アニメ『機動戦士ガンダム』トリビア
マ・クベのキャラクターは偶然から誕生した!?
アニメ『機動戦士ガンダム』とは
アニメ『機動戦士ガンダム』とは、『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』を経て富野由悠季氏が手がけたロボットアニメ。
名古屋テレビ発テレビ朝日系列で1979年4月7日から1980年1月26日まで放送。
全43話。
宇宙世紀としては79年9月18日~79年12月31日までの86日間を描いた戦争となっている。
企画された経緯に宇宙戦艦ヤマトの人気があり、作風についてもヤマトや十五少年漂流記、宇宙の戦士などの影響が見受けられる。
当時スーパーロボットが活躍するシンプルで明るいロボットアニメがそれまでのメインストリームであった中で、重厚な人間関係やメカニック描写などを前面に押し出したシリアスなリアルロボットアニメのジャンルを確立し、後の時代にあらゆる方向に多大な影響を及ぼした。
またストーリーは連続ドラマ方式で、基本的に1話完結で終わることの多い当時としては斬新な内容である。
だが、リアルを目指し過ぎたのが難点になっていたらしく、放送当時の評価は実はあまり良くなかった。
特に前半はリアルな雰囲気を出すためなのかロボット(MS)が少ない。
そのため絵的に変わり映えがしなかったりとストーリーのテンポが悪くなることに繋がってしまっており、地味と評価されることに。
後半からはMSの数も増えるなどして改善されていったが、全体的に他のロボアニメと比べると地味と思われる要因が多かったためか、放送当時はあまり視聴率が振るわず全52話の放送予定を全43話へ短縮となった。
しかしその後、後半からの改善の効果もあってか本作の連続ドラマ方式で描かれる、シリアスで斬新な内容は少しずつ口コミなどによって他とは違うと評価を高め、更に劇中メカニックのプラモデル(通称ガンプラ)の発売によって人気が高まる。
本編も再放送によって一気に知名度が上がることとなり、放送当時とは全く違った高視聴率を獲得。
その結果、劇場版で大ヒットを飾り、長い時間は経ったものの続編『機動戦士Zガンダム』が1985年に放送され、シリーズ化されることとなった。
今では40年以上続く人気ロボットアニメシリーズの原点となるに至っている。
あらすじ
宇宙世紀0079。
人類が、増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、すでに半世紀。
地球から最も遠い宇宙都市サイド3は、ジオン公国を名乗り地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。
1ヶ月余りの戦いでジオン公国と連邦軍は、総人口の半分を死に至らしめ、連邦軍劣勢のまま戦争は膠着状態に陥る。
サイド7の少年アムロ・レイは、ジオン軍の奇襲をきっかけに偶然、連邦軍の新型モビルスーツ・ガンダムに乗り込み、パイロットとなる。
戦火を生き残るため、戦艦ホワイトベースで少年少女たちとともに軍人としての戦いを強いられていくうちに、やがて “ニュータイプ” として覚醒していく。
苦しまぎれで生まれた名物キャラクター
その独特の口調で人気の高いマ・クベ。
独特の癖のある髪型、やや黄色みがかった肌色、宋の時代の骨董品を持つことから、黄色人種で、名前のマ(馬、など)から中国系の人種をイメージしたものと思われる。
ジオン軍の地球侵攻作戦において、第1次降下作戦で獲得した資源採掘地帯「オデッサ」の基地司令となり、資源採掘・輸送、基地防衛などを統轄していた。
官僚的で政治的な駆け引きには長けるものの、計算高い性格の上に情が薄く冷酷、任務達成のためなら手段を選ばない狡猾な印象が強い。
ただしその策はしばしば詰めが甘く、失敗した際の備えも疎かであるなど、自信過剰なところもあった。
ガンダムデュエルカンパニー04弾/GUN-DC04/ R1 / マ・クベ / GN-DC04 PL 027 / パイロット / 機動戦士ガンダム / ジオン公国
だが声を担当した塩沢兼人氏は、思わぬ苦労をしていたようである。
惜しくも2000年5月10日に亡くなった声優の塩沢兼人氏。
コミカルな役から二枚目まで演じられる名優であり、『機動戦士ガンダム』ではマ・クベ大佐の演者として知られている。
マ・クベはねちっこくもクールな話し方で、ファンの間では人気の高いキャラクターだ。
そんなマ・クベの初登場は第16話「セイラ出撃」。
初めてのセリフは「良い音色だろ?」。
壺を指先でチーンと弾き、その音色を部下に聞かせるインパクトのある登場シーンだ。
ところが当の塩沢氏は、このマ・クベを「とにかく、最初は1回(1話)で終わる役だと思っていました」とインタビューで明かしている。
実は第16話で、塩沢氏は別の役(ホワイトベースクルーのジョブ・ジョン)も兼ねており、マ・クベの演技をジョブ・ジョンと差別化しなくてはならなかった。
そこで「苦しまぎれにあのような芝居をしてしまったわけです」(前出インタビューより)。
つまり、マ・クベの独特の話し方は塩沢氏のアドリブだったのである。
ところが、マ・クベは都合9回も登場してしまった。
「"これは大変なことをしてしまったぞ" と思いました。それが一回目をやってしまってからの痛切な感想です。それからは苦しみました、ホントに」(前出インタビューより)。
なぜこんなことが起きてしまったかというと、『機動戦士ガンダム』は一人二役〜三役が非常に多いアニメだったからだ。
端役を複数の声優が持ち回りで演じたり、かと思うとマ・クベのような脇役キャラクターをいきなり演じたり…と、かなり混沌とした状況だったようである。
そんなマ・クベだが、第37話では専用モビルスーツ・ギャンを与えられガンダムと対峙する。
その最後のセリフは、「ウラガン…キシリア様にあの壺を届けてくれよ!あれは良い物だ!!」。
壺にこだわった最期は、マ・クベがファンのみならず、スタッフにも愛されていた証拠かもしれない。
ちなみに塩沢氏のお気に入りのセリフは「シャアを図にのらせるわけにはいかんのだよ」だそう(前出インタビューより)。
「このセリフを言わせて死なせてくれたことは、サンライズさんや脚本家のご好意じゃないかと思いますね」とまで、塩沢氏は語っている。
最初は失敗や勘違いだと思っていたものが、後に成功となる事例は枚挙にいとまがない。
『機動戦士ガンダム』では、塩沢兼人氏のマ・クベ役こそがその代表なのかもしれない。
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