其の五十二
美しき日本語の世界。
言葉遊びに見られる皮肉
江戸っ子の皮肉
江戸の皮肉は、主に「狂歌」や「川柳」といった言葉遊びに見られ、当時の社会や政治を風刺したり、庶民の日常の出来事を面白おかしく表現したりした。
また、絵画においても、直接的な表現を避けながら、巧みに風刺や批判を込める技法が用いられた。
狂歌と川柳
狂歌
江戸時代後期に流行した、滑稽で風刺的な歌である。
教養ある武士や町人の間で広まり、政治や社会を風刺する作品も数多く生まれた。
川柳
狂歌の影響を受け、七七の前句を除いた五七五の句として定着した。
庶民の日常や世相を皮肉り、現代の川柳にまで繋がるユーモア文化の源泉である。
その他の表現
浮世絵
歌川国芳の「源頼光公館土蜘作妖怪図」のように、一見すると神話や物語を描いているように見えても、実は幕府の改革を風刺する意図が込められていた。
言葉遣い
たとえば「馬の骨」という言葉には、素性の知れない者を指すほか、粗悪な油(馬の骨の膏)を指す皮肉な意味合いもあった。
落語
登場人物の口調で、その性格や社会的な立場を皮肉ったり、風刺したりする演出技法が用いられた。
言葉の奥深さは洋の東西を問わない
「ググれカス」という言葉がある。
「Googleで検索すればすぐわかるようなことなのに、他人に聞くのはやめろ」という意味で、2000年代初頭に広まったインターネットスラングのひとつである。
(このようなカス…もとい、このような困った人が最近あまりに多すぎてうんざりするのだが…)
実は、英語にも「ググれカス」という言い回しがあるのをご存知だろうか。
しかも、日本語よりも皮肉たっぷりで?
Google is your friend.
「ググれカス」を英語で表現すると「Google is your friend.」となるらしい。
直訳は「Googleはあなたの友達です」と訳さるが、真意は「まず自分で調べろ」である。
オシャレな響きだが、よくよく考えてみると京言葉的な皮肉っぽさが混じってて、どこか品の良さを感じさせる。
日英で共通するスラングやネット用語、実は他にもたくさんある。
- 「That is a very brave proposal(それは勇敢な提案ですね)」→「ばかげている」
- 「I hear what you say(言いたいことはわかりました)」→「もうあなたとは話したくない」
どんな言語にも、皮肉めいた表現はたくさんあるようだ。
知性と語彙力が試される皮肉
ユーモアある皮肉を理解するためには、知性も語彙力も必要だ。
知性と語彙力がなければ、皮肉も通じない。
何せ、言葉を解する能力が圧倒的に欠如した人間である。
皮肉が通じない人だから、オブラートに包んだ表現はもちろん一切通じない。
だが、面と向かって厳しく注意することが憚られる現代である。
厳しく指導されることなど、もはやない。
ダメ出しですら、今後はすべて、やんわり伝えることになるのだろう。
しかし、優しく伝えたはずの忠告がまったく伝わらないとなると、周りからは「言っても無駄な人間」「言うだけ無駄な人間」だと思われてしまう。
"今だけ、自分だけ" の人なら、周りに迷惑さえ掛けなければそれでもいいが、格好いい大人を目指すなら、最低限の知性と語彙力は持ち合わせていたいものである。
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