自主制作アニメーション
神々来々
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
たぶん多くの人が好きにはなれないし既視感もなくはないけれど、この才能を凄いと感じた
自主制作アニメーション『神々来々』とは
『神々来々』とは『スイソウ』※の武田椿監督によるアニメーション作品。
第16回下北沢映画祭コンペティション入選作品。
独特なタッチの作風でシュールな物語を紡ぐ。
監督・声:武田椿
音楽:寺内天心
音響:元木一成
あらすじ
白線の上だけを歩いてきた男は前に進めなくなった。
スマホに目を向けると「神々来々」というタイトルの動画が表示される。
物語が始まり、彼は振り返り再び歩き出す。
新作神々来々のCM版を公開しました。https://t.co/Zj6atRVWkL#藝大アニメ #終了展 #自主制作アニメーション #自主制作アニメ
— 椿 (@TakedaTsubaki) 2024年2月25日
テレビ版エヴァンゲリオンの頃の庵野秀明、再来の予感
なんだろう、このテレビ版エヴァ最終盤を観た後のような複雑な気持ちは。
テーマも作風もまったく違う。
だが類似点がないわけではない。
アニメと実写を巧みに組み合わせた独特の映像。
まるでATフィールドを思わせる心理的描写。
そしてどちらも主人公が酷く内向的であること。
まるで庵野秀明監督作品を観た時のような感覚。
下北沢映画祭コンペティション入選作品…。
なるほど、たしかにサブカルの粋を集めたような作風である。
この国では、人と同じであることを求められる。
普通に生きたければ、人と違うことを隠さなければいけない。
個性の尊重なんて綺麗事でしかない。
描きたいこと、主張したいことは痛いほどわかるが、とにかくテーマが暗すぎる。
娯楽アニメとは対極にあるような作品だから、おそらく多くの人には響かないし、好きにはならない作品なのだろう。
その主張だって、それをそのまま吐き出したような本作は、子供の駄々のようにもみえる。
しかし、その駄々を自分の主張として、正確に映像として表現・具現化できるというのは、並大抵の才能のなせる業ではない気がする。
まだまだ荒削りな部分があることは否めないが、本作には才能の輝きを感じる。
こういう新しい才能こそ、大切にしていかなければならないと強く思う。
日本では、文化庁をはじめとする政府機関が、文化・芸術活動を支援するための多様な補助金制度を提供しているが、文化・芸術分野では、資金の配分が不均衡であることが大きな課題である。
特に、知名度の高いアーティストや大規模プロジェクトに資金が集中しがちであり、小規模な地域文化活動や新進アーティストには十分な支援が行き届いていない。
特定のジャンルや都市部に補助金が偏り、地方や伝統芸能、現代アートなどのニッチな分野への支援が不足しているのが現実だ。
国にもし、本気で日本の文化を世界に発信する気があるのなら、こういう新しい才能の芽は絶対に絶やしてはならない。
資源の乏しい日本にとって、新しい才能こそが未来の宝なのだから。
武田椿監督の今後の活躍にぜひ期待したい。
キレキレだったあの頃の庵野秀明監督のような、いつかこんな作品を作ってくれそうで楽しみだ。
※.『スイソウ』
監督:武田 椿 (東京藝術大学大学院)
アニメ/2021/3分11秒
感染症拡大につき、部屋に閉じ込められた主人公は、揺蕩うシーラカンスの夢をみる。
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