アナザーガンダム
機動武闘伝Gガンダム
アナザーガンダムとは
『機動武闘伝Gガンダム』から始まる、作中年号に「宇宙世紀」を用いないガンダム作品の総称 (パラレルワールドとするかどうかは見解が分かれる)。
作品によって歴史はもちろん、モビルスーツの運用思想や技術、地球の環境状態、ガンダムの定義や価値観、存在する人種等、世界観が大きく異なるのが最大の特徴。
同様に用いられる年号が作品によって違うのも特徴の1つとして挙げられ、『00』のように現実世界と同じ西暦を用いる例もある。
かつては富野由悠季監督が関わっていないのがアナザー、という分け方もあったが、『∀ガンダム』によって消滅。
またタイトルに「機動戦士」と付くのが宇宙世紀、付かないのがアナザーと分けられていたが、『機動戦士ガンダムSEED』以降はこの慣例は無くなっている。
アナザーの中でも分類する場合があり、『G』『W』『X』を「ガンダム平成三部作」と呼称し、『SEED』以降は「ニュージェネレーションガンダム」として区別する動きが、例えば『SDガンダム Gジェネレーション』シリーズ等で見られる。
アナザーガンダム作品一覧
平成三部作
作中年号:未来世紀
超級!機動武闘伝Gガンダム(1) (角川コミックス・エース)
作中年号:アフターコロニー
作中年号:アフターコロニー
作中年号:アフターウォー
ニュージェネレーション
作中年号:コズミック・イラ
作中年号:コズミック・イラ
作中年号:コズミック・イラ
作中年号:西暦
作中年号:西暦
作中年号:アドバンスド・ジェネレーション
作中年号:ポスト・ディザスター
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女 PROLOGUE
作中年号:アド・ステラ
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女
作中年号:アド・ステラ
『機動武闘伝Gガンダム』とは
『機動武闘伝Gガンダム』(英題:MOBILE FIGHTER G GUNDAM)は、サンライズ製作のテレビアニメ。
「アナザーガンダムシリーズ」の一作。
1994年(平成6年)4月22日から1995年(平成7年)3月31日まで全49話がテレビ朝日系で毎週金曜日17時00分 - 17時30分にて放送された。
略称は「Gガン」。
平均視聴率4.1%。
最高視聴率7.3%(ガンダムシリーズ歴代6位)。
各国を代表する格闘家がガンダムを用いて世界の覇権を格闘技大会「ガンダムファイト」で争うという、少年漫画や当時流行していた『ストリートファイターII』などの対戦型格闘ゲーム的要素を取り入れた設定になっており、戦争を主題とした他のシリーズとは一線を画す。
また、通常の軍事用兵器として使用される「モビルスーツ」(MS)や「モビルアーマー」(MA)とは別に、ガンダムファイトに使用されるロボットには「モビルファイター」(MF)という呼称が用いられ、劇中で主に活躍するのはこのMFである。
また主役MFの全高は16メートル級に設定された。
前番組の『機動戦士Vガンダム』に引き続き逢坂浩司氏がキャラクターデザインを担当しているが、デザイン協力には漫画家の島本和彦氏が関わっている。
当時、旧来からのガンダムファンの高年齢化や、SDガンダムを支持する小学生層の取り込みが課題となっていたが、前番組の『機動戦士Vガンダム』ではそれに失敗したため、本作が企画された。
タイトルの『Gガンダム』は後期主役MFゴッドガンダム(GOD GUNDAM)の略称であるが、劇中では第23話にてミカムラ博士が一度呼称したのみ。
このほか、格闘するガンダム(Grapple GUNDAM)、ガンダムファイト優勝者に送られる称号である「ガンダム・ザ・ガンダム」(GUNDAM THE GUNDAM)の意味もある。
なお、「ガンダム・ザ・ガンダム」については本放送の前の宣伝番組ではタイトルの由来とされているほか、ゴッドガンダムの名はこの称号にあやかって命名されたという設定となっている。
本作品では宇宙やコロニーを舞台にする話は少なく、大多数は地球が舞台である。
ガンダムファイト第13回大会の舞台はネオホンコンで、現実の香港の公用語である香港語(広東語)の挿入歌が作中のBGMとして流れ、オープニングテーマ・エンディングテーマにネオホンコンの風景が描かれるなど、香港をメインの舞台として扱っていることが特徴。
アメリカ合衆国では『新機動戦記ガンダムW』に続いて、2002年8月5日よりカートゥーンネットワーク・TOONAMI枠にて『Mobile Fighter G Gundam』のタイトルで放送された。
放送コードの関係上、いくつかのガンダムの名称が変更されているものの、DVDの英語字幕では日本版の名称がそのまま表示されている。
なお第48話と第49話(最終話)では、歴代ガンダム(ガンダム、Ζガンダム、ガンダムF91、ガンダム試作1号機フルバーニアン等)がワンカットずつ登場しており、このほかカラーリングは異なるものの次番組『新機動戦記ガンダムW』からウイングガンダムも登場しているが、いずれもカメオ出演扱い。
さらに第49話では一瞬であるが、同サンライズ作品のザンボット3(こちらもカラーリング違い)もカメオ出演している。
あらすじ
時は未来世紀。
人々は荒廃した地球を捨てて宇宙に活路を見出し、宇宙コロニーに生活圏の全てを移して過ごすようになっていた。
しかし、コロニーに上がれた者と上がれずに地球に取り残された者との格差は広がり、地球の荒廃はより悪化の一途をたどっていた。
コロニー国家間の覇権をかけて行われる機動兵器同士による格闘大会「ガンダムファイト」は未来世紀60年の節目に13回大会を迎え、大会開催と共に各国のコロニーから五つの光が地球に向けて放たれた。
それは大会会場となる地球に向かうために降下した各国代表のガンダムファイターたちであった。
ネオジャパン代表のガンダムファイターであるドモン・カッシュもまた、その1人として、パートナーのレイン・ミカムラとともに地球に向かう。
しかし彼の真の目的は、祖国ネオジャパンを裏切り、科学者である父ライゾウ博士が開発していたアルティメットガンダム(デビルガンダム)を奪い失跡した実の兄、キョウジ・カッシュを捜しだすことであった。
幾つかのファイトを勝ち進むドモンであったが、その心は荒んでいた。
そんな中、デビルガンダムの手掛かりを求めて来た地、東京の新宿にてデビルガンダムとその配下であるデスアーミーと遭遇。
そしてかつての師である東方不敗・マスターアジアと再会する。
二人は共闘しドモンの心にも一筋の光が灯るが、そこにデビルガンダムによって操られた戦友(チボデー・クロケット、サイ・サイシー、アルゴ・ガルスキー、ジョルジュ・ド・サンド)が現れ、新宿での出来事がマスターアジアの陰謀であったことが判明し、ドモンとの間に亀裂が生じる。
そしてシャッフル同盟の介入と4人の救出、後継である新生シャッフル同盟の成立、マスター・アジアの激戦を経た後、ここにネオドイツのガンダムファイターを自称するシュバルツ・ブルーダーが接近。
ドモンを導くとともに共闘を図る。
そしてシュバルツとの修行の果てに明鏡止水の心を会得したドモンはマスター、デビルガンダムと激突し、これらを退ける。
その後、ガンダムファイトの舞台は決勝戦のネオホンコンに移る。
ここでもデビルガンダムにまつわる陰謀が渦巻く中、優勝者を決める決勝バトルロイヤルにて強豪たちを打ち破っていくシャッフル同盟たち。
そしてドモンはこの戦いの最中にシュバルツの正体が兄キョウジの心を宿した存在である事と、そこでアルティメットガンダム(デビルガンダム)にまつわる事件がネオジャパン上層部の陰謀によって引き起こされた真相を知る。
そしてシュバルツはふたたび蘇ったデビルガンダムを倒すため、これと運命を共にした。
さらにドモンは決勝にてマスターアジアとの一騎打ちに望み、ガンダムファイトによる地球の破壊と、それによって絶望したマスターの心を知る。
これを喝破し勝利をおさめたドモンは、命が尽き果てていく師と和解したのだった。
ガンダムファイトの頂点に君臨したドモンであったが、ネオジャパンの上官であるウルベ大佐の策謀によってデビルガンダムにレインが取り込まれ、ふたたび復活。
人類を抹殺すべく活動を再開する。
さらにウルベはこれ利用し、ネオジャパンコロニーを吸収した本拠地を形成し、ガンダムファイトの撤廃とネオジャパンの世界支配を宣言する。
さらにデビルガンダムの触手によって吸収され、危機に陥る地球。
ここに世界のガンダムファイターが集結し徹底抗戦を開始する。
シャッフル同盟の助力もあり、ネオジャパンコロニー(コロニーデビルガンダム)に侵入してウルベの操るグランドマスターガンダムを破り、ドモンはデビルガンダムの核に到達。
そこでドモンはレインの本心を知り、また自身も内にあるレインへの心を知る。
ドモンが愛を打ち明けるとレインはデビルガンダムの束縛から解放され、二人の手でそれを葬り去るのだった。
「ガンダムへの侮辱」と評されたガンダム
ワンオフ機であるべきガンダムがいっぱい
本来、ガンダムとは試作機である。
量産のコスト計算などは完全ど返し。
とにかく性能だけを追求したワンオフ機だからこそ、ガンダムには唯一無二の機体としての価値も人気もあった。
それが『Gガンダム』ではどうか。
出てくる機体はガンダムばかり。
まるでガンダムの大安売りである。
ガンダム機体がこれだと多く登場してしまえば、ガンダムの価値やレア感は下がる一方だ。
これが『Gガンダム』がオールドファンから敬遠された理由のひとつである。
リアルロボットアニメから子供向けアニメへ
あまつさえガンダムだらけなことですらオールドファンには不評なのに、おまけに各機ともおかしな装飾がつけられてしまっている。
これにより、それまでガンダムシリーズが築き上げてきた、兵器としてのガンダムのイメージが崩れていく。
おかげで本作は従来のガンダムシリーズで描かれてきたリアルロボットアニメではなく、子供向けアニメの印象が色濃くなっている。
オールドファンからすれば、ガンダムとはロボットではなく兵器でなければいけない。
リアリティを失ったガンダム。
これも『Gガンダム』が不評だった理由のひとつである。
拭いきれない『ミスター味っ子』感
総監督を務めた今川泰宏氏は、日本サンライズの富野由悠季監督作品『重戦機エルガイム』『機動戦士Ζガンダム』の両ロボットアニメで絵コンテと演出を継続し、『機動戦士Ζガンダム』の途中で降板。
それから「これまでメカもの一辺倒だったため、幅を広げたいということ」という理由で、スタジオディーンが実制作を行っていたシンエイ動画の藤子不二雄アニメ『プロゴルファー猿』に参加。
1985年から1987年に渡って絵コンテと演出を担当し、そのダイナミックな演出が注目を浴びた。
『プロゴルファー猿』終了後はサンライズに戻り1987年に料理対決アニメ『ミスター味っ子』の監督に就任。
これが監督デビューとなる。
当時オリジナル作品が中心であったサンライズで、マンガ原作の監督にレギュラークラスを当てるのを避けた結果、「若手でワケワカラン奴」として白羽の矢が立てられた。
『ミスター味っ子』では試食した審査員があまりの美味さに巨大化したり変身したり目から光線を放ったりと豪放で奇天烈な表現を繰り広げた。
好評を博し当初半年の放送予定が延長を重ねて、2年間の長期シリーズとなった。
同作で第6回日本アニメ大賞アトム賞を受賞している。
『ミスター味っ子』でのオーバーな演出はギャグと取られがちだが、今川氏本人はギャグのつもりはなく真面目だったとスタッフのワタナベシンイチ氏が語っている。
ある回のあまりの馬鹿馬鹿しさにワタナベ氏が喜んで面白がっていると、「真面目にやってんだよ」と今川氏に怒られたという。
『ミスター味っ子』。
これはこれで名作アニメだ。
基本的には笑える料理ギャグアニメなのだが、時々感動的なエピソードをブッ込んでくる。
OPとEDがあまりに秀逸。
今でも心に印象深く残っているアニメである。
だがガンダムに『ミスター味っ子』のテンションは如何なものだろうか。
オールドファンがガンダムに求めるものは、リアリティと複雑さである。
ミリタリーアニメに「う・ま・い・ぞー!!」のハイテンションはいらない。
批判を乗り越えたG
川口克己氏(モデラー、玩具メーカーBANDAI SPIRITSホビー事業部シニアアドバイザー。玩具・模型の企画やプロモーションを担当している)によると放送直後の評判は散々で、「ガンダムへの侮辱」と憤ったファンもいたという。
また「放映スタートから、三カ月間は商売になりませんでした」というほど、放送当初は不振に陥っていた。
しかし夏頃から視聴率が好転、主人公ドモン・カッシュの師匠である東方不敗を始めとするサブキャラクターが従来のファンに受け、また一方で課題となっていた小学生を中心とした低年齢層の支持獲得にも成功した。
主な支持層は小学生層と20代後半層であった。
前半の不振が響き、年間トータル売上では前作と同等程度だったもののSDガンダム市場を活性化させるという相乗効果を生み出し、ガンダム関連商品全体の売上では良好な結果となった。
本作の成功により、スーパー戦隊シリーズを意識した5大主役ガンダムという基本フォーマットが形成され、本作以降のテレビシリーズの多くにこの手法が使われるようになる。
本作を含むガンダムシリーズのメカニックデザインを担当している大河原邦男氏や、『機動戦士ガンダム』などのキャラクターデザインを担当した安彦良和氏は、
今川泰宏さんがGガンダムをやってくれたおかげで、富野さんじゃなくてもオリジナルでガンダムができるようになった。
新しい監督が来ても新しい視点でファンの方に発信できる存在になった。
あるポイントを超えるとエンドレスになるのかもしれない。
そこを超えられない可能性だってあったんだよね。
幸運にもGガンダムで乗り越えられた。
と、本作のガンダムシリーズにおける存在意義を高く評価している。
コナなファンから絶賛のオープニングテーマ
しばらくは激しい不評の嵐に晒された『Gガンダム』であるが、ガンダムシリーズにあるまじき破天荒さがいつの間にかファンの間で浸透していく。
ガンダム "らしくない" ところが、若い世代のファンには逆にウケたようだ。
なかでもバカウケしたのがオープニング曲。
コアなファンからは絶賛の名曲だ。
- 「FLYING IN THE SKY」
(プロローグ、1-25話)
作詞・作曲・歌 - 鵜島仁文 / 編曲 - 鵜島仁文、樫原伸彦
第7話からはOPアニメが新調された。
鵜島仁文氏は去る2022年8月7日未明、持病の肝硬変からくる食道静脈瘤破裂により、残念ながらご逝去(55歳没)されている。
『Gガンダム』といえばこの曲というほど、印象深い楽曲だった。
たとえ肉体は滅びても、鵜島仁文氏の魂は「FLYING IN THE SKY」の楽曲と共にガンダムファンの心の中に永遠に生き続けるだろう。
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