「日本の代表的なアニメといえば?」
こう聞かれたなら、あなたならどう答えるだろう。
全世界にコアなファンを抱える庵野秀明監督の『エヴァンゲリオン』?
富野由悠季監督の『ガンダム』も、未だ根強い人気を誇っている。
『サマーウォーズ』に代表される細田守監督作品だって人気がある。
世界的大ヒット映画『マトリックス』に影響を与えた押井守監督の『攻殻機動隊』…は、少しマニアックか。
大人向けアニメの先駆者とも呼べる、大友克洋監督の『アキラ』はその昔ハリウッドでも人気を博した。
興行収入だけでいえば『鬼滅の刃無限列車編』は、日本のみならず世界でも大ヒットしている。
原作の人気でいうなら、鳥山明先生の『ドラゴンボール』だって、井上雄彦先生の『スラムダンク』だって、尾田栄一郎先生の『ワンピース』だって、世界中で爆発的な人気だ。
これらの作品は、どれも日本を代表するアニメといっていいだろう。
しかし、日本のアニメの実力はまだまだこんなもんじゃない。
たとえ有名でなくたって名作は存在する。
あまり周知されていない作品の中にだって、名作は存在する。
そこで、知名度や興行収入はイマイチでも、絶対にハマるアニメをご紹介したいと思う。
アニメ
茄子 スーツケースの渡り鳥
茄子 スーツケースの渡り鳥
『茄子 スーツケースの渡り鳥』とは
『茄子 スーツケースの渡り鳥』は、マッドハウス制作のOVA作品だ。
2007年10月24日発売。
原作は黒田硫黄氏の漫画『茄子』の短編『スーツケースの渡り鳥』。
東京国際アニメフェア2008・第7回東京アニメアワード優秀賞OVA部門受賞。
2003年に公開されたアニメーション映画『茄子 アンダルシアの夏』の続編となる。
スペイン・アンダルシア地方を舞台とした前作から一転、日本の栃木県宇都宮市で開催されるジャパンカップサイクルロードレースが舞台となっている。
競技会場となる森林公園周回コースのほか、宇都宮の市街地、大谷平和観音や大谷磨崖仏などの史跡が登場する。
前作では主人公ペペのプロアスリートとしての孤独な戦いが描かれたが、本作では所属チームの相棒であるチョッチとの信頼関係が柱となる。
ストーリー
主人公であるペペが所属するサイクルロードレースチーム「パオパオビール」は、ジャパンカップサイクルロードレースに出場するため来日した。
女性ボランティアのヒカルのガイドで日本文化を楽しむ選手たち。
だが、今年一杯でチームの解散が決まっており、それぞれ身の振り方を考えていた。
なかでもチョッチは、親友であったスター選手ロンダニーニの自殺を重く受け止め、厳しいプロ生活に疑問をおぼえており、ペペに現役引退をほのめかしていた。
大会当日は降りしきる雨の中でのレースとなったが、ペペとチョッチは集団から飛び出し、5名の逃げグループを形成する。
その中には以前パオパオビールに所属していたギルモアも交じっていた。
しかし、ペペは濡れた路面で転倒し、アシストを失ったチョッチも遅れだす。
レース終盤、天候が回復し始めた頃、後方集団にいたザンコーニが突如単独アタックを開始し、圧倒的な脚力で先頭グループに追いつく。
そのままトップに躍り出るが、ゴールまで1周を残して謎の棄権をする。
ペペもチョッチを引っ張って先行グループに追いつき、チョッチにゴール前のスプリント勝負を託して力尽きる。
ギルモアとチョッチに絞られた優勝争いの結末は……。
前作同様、特に山場なし(笑)
だが何故か面白いから不思議な作品
前作『茄子 アンダルシアの夏』同様、主人公のペペ役を大泉洋氏が声優としてつとめている。
本作品の舞台は前作と打って変わって日本国内になっていること以外、特段変化はみられない。
前作同様、劇的な展開も、派手な盛り上がりも、感動的なシーンも特にない。
変わったことといえば、チームをサポートするボランティアの存在だ。
地元ボランティアと外国チームとの交流は、心温まるエピソードとして描かれている。
この作品は個人的に思い入れがある。
何故なら、舞台となっている栃木県宇都宮市は昔少し住んだことがある思い出の街だからだ。
物語序盤に出てくる宇都宮市街の風景は、なんとも懐かしい気分にさせてくれる。
また、前作は主人公のためのレースだったが、今作での主人公はサポート役なのもなかなか面白い。
主人公が勝たないという、自転車のロードレース特有の魅力がふんだんに詰まった名作アニメ。
前作『茄子 アンダルシアの夏』と一緒に、イッキ見してみては如何だろう。
名曲「自動車ショー歌」
エンディングテーマ「自転車ショー歌」は小林旭氏の「自動車ショー歌」の替え歌であり、自転車愛好家として知られる忌野清志郎氏が歌と編曲を担当した。
作詞は原曲と同様に星野哲郎氏による新規書き下ろしである。
これはペペ役の大泉氏が出演する『水曜どうでしょう』の企画「対決列島」の中で『自動車ショー歌』が使用され、それを監督が気に入ったことに由来するらしい。
続編『茄子 スーツケースの渡り鳥』でもエンディングテーマ曲に採用されている。 歌詞には原曲に倣い、自転車関連のメーカーやブランド名が駄洒落的にちりばめられているから面白い。
1番 ミヤタ → コルナゴ → ビアンキ → プジョー → コメンサル → ルック → クライン → トマジーニ (Tommasini) → モールトン → バッタリン
2番 オルモ → スカピン (Scapin) → カンパ → キャノンデール → カッレラ (Carrera) → カザーティ (Casati) → アラン (ALAN) → マヴィック → ジャイアント
3番 マルイシ → マージ (Masi) → バッソ (Basso) → スピナジー (SPINERGY) → アマンダ (Amanda) → コロンバス → ムラーカ (MURACA)
4番 スペシャライズド → トレック → アンカー → デローザ → ジタン (Gitane) → ピナレロ→[※]→チネリ → コッピ → ボッテキア (Bottecchia) → オルベア
※ここには「ソニック」という言葉が入るが、これがパナソニック(とりわけパナソニック サイクルテック)を指すかどうかは不明。
最高のセンスじゃないか?
こういう粋な遊び心が、今の日本には圧倒的に足りていない。
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