其の三十七
美しき日本語の世界。
猫も鳩も蚊も…実は動物の鳴き声から生まれた漢字だった
鴉(カラス)
いつもちょっぴり嫌われ役のカラス。
『鴉』よりは『烏』の漢字のほうが馴染み深いかもしれない。
『烏』の由来は後で説明するとして、まずは『鴉』の漢字の由来から。
カラスは「ガーガー」と鳴く。
この鳴き声の「ガー」に当てはまる漢字が「牙(ガ)」になり、そうして「牙」+「鳥」で『鴉』になったというのだ。
「牙」はもともと「キバ」の意味で、カラスにはないものだ。
ないものがどうして名付けられたのかといえば、実は単なる当て字で、聞こえたとおりの「音」を漢字で表し当てはめたという。
ちなみに馴染みのある『烏』という字は、「鳥」から一本線が足りない成り立ち。
この漢字の由来も面白い。
これは、カラスを遠くから見ると真っ黒くて目が無いように見えたので、目の部分に当たる線を一本抜いたといわれている。
なるほど、面白い。
鳩(ハト)
同じように見えて実は種類の多い『鳩』。
種類によって鳴き方もちがう。
そんななかでもよく耳にするのが、早朝から「デッデーポッポー」と鳴いているキジバト。
同じく、低音でのどを鳴らすような「クックー」と聞こえるのはドバトの鳴き声で、公園などによくいる鳩のこと。
このドバトの「クックー」という鳴き声の「ク」に「九(ク)」を当て、『鳩』という漢字ができたといわれている。
昔の人がドバトの鳴き声を聞いて『鳩』という漢字を作ったと知れば、公園の鳩の見方も少し変わってくる。
鵞鳥(ガチョウ)
ガチョウは「ガーガー」鳴く。
その「ガ」に「我」の漢字当てて、遥か昔にはそのまま『鵞(ガ)』と呼ばれていた。
しかし江戸時代の頃には、『鵞』の後ろに「鳥」が付き『鵞鳥』になった。
『鵞鳥』は漢字検定1級で登場する難しい漢字だが、由来を知っていると非常に簡単に覚えられる。
鴨(カモ)
『鴨』は「コウコウ」と鳴くので、その鳴き声を「甲」で当てたといわれている。
現代人にとってのカモの鳴き声とは、ドナルドの鳴き声に代表される「グァグァ」の印象が強いと思うが、昔の人には「コウコウ」と聞こえたのだろう。
猫(ネコ)
意外にも『猫』の漢字もその鳴き声から付けられている。
『猫』は「ミャーミャー」と鳴く。
そのことから「ミャー(ウ)」≒「苗(ミョウ)」+「犭(けものへん)」で『猫』と表したとか。
ちなみに漢字発祥の地・中国では、猫の鳴き声を「口へん+苗」という漢字で書き表すらしい。
そこから『猫』という字になったという説もある。
蚊(カ)
『蚊』は、飛ぶ羽音の「ブーン」に「文」の漢字を当てて付けられたそうだ。
こちらは鳴き声ではなく、飛ぶときの音に由来している。
案外単純だが、成り立ちがシンプルな漢字ほど頭に入ってきやすい。
言葉の成り立ちはダジャレの宝庫
漢字の成り立ちはもとより、言葉の成り立ちにもダジャレのような言葉遊びが多く隠されている。
現代人が聞けば馬鹿馬鹿しく聞こえてしまうようなダジャレでも、無から有を創り出すことを考えればそうそう馬鹿にもできはしない。
ダジャレでできた言葉は、総じてシンプルで覚えやすい。
だからこそ多くの人に認知され、今この時まで脈々と遣われ続けてきたのだろう。
もしかしたら寒がられるオヤジギャグだって、未来の人の新語になる時が、いつの日か訪れるのかもしれない。
ダジャレも馬鹿にはできない。
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