#5
停滞する思考に一石を投じる苦言
声にできない本音を言葉に…
何かと生きづらい世の中で、思ってはいても言葉にできない声がある。
感じていても声にするのが憚られる言葉がある。
それは耳障りが悪く、心地良い言葉ではないのかもしれない。
だが言葉にされて、はじめて気づくこともある。
本稿で取り上げる言葉は、ひとつ間違えれば暴言とも受け取られかねないものだ。
しかし何かを変えるためには、声に、言葉にしてより多くの人に考えてもらうべきだろう。
本稿が停滞する思考覚醒へのキッカケとなることを切に願う。
佐伯(空白を埋めなさいより)
自分が死ぬ少し前、佐伯(阿部サダヲ)と車の中で争ったことを思い出した徹生(柄本佑)は、その後どうなったかわからず不安になっていた。
さらに母・恵子(風吹ジュン)まで徹生の自殺説を信じていると知り閉口する。
秋吉(萩原聖人)のスーパーでバイトをしながら就職活動に励む徹生だが、「復生者」だと分かると世間の風当たりは強く、なかなかうまくいかなかった。
おまけに生命保険会から1か月以内に3,600万円の保険金の返還を迫られ、妻・千佳(鈴木杏)はマンションを売ろうと言い出す。
踏んだり蹴ったりで迎えた徹生の誕生日。
家に友人たちも集まりサプライズパーティーが開かれる。
そこで徹生は、千佳に佐伯から接触があったと知らされる。
佐伯は徹生が会社で辛い思いをしながら家族のために働いていたと伝え、風俗の仕事を勧誘しており、千佳は佐伯のその誘いを断り、避けていたのであった。
(デリヘルの広告を見せながら千佳を勧誘する佐伯)
あなた こういう仕事をしている人たちを 蔑むんですか
この人たちはね
お金も時間もたくさんあって
生き生きと 健康的に 笑って生きてます
何故か?
幸せだからですよ
それが彼女たちの価値観なんです
それを そんなことをしなくても?
人をバイ菌みたいに
あなた傲慢過ぎますよ
平野啓一郎「分人」シリーズ合本版:『空白を満たしなさい』『ドーン』『私とは何か―「個人」から「分人」へ』
つい先日、職業の貴賎を特集したWEB記事がネットで話題になり炎上した。
続いて大学を格付けしたWEB記事もネットで炎上する。
少し考えればわかることを平気でしてしまうのは何故だろう?
バカなのかな?
いや、バカにしているのか。
この騒動が象徴しているのは「職業に貴賎なし」であり、現実では「人間には貴賎あり」ということであろう。
そして日本人の著しい民度の低下ぶり。
他人を蔑んで、自分の幸福度を上げたい。
自分より下の存在を明確にすることで、満足感を得たい。
ただそれだけのために平気で他人を貶める。
己の傲慢さに気づきもしないで、平気で他人を傷つけて自己満足に浸る。
そんな人間たちが漫然と蔓延る狂った世界。
それが今の日本。
本気で変えなくてはいけない。
件の千佳は最後にこう付け加えている。
その仕事 やらなかったけど
拒んで当然だって思って欲しくない
もっと違ったタイミングで
別の誰かに 別の言葉で言われてたら…
わかんなかったと思う
だって…
生きなきゃいけないでしょ?
これがたかがドラマのセリフだと思うのか?
所詮はフィクションなのだと?
こんな世界に誰がした?
国民の悲痛な叫びがまったく届かない日本社会。
その責任を追及しなくては、日本国民の心は報われない。
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