アニメ
賢者の孫
『賢者の孫』とは
『賢者の孫』は、吉岡剛先生による小説。
2015年1月より「小説家になろう」にて連載され、同年7月よりそれに修正を加えたものがファミ通文庫(KADOKAWA/エンターブレインブランド)より刊行されている。
書籍版のイラストは菊池政治氏が担当している。
2021年11月時点で電子版を含めたシリーズ累計発行部数は670万部を突破している。
「ヤングエース」(KADOKAWA)の増刊誌であるWeb無料漫画雑誌「ヤングエースUP」にて漫画版が連載されており、作画は緒方俊輔氏が担当。
外伝作品として、マーリンとメリダの若かりしころを描いた『賢者の孫 Extra Story』、メイとクラスメイトの奮闘を描いた『賢者の孫SP おうじょさま奮闘記』、アルティメット・マジシャンズの日常を描いた『賢者の孫SS』が存在する。
『Extra Story』は「なろう」にて連載されていたが、書籍化に伴い削除されている。
『SP』は小説が初出だが、その後のエピソードを漫画版で描いている。
賢者の孫 Extra Story (1) (角川コミックス・エース)
アニメ『賢者の孫』とは
アニメ『賢者の孫』は、吉岡剛先生による同名小説を原作とした作品である。
2019年4月から6月まで朝日放送テレビ・TOKYO MXほかにて放送された。
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あらすじ
魔法が存在する異世界に、とある日本人の青年が転生を果たした。
シンと名付けられた彼は、育ての親であるマーリンとメリダの指導と前世の知識を組み合わせ、わずか15歳にして優れた魔法使いへと成長する。
しかし、人里離れた森の中で育ったがゆえに肝心の一般常識を身に着けていなかったため、それを危惧したメリダの弟子・ディセウムが王を務めるアールスハイド王国の高等魔法学院へと進学することになる。
学院のある王都へ移住したシンは、貴族令嬢のシシリーとマリア、ディセウムの息子で王子のアウグストと関係を深めていくが、人類の敵である「魔人」との戦いに巻き込まれ、成り行きで魔法使いの精鋭チーム「アルティメット・マジシャンズ」を結成し、混迷する世界情勢に関わっていく。
主要登場人物
シン=ウォルフォード
声 - 小林裕介、弘松芹香(幼少期)
本作の主人公。
前世は現代日本に生きる20代のサラリーマン。
考え事をしていて赤信号の横断歩道を渡った結果、車に撥ねられたことによる交通事故で死んでしまう。
赤子の頃に魔物に襲われ、一緒にいた家族らしき人物たちは全員死亡、唯一生き残っていたところを泣き声を聞きつけたマーリンに発見・保護される。
この際に魔物に襲われたショックで前世の記憶が戻り、1歳にして、精神年齢は20歳以上という形で自我が確立してしまった。
成人となる15歳には(単純計算で)精神年齢35歳以上になる。
前世については記憶が朧げで、知識については覚えているが、素性や死因については忘れている。
前世の現代日本の知識があるにも関わらずマナー等の常識が著しく欠けている。
善良な性格の反面で自分自身の力に対しての危機感の無さや周りの目を気にしないなどの認識の甘さが目立つため、メリダによく叱られている。
コミカライズ版の「またオレ何かやっちゃいました?」というセリフが有名になりグッズ化もされている。
魔法以外のことに関心がなく教わろうともしなかったため、15歳の成人になった日に「この世界の常識何も教わってないわ…」と発言している。
前世における空想の産物であった魔法に魅せられ、マーリンから魔法、メリダから魔道具の知識をそれぞれ学んでは、それらを前世の知識と結びつけることにより、祖父母すら超える規格外の魔法や魔道具を日々生み出している。
また、幼少期からの鍛錬により、魔法だけでなく剣術をはじめとした体術にも長けている。
反面、成人するまでずっと森の奥で暮らしていたことから世間知らずであり、今後を危惧したディセウムの提案でアールスハイド魔法学院に入学した。
「賢者の孫」という経歴と破格の成績で首席入学し、早々に魔人を討伐して叙勲されたことをきっかけとして、仲間たちと共に世界を守るべく戦いに身を投じていく。
詠唱や二つ名は中二病みたいで恥ずかしいために好んでいないが、二度目の叙勲の際に「魔王」(「魔法使いの王」の意)、エカテリーナの発言で「神の御使い」の二つ名を不本意ながら与えられている。
シシリー=フォン=クロード→シシリー=ウォルフォード
声 - 本泉莉奈
本作のヒロイン。
クロード子爵家の三女。
青い髪に黒い大きな目が特徴の美少女。
控えめな性格で、幼馴染のマリアと行動することが多い。
その反面、きわめて嫉妬深いところがある。
シンとは初対面から一目惚れで両思いの間柄だが、それまでの恋愛経験のなさからなかなか恋心を自覚できず、メリダとマリアの後押しでようやく自覚し、晴れて交際を始めてほどなく婚約する。
交際を始めてからはシンへの独占欲が増し、彼が他の女性とスキンシップをとるだけで嫉妬しては、魔力が漏れ出るほどのプレッシャーを浴びせるようになる。
アルティメット・マジシャンズでは主に負傷者の治癒を担当しており、初陣となったスイードでの献身的な治療から「聖女」として崇められている。
魔人王戦役後、シンと結婚してウォルフォード家に嫁入りし、養子となったシルバーを育てつつ学業と任務をこなし高等魔法学院を卒業。
結婚から約2年後には第2子のシャルロットを授かり、その3年後にはショーンを授かる。
アウグスト=フォン=アールスハイド
声 - 小松昌平、島袋美由利(幼少期)
アールスハイド王国の第一王子。
通称はオーグ。
王国始まって以来の傑物として名を馳せているが、王位継承者という堅苦しい立場やその地位に媚びる者を嫌う。
従兄弟感覚で接してきたシンを気に入り、親友として接する一方、常に色々やりすぎる彼のブレーキ役も務めている。
普段は王族らしい品行方正のある振る舞いをするが、親しい者には本来のいたずら好きな本性を見せ、からかう行動をする。
シンとは対照的に思慮深く、冷静に物事を認識し、常に最適な言動を心掛けている。
魔人領攻略作戦では災害級諸々の魔物を雷の魔法の一撃で倒し、兵士たちから「雷神」と呼ばれることになる。
シンからは「悪戯と悪ノリ好きの腹黒王子」と認識されている。
マリア=フォン=メッシーナ
声 - 若井友希
メッシーナ伯爵の二女でシシリーの友人。
やや勝ち気な性格で少々短慮な面もある。
魔法学院の入試成績はオーグに次ぐ第3位で、女性陣の中ではトップ。
美少女ではあるがあまりモテず、周りがカップルだらけという状況に辟易している。
シシリーのことは大事に想っているが、余計なお節介を焼いてしまうこともある。
魔人領攻略戦では圧倒的な力で魔物を倒したことから、「戦乙女」の二つ名が付いた。
その後、カルタス=デニスと結婚した。
マーリン=ウォルフォード
声 - 屋良有作
シンの養祖父にして、世界中でその名を知らない者がいないほどの偉大な「賢者」。
『Extra Story』では主人公を務める。
かつて世界を恐怖に陥れた魔人を征伐した実力者だが、現在では好々爺といった振る舞いを見せ、かつての盟友にして元妻のメリダには頭が上がらない。
メリダとは対照的に、シンには非常に甘い。
父を早くに亡くして母子家庭で育ち、中等学院卒業後は母を養うために自立するつもりだったが、亡父の夢を叶えて欲しいという母への親孝行として高等魔術学院に進学した。
入学時点で教師をも上回る実力を有していたために退屈さから授業をサボるなど素行は悪かったが、メリダと交際を始めてから多少は大人しくなって卒業後に結婚し、魔物ハンターとして生計を立てる。
しかし、魔人化した親友カイルの討伐によって「賢者」と英雄視されるようになってからは世間に嫌気が差し、母サンドラの死を機に家族を連れて諸国を放浪する生活を送る。
その最中、成人してまもない息子スレインとの死別という悲劇を経験し、メリダと離縁して森の奥深くで隠居していた。
老齢になったある日、魔物に襲われた馬車の中から赤子として転生したシンを見つけ、孫として育て上げた。
最初はスレインのことも踏まえて自分の身を自分で守れるようにと魔法を教えていたが、知識を次々に吸収していくシンの成長見たさに魔法ばかりを仕込んだため、常識を教えることを忘れてしまい、シンが自重しない原因となった。
メリダ=ボーウェン
声 - 高島雅羅
マーリンの元妻でシンの養祖母。
魔道具の発展に寄与した偉人で「導師」の二つ名を持つ。
普段は温厚だが、超がつくほど生真面目で常識人。
無茶苦茶なことや道理に反することには怒りを露わにすることがお決まりで、過去の経歴ゆえに大国の国家元首でさえも彼女には頭が上がらない。
シンにはマーリンよりも厳しく接しているが、自身もシンに対して過保護な面がある。
なお、養曾孫のシルバーには潤沢な資産から玩具を買い与えるなど激甘。
『Extra Story』ではヒロインを務める。若いころから「魔道具=攻撃専門」という考え方に疑問を持っており、魔道具の新たな可能性を模索していた。
高等魔法学院の同期だったマーリンとは性格が合わず口喧嘩ばかりだったが、彼の家庭事情や窮地に陥った際の勇ましい面を知ったことで好意を抱き、卒業後に結婚する。
しばらくはマーリンと共に魔物ハンターをして生計を立てていたが、スレインを妊娠してからは魔道具開発に専念し、生活を補助するための魔道具を多数開発した。
家族でアールスハイドを出た後は、押しかけてきたディセウムに加え、道中で拾ったエカテリーナとアーロンの3人を弟子にとり厳しく育て上げたことから、3人にはマーリン以上に畏怖されている。
ゆるふわ無自覚最強なろう系アニメ
アニメでは意味なしの異世界転生
本作は異世界転生モノに分類されるが、アニメに関してだけいえば転生はあまり意味を持たない。
原作では多少の影響があるようだが…。
アニメ第1話の冒頭では主人公の前世について描かれているが、後の物語にはさして影響を及ぼしていない。
主人公の非常識ぶりも、前世の記憶が残っているのなら改善されて然るべきものなのだが、それも見られない。
ただし魔法に対する認識だけは別のようだ。
魔法陣を構築する際のイメージは、前世の記憶が多分に寄与している。
主人公が異世界の常識では考えつかない魔法を行使できるのは、転生のおかげだといえる。
そう考えると転生は非常に重要な要素なはずなのだが、そのことに深く触れていないのは若干謎ではある。
とはいえたいした問題でもない。
ただ、ツッコまずにはいられなかったので一応記す。
無自覚最強主人公
主人公に魔法や剣術を教えたのは、異世界では英雄の分類される人たちである。
英雄たちから教えを乞うた主人公は、規格外の強さを手に入れる。
ただ、主人公にその自覚はない。
師匠たちがこの世界の英雄であることにすらも気づいていない。
だから本作を無自覚最強なろう系と呼んでいる。
無自覚に最強になってしまった主人公。
新しいといえば、新しい設定か?
徐々に明かされる主人公の人脈
前述した通り、主人公を鍛えたのは歴戦の英雄たちである。
養祖父は世界中でその名を知らない者がいないほどの偉大な賢者。
養祖母は魔道具の発展に寄与した偉人で「導師」の二つ名を持つ。
「ディスおじさん」と呼ばれている人物はアールスハイド王国国王。
武術の師は元騎士団長で、かつて剣聖と呼ばれた男。
「ジークにーちゃん」と呼ばれている人物は本当は宮廷魔法師団所属の魔法使いだし、「クリスねーちゃん」と呼ばれている人物は近衛騎士団所属の騎士である。
これらの人物の素性も知らずに、まるで親戚かのように親しげに接する主人公。
この辺りが本作をゆるふわと称する所以だが、展開自体は嫌いではない。
こういうスペシャル感こそ、主人公最強チート設定には必要なのである。
最後までゆるふわ展開
本作にはバトルシーンが多数に描かれているが、何故かゆるふわのイメージが崩れない。
敵役のようなキャラクターも存在するし緊迫のシーンもあることはあるのだが、最終的には主人公がなんとかするような気がしているからだろうか?
とにかく終始気楽に視聴することができた。
現在は1クールのみの放送で続編の制作は不明。
もし続編の制作があったとしても、今なら気楽に追いつくことが可能である。
とにかくサクッと気楽にアニメを楽しみたい人には、おすすめの作品である。
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