アニメ
ハイスコアガール
『ハイスコアガール』とは
スクウェア・エニックスの『増刊ヤングガンガン』2010年VOL.11と『増刊ヤングガンガンビッグ』にて、2011年VOL.1からVOL.3まで連載し、同誌が月刊化して誌名が『月刊ビッグガンガン』となった後も引き続き同誌で2018年 VOL.10まで連載された。
著作権侵害問題・刑事告訴事件のため、2014年VOL.9以降は休載中であったがSNKプレイモア(当時)との和解成立により2016年VOL.8より連載が再開され、合わせて単行本第6巻と、既刊5冊分の加筆修正版である『ハイスコアガール CONTINUE』全5巻が発売された。
2012年ブロスコミックアワード大賞を受賞。2013年版「このマンガがすごい!」オトコ編で2位を獲得。
2018年から2019年にかけてアニメが製作された。
『ハイスコアガール』完結後、原作者の押切が「ハイスコアガールは続く!」と明言しており続編を匂わせていたが、スピンオフとなる『ハイスコアガールDASH』の連載開始が告知され、『月刊ビッグガンガン』2020年Vol.1より連載を開始した。
単行本第1巻の発売を記念してPVが公開された 。
溝口(神奈川県川崎市高津区)を舞台に、ブームの火付け役となった「ストリートファイターII」(以下『ストII』)を主人公・矢口春雄とヒロイン・大野晶の因縁として位置付けて描いたラブコメディ作品である。
本作では登場人物たちの心情が、実際に発売されたゲームのプレイ画面やキャラクター、そのゲームにまつわるエピソードなどを通じて表現されている点が大きな特徴となっている。
ゲームキャラクターたちにも本作独自の性格付けが行われており、不安・葛藤に直面した主人公を励ますなどユーモラスにアレンジされて描かれているほか、特にヒロインの1人は「ゲームプレイの内容から心情が読み取れる」ことを意図した人物像・描写がなされている。
過去発表作『ピコピコ少年』、『ピコピコ少年TURBO』などで語られた作者自身のゲームにまつわる体験や薀蓄がふんだんに盛り込まれており、当時の熱狂を知る世代の読者には一種の回想録としても楽しむことができる作風となっている。
ストーリーの設定上、アーケード、家庭用含めビデオゲームが話の中心となるが、ゲームセンターに設置されていた体感ゲームやエレメカなども多数紹介されている。
なお、一部の読者から「ハルオ=作者自身の投影なのではないか」と解釈されることがあり、そういった意見を作者は否定している。
そうした誤解を防ぐ意図もあり、本作はモブキャラクターとして所々に『ピコピコ少年』の主人公である神崎少年(作者自身)を登場させているほか、『ピコピコ少年』と時間軸を連動させる意味でメインキャラクターの生年も1979年(作者と同じ)という設定がなされている。
スピンオフ作品『ハイスコアガールDASH』は実質の続編であり、本作の完結から11年後となる2007年を舞台として描かれている。
作中では、その当時使われていたガラケー(いわゆる「パカ折り」と呼ばれた折り畳み式携帯電話)やPSPなどが登場している。
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アニメ『ハイスコアガール』とは
2013年12月にアニメ化が発表されたが、著作権侵害問題の発覚以降は長期にわたって情報がない状況が続いていた。
その後、2018年3月24日にテレビアニメ公式サイトが開設され、第1期が同年7月から9月まで全12話が放送された。
ナレーションは大塚芳忠氏。
放送終了後、テレビシリーズの続きとなる全3話が2019年3月にOVA化され、同年10月から12月まで第2期『ハイスコアガールII』が放送された。
第2期放送前には、OVAが3週連続でテレビ放送された。
作品の特徴として、トゥーンレンダリングを用いていることがあるほか、実在のゲーム画面を使用する関係で、SNK、カプコン、CAPCOM USA,INC.、バンダイナムコエンターテインメント、KONAMI、SEGAの著作権表示が併記されている。
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押切先生の独特なタッチを忠実に再現
第4話放送前にねとらぼがアニメーション制作統括の松倉友二氏に実施したインタビューによれば、初めてフル3DCGに挑戦した理由として、押切先生の独特なタッチを2Dで表現することが難しいなどの観点から複合的に判断したほか、筐体やゲーム画面の再現とキャラクターとのマッチング、大野の表現が挙げられている。
ゲーム画面と筐体、ゲームセンターの再現も考えての選択は、3Dの固さや違和感にキャラものとしての一面を売りたいと思っていた皆から反対されたが、現場が頑張ってくれたおかげで視聴者からはポジティブな意見も多かったという。
SMDEへの外注については、自社とは技術力とキャパシティーが段違いであることを挙げており、キャラクターデザインはSMDEのデザイナーが線画を起こしてそれを基に3Dを起こすなど、最終的には監督によるチェックこそあるものの絵作りのすべてを任せている。
アニメ化にあたっては、過去に色々とトラブルがあった経緯を踏まえ、関係各所に徹底的に許可を取ることから始まった。
また、筐体の採寸もかなり苦労したといい、特殊筐体はなかなか現存していない状況の中を調べては採寸できるように手配したほか、汎用筐体は中古で買って提供することを嫁に相談して激怒され、肩を落としながら秋葉原をさまよっていたところ、偶然見つけたので飛び込みで名刺を渡して責任者を訪ねるなど、直談判で交渉した。
家庭用ハードについても、春雄の律儀さゆえに外箱まで必要となったために探し回り、Beepやスーパーポテトに名刺を渡したところ、無償で貸してくれたという。
ゲーム画面のフレームレートに合わせてアニメ自体も60pで制作しているが、通常のフルアニメが24pなので単純にデータ量が倍以上になり、1秒で60枚分の画像をレンダリングするので3Dの方からは抵抗に遭った。
また、日本では3コマ作画が馴染まれているため、3Dでヌルヌル動くのは嫌われる危険性があったが、SMDEの方でうまく調整してもらった。
24pの映像に60pのゲーム画面を入れ込むと60pの方の映像のコマが飛ぶため、何が何でも60pだという話になったそうである。
原作の再現プレイについては、自身の腕ではゲームの数の多さからも絶対無理であるため、高田馬場のゲームセンター「ミカド」の常連でもある押切先生による仲介のもと、ミカド勢にコンボの監修込みで協力してもらった。
ゲームセンター内の音の再現にも力を入れており、SEの担当者に資料や基板、コンパネを渡して話し合ったが、ダビング作業では不要なSEが後方で入り込むなど、大変だったという。
劇伴(音楽)については、『極上生徒会』での下村陽子さんとの仕事を思い出したこともあり、「ストリートファイターII」など「本物」を担当した彼女にワーナーブラザース ジャパンと両方から連絡を取り付け、原作をすぐに送った。
その後、「○○のステージっぽいもので」との注文で上がってきた音源を聞き、「さすが本物が作ると違うな」と思ったと述べている。
あらすじ
Season.1
小学生編
1991年。
雲仙普賢岳の噴火、湾岸戦争の勃発など、様々な事件が世間を騒がせていた当時、そんなことは我関せずと日々ゲーセン通いに明け暮れる小学6年生の矢口春雄(ハルオ)は、ある日行きつけのゲーセンでクラスメイトの大野晶に出会う。
下町のゲーセンには不似合いな成績優秀で金持ちのお嬢様である晶は、実は凄腕のゲーマーだった。
自身が最も得意とする「ストII」で惨敗を喫したハルオは、ゲームしか取り柄の無い自分にとって最も輝ける場を脅かす晶を追い出すため、禁じ手とされるハメ技を使ってまで勝とうとするが、激怒した晶に殴り倒されたうえ、行きつけのゲーセンから出入り禁止を喰らう。
これがハルオと晶の因縁の始まりだった。
ゲームで遊ぶために足を運ぶその先々で鉢合わせするハルオと晶は、時にいがみ合いぶつかり合いながらも、ゲームを通じて少しずつ互いの距離を縮めていくが、晶には海外への転校が決まっていた。
晶のお別れ会でもそっけない態度を取ったハルオはクラスの面々から非難されるが、当初は自分の聖域に踏み込んでくる忌々しい存在とまで思っていたはずの晶が、いつのまにか自分にとってかけがえのない存在になっていたことに気付き、晶が出立する寸前に空港まで駆けつけ、再会を約束する。
中学生編
1993年初冬。
中学2年生になってもゲーム三昧の日々を送るハルオに、クラスメイトの日高小春が興味を持つ。
「バーチャファイター」、「サムライスピリッツ」、「餓狼伝説」シリーズなど、次々と登場する新作に熱狂するハルオを後ろから眺めながら、小春はハルオのペースに巻き込まれ、惹かれていく。
その一方、小春の想いに全く気付かないハルオは、なかなか「ストリートファイターIII」がリリースされないことがまるで晶との再戦を待ってくれているかのような感覚を抱きながら、バージョンアップを重ねる「ストII」シリーズの腕を磨いていた。
1994年4月。
中学3年生になったハルオは、アメリカから帰国し自分の学校に転入してきた晶と再会するが、「再会」に対して抱いていた想いが図らずもすれ違いを生む。
そのため、再戦の機会がなかなか訪れずにいたが、修学旅行の自由時間を狙ってエントリーしていた「スーパーストリートファイターIIX」の大阪大会で、同じく大会にエントリーしていた晶の姿を見つける。
すれ違い続ける晶との関係に答えの見えない煩悶を募らせていたハルオは、この機を絶対に逃すまいとトーナメント戦を勝ち上がり、決勝の大舞台でついに因縁の再戦を迎える。
様々なすれ違いや衝突を経て再び昔のように晶と遊ぶようになったハルオは、晶と離れたくないという自分の想いを自覚し、現在の学力では到底不可能であろう晶と同じ上蘭高校へ進むため、ゲームを封印し翌年春までの半年間、勉強に専念する。
高校生編
1995年6月。
上蘭高校の受験に失敗したハルオは晶への引け目からゲームセンターへの足が遠のき、気持ちがくすぶったままの日々を送っていた。
そんな状態を見かねた小春によって強引にゲーセンへ連れ出されたハルオは彼女から勝負を挑まれ、完膚なきまでに敗北する。
失意のどん底で心が折れかけるが、捨てきれなかったゲーマーとしてのプライドと合わせ、晶への想いを再び灯したハルオは再起を決意する。
7月。
晶の恋路には家庭環境という壁が立ちはだかり、ハルオが晶のために自分にできることを考え始め、彼らの絆を目の当たりにした小春は胸の痛みを隠せない。
3人の想いが交錯する中、想いを抑えられなくなった小春の告白や、晶との離別を迫る大野家の家庭教師である業田萌美との対面により、ハルオは自分の本心を見定められないままに困惑したうえ、急変した大野家の内情によって半ば無理矢理に晶との別れを余儀なくされる。
しかし、離れてもなおハルオと晶が各自の胸に抱く想いは新たな変化をもたらしながら、前へ歩みを進ませてゆく。
8月末。
晶のために今の自分にできることに全力を尽くすと決意して努力を重ねたハルオは、夏休みの終わりを前に小春との再戦に臨む。
秋。
晶の姉である大野真は、苛烈な家庭教育に疲弊する妹を元気づけるべく、ハルオに接触する。
真に振り回されながらもハルオは真の助言を受けて晶のために奔走し、真を通じて届けられてくるハルオの思いは晶の支えとなるが、それすらをも見咎めて自分の心を踏み躙った業田先生に対し、晶は初めて拒絶する。
晶からかつてないほどの敵意を向けられたうえ、ハルオの人柄を知った業田先生はこれまでのやり方を省み、態度を改める。
AOUショー当日。
晶が隣にいない寂しさを抱えながら会場へ向かおうとしたハルオの前に、業田先生の計らいによって外出を許された晶が現れる。
Season.2
小春との再戦以来、地元のゲーマーたちから妬み嫉みを受けて居辛くなったハルオは、渋谷のゲーセンでゲーマー集団「渋谷勢」が地元のゲーマー集団「溝の口勢」との対戦を控えていることを知り、周囲に半ば流されながらも加担することになる。
一方、ハルオへの想いを燻らせていた小春にも対戦の話が舞い込み、最初は参戦を渋るものの彼が相手側に着いたことを知り、参戦を決意する。
渋谷に染まっていくハルオの姿に周囲が心配を募らせることはまもなく晶の耳にも届き、踏み入れることを固く禁じられているはずの渋谷へ足を向けさせる。
対戦当日。
小春は1人でハルオを含めた渋谷勢10名を叩きのめしたうえ、ハルオを狙っていた女の子には彼を自らの恋人と称して牽制しつつ、こっそりと抜け駆けしハルオを街へ連れ出す。
悪天候と交通機関の麻痺によって帰宅できなくなった2人は、深夜の渋谷のファミレスで時間を潰し、小春はそこでハルオに想いをぶつけるも、受け止めてもらえないまま朝を迎える。
ハルオの鈍感さに怒り、恋慕を抑えきれなくなった小春が激情の赴くまま抱擁を求めたところに、ハルオを捜して渋谷で夜を明かした晶が現れる。
1996年4月。
ハルオたちは2年生へと進級した。
渋谷で夜を明かしたハルオと小春の姿を見た晶は、後日イタズラながら使用人らにハルオを拉致させ自宅へ招き入れ、その夜はハルオに「ファイナルファイト」シリーズを最新作から初代へと順にプレイをさせる。
それは無口な晶なりの意思表示であり、その真意を汲み取ったハルオは晶に詫びを入れ、晶もそれを受け入れる。
翌日、晶はハルオを置いて朝から一人で外出し小春に直接会いに行き、ゲームセンターで格闘ゲーム対決をする。
そこでも晶が小春を圧倒したことで、小春は改めてハルオと晶の2人の間に自身が付け入る隙(好き)がないことを悟る。
原付免許を取得したハルオは、最初に晶に自慢するため、真から貰った原付で大野家に向かう。
裏庭で塀越しに「いつでもこれで会いに行く」というハルオを嬉しく思った晶だったが、直後に悲し気な顔も見せる。
ハルオはそれに気付きつつも理由は敢えて聞かずそのまま帰ったのだが、帰り道、河川敷を走りながらその理由を考えていると、ふと、昔2人で一緒に河川敷を歩いたりしたことなどを思い出す。
そして後日、バイト中も晶のことを考えると、自分にとって晶は「大切な存在」「好きな人」なのだと初めて認識したのだった。
ただ、それを告白しようにも、今さらどうやって告白すればいいのかわからない…
そんな悩みを抱えるハルオのために、ハルオの部屋に真や宮尾光太郎、土井玄太といった仲間が集まった。
そこで土井は、7月に大阪で行われる「ストII」の全国大会に晶と2人揃って出場し、直接対決で勝って告白するようアドバイスする。
真は帰宅後、晶にその旨を伝え、全国大会への参加を促す。
実は晶は、その時既にロサンゼルスに住む両親から再度アメリカに来るよう言われており、夏休み中の7月下旬には日本を旅立たなければならなかった。
しかもこの事実を知っていたのは晶以外では萌美だけで、じいやは薄々聞いていた程度。
真に至っては姉ながら全く知らないという状態だった。
晶は「アメリカに行く」ことは「ハルオとの別れ」だと考えており、全国大会でハルオとの直接対決で自身が勝利すれば別れを告げることを決意し、萌美からも事実上のOKを貰ったことで、晶も全国大会にエントリーする。
7月。
全国大会の前日。
駅のホームで大阪行きの新幹線を待っていたハルオの目の前に、晶が現れる。
2人で一緒に大阪へと出向き、その日の夜は大阪のゲームセンターでゲームを堪能し、同じホテルで同宿する。
だが、部屋に飾られた額縁が落ちて割れたのを見て晶は怖がってしまい、結局その夜はそれぞれが思いを巡らせつつ同禽したのだった。
そして翌日、全国大会当日。
ハルオ、晶はともに初戦は別の相手との対戦となったが、ハルオは勝利したものの、晶はまさかの敗北を喫してしまう。
まさかの初戦敗退となった晶だったが、気の迷いがあったか初戦で敗れたことで吹っ切れ、改めて自分を見つめ直し、敗者復活戦を勝ち上がる。
ハルオも順調に勝ち上がり、ついに準決勝でハルオと晶の直接対決が実現する。
三本勝負で晶が先制もハルオが取り返し、勝負はファイナルラウンドへ。
体力ゲージはほぼ互角、あとは必殺技が決まれば決着という状況になる。
ハルオは晶に告白をするため、リフトアッパーを「決め」に行く。
全国大会から戻ったあとのハルオは、魂が抜けたような状態にあった。
晶との戦いに敗北し告白する機会を失っただけでなく、晶が再びアメリカに発つことを聞かされたショックで、放課後はゲームセンターには足が向かず、自宅でもゲームには手が付かなかったのだった。
そんなハルオを心配して様子を見に来た真はハルオに対し、晶の出発日を教えた上で「必ず見送りに来るよう」伝えたあと、帰り間際に晶から預かったものを渡す。
真の帰宅後、ハルオが封を開けて取り出したもの、それは小学生の時に空港で餞別として晶に渡したおもちゃの指輪であった。
小学生の時から肌身離さず大事に持っていた指輪を、晶は真を通してハルオに返してしまったのであった。
7月24日、晶がアメリカに向かう日。
だが、「別れを告げられた」と思い込んでおり、とても気持ちが空港まで向かわなかったハルオは何気なく外を出歩いていると、矢口商店の前で偶然小春と顔を合わす。
ハルオは小春に「大野とはもう終わった」と言い、さらには昔あげた指輪を返されたと自虐的に伝えると小春は激怒、久々に顔面ビンタを食らわせる。
小春から「ハルオらしくない」と叱咤され、今からでも晶に会いに行くよう諭されたハルオはそこで目が覚め、急いで帰宅し原付を走らせる。
電車がトラブルで運行を停止しており、止む無く空港までそのまま原付で向かうも、とても時間的に出発には間に合わない。
晶はそうこうしている間に既に飛行機に搭乗しており、日本を発ってしまったのであった。
だが、それでもハルオは必死で空港まで原付を走らせた。
万事休すと思われたが、そんなハルオに奇跡が起こる。
空港までの道中、ハルオの目には、ゲームのキャラクターたちが味方して赤信号を青信号へと変えてくれたように映った。
青信号が続いたことで、空港までノンストップで突き進めたハルオは、ボロボロになりながらも空港で真らの前に現れる。
そして真からは「晶の飛行機がトラブルで引き返してくる」と聞かされる。
引き返した飛行機を一旦降りて再入国し、真らのもとに寄った晶は、ハルオの姿を見つけると無意識に駆け寄り、同じく晶を見つけて駆け寄ったハルオと力いっぱい抱き合う。
2人して涙を流しあい、ハルオは晶に対し、勝負は終わっていない、勝ち逃げはさせない、必ず会いに行く、そして嫁にするため迎えに行くと言い、最後に初めて「好きだ」と告白し、突き返された指輪を改めて晶にプレゼントする。
晶がそれを受け取った瞬間、ゲームのキャラクターたちが一斉に2人を祝福しているように見えたのであった。
そして、改めて出発の準備が整った飛行機に晶は搭乗し、アメリカへと発った。
ハルオ、真、萌美、じいやの4人は、空港でその姿を見送ったのであった。
懐かしすぎて涙もののゲームがズラリ!
あまりのその豪華さから、さすがに版権侵害を心配してたらやっぱり訴えられていた(笑)
本作はゲームを介在として物語が進行する。
そのゲームが懐かしすぎて泣けてくる。
一番登場するのが「ストⅡ」シリーズ。
要所要所で「源平討魔伝」。
その他、「バーチャファイター」だったり「KFO」…「キング・オブ・ファイターズ」だったり、とにかくシビれるラインナップだ。
いわゆる格ゲー(格闘ゲーム)がメインではあるが、ありとあらゆるジャンルのゲームも登場する。
まさにレーベルを超えた登場だ。
iTunes Storeのために五大レーベルをまとめたスティーブ・ジョブズも真っ青である。
あまりのその豪華さに版権侵害を心配したが、やっぱり訴えられていたようだ(笑)
2013年の夏ごろ、本作のアニメ化を請け負った映像制作会社が劇中に登場しているゲームの著作権者の一社であるSNKプレイモア(当時、2016年12月に「SNK」へ社名変更)に本作について問い合わせたことをきっかけに、許諾を得ずにゲームキャラクターが登場していたことが判明した。
この版権侵害問題は、SNKプレイモアによる刑事告訴と両社による民事訴訟を取り下げ、本作品の出版と販売の継続を可能にすることで和解が成立し終息している。
また各ゲームについての、詳細な解説も見所のひとつ。
それはそれは丁寧に説明してくれている。
ただあまりにマニアックな解説すぎて、達人以外にはよくわからないのが難点でもある。
アニメの作り方まで90年代⁉︎
コンプライアンス無視のスレスレアニメ
2013年のアニメだというのに、まるで90年代かのようなその作りに驚かされる。
最初に驚いたのが「チン◯ンに骨があるのか調べさせて」という会話を聞いた時だ。
物語の設定では、たしか主人公たちが小学生での会話の一部。
ダメだろ、普通に(笑)
しかし件の会話を皮切りに、その後は続々とコンプライアンス違反スレスレのワードが飛び交うようになる。
子供向けだと思っていたものが、グッと大人向けになってくる。
こういう細かい仕掛けからも、作品にどんどん惹きつけられていくのであった。
設定や見かけに反して秀逸だったストーリー
不覚にも最終回で泣いてしまった…
ゲームを題材にして、ガキっぽい作画。
人物画も好みではなかった。
あまり好きになる要素がないアニメだったといえる。
懐かしい傑作ゲームばかり登場しテンションは上がるが、こういう作品は得てして内容がスカスカだったりするものだ。
正直、懐かしゲームでテンションだけ上がるだけのアニメだと思って期待はしていなかった。
しかし、やはり食わず嫌いは良くないと改めて思い知ることになる。
ガキっぽい作画と表現したのは、『ボンボン』や『コロコロコミック』のような少年にも満たない対象を作画からイメージさせたからだ。
正真正銘、お子様向けのアニメだと思った。
たが、取り上げるゲームはすべてひと昔以上前のものだし、劇中での会話の内容があまりにも攻めすぎていた。
もしかしたら昔子供だった大人向けのアニメではないか?
そう思いだしてからは止まれなくなっていた。
好みではなかったはずの人物画も、いつのまにか気にならなくなっていた。
いいや、気にならないどころか好きになっていたな…
およそヒロインらしくない人物画でも、途中からは可愛くみえて仕方ない。
その大きな理由のひとつとしては、前述した通り、押切先生の独特なタッチを忠実に再現することに尽力してくれたアニメーターのおかげだといえる。
また、意外と骨太なストーリーに驚かされる。
本作は基本的にはゲームを介したひとりの男の成長譚である。
しかも、主人公たちの小学生から高校生までを描くという、なかなかの大河アニメだ。
冷静に考えてみればスケールがデカい。
劇中でどんどん成長していく主人公たち。
そこにゲームが介在することは、ガキっぽいと表現するよりむしろ、本作のアイデンティティだったといえる。
登場人物も皆が魅力的だった。
主人公とヒロインはもちろん、その友達が特に素敵だ。
特に日高さんの健気すぎる言動と、宮尾くんの友達想いの優しさにグッとくる。
ちなみに一番泣かされたのは日高さんのシーンで、だった。
日高さん…
素敵でも、素晴らしいでもなく、ただ本当に良いアニメを観ることができたことに感謝したい。
騙されたと思って是非一度観てみてほしい。
過去に少しでもゲームにハマり、「ストⅡ」世代なら必見だ。
著者はハマりまくった結果、一度完走したばかりだというのに、すぐさま二周目に突入したくらいだ。
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