは、用途の善悪に関わらないことも改めて確信せざるを得ない。

革新的な発明のどれもが軍事転用可能な技術であり、それは歴史が如実に物語っているいるからだ。

ただ、AIについてのそういうマイナス面を知る上でも、本作は最適かと思われる。

人類は近い未来、望むと望まないとに関わらず、AIと共生せざるを得なくなるだろう。

そのためには予備知識が必須である。

難しい参考書を読むのもいいが、所詮はアニメだと侮らず、一度本作を観てみてはいかがだろう。

本作で描かれるAIとの関係性が未来への希望に繋がるなら、きっと作品も本望だろう。

 

 

 

 

 

 

 

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