アナザーガンダム
機動新世紀ガンダムX
アナザーガンダムとは
『機動武闘伝Gガンダム』から始まる、作中年号に「宇宙世紀」を用いないガンダム作品の総称 (パラレルワールドとするかどうかは見解が分かれる)。
作品によって歴史はもちろん、モビルスーツの運用思想や技術、地球の環境状態、ガンダムの定義や価値観、存在する人種等、世界観が大きく異なるのが最大の特徴。
同様に、用いられる年号が作品によって違うのも特徴の1つとして挙げられ、『00』のように現実世界と同じ西暦を用いる例もある。
かつては富野由悠季監督が関わっていないのがアナザー、という分け方もあったが、『∀ガンダム』によって消滅。
またタイトルに「機動戦士」と付くのが宇宙世紀、付かないのがアナザーと分けられていたが、『機動戦士ガンダムSEED』以降はこの慣例は無くなっている。
アナザーの中でも分類する場合があり、『G』『W』『X』を「ガンダム平成三部作」と呼称し、『SEED』以降は「ニュージェネレーションガンダム」として区別する動きが、例えば『SDガンダム Gジェネレーション』シリーズ等で見られる。
アナザーガンダム作品一覧
平成三部作
作中年号:未来世紀
作中年号:アフターコロニー
作中年号:アフターコロニー
作中年号:アフターウォー
機動新世紀ガンダムX Re:Master Edition(1) (角川コミックス・エース)
ニュージェネレーション
作中年号:コズミック・イラ
作中年号:コズミック・イラ
作中年号:コズミック・イラ
作中年号:西暦
作中年号:西暦
作中年号:アドバンスド・ジェネレーション
作中年号:ポスト・ディザスター
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女 PROLOGUE
作中年号:アド・ステラ
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女
作中年号:アド・ステラ
『機動新世紀ガンダムX』とは
『機動新世紀ガンダムX』(英題: After War Gundam X)は、1996年4月5日から同年12月27日まで(テレビ朝日は12月28日まで)テレビ朝日および一部地方のテレビ朝日系列にて放送されたテレビアニメ。
全39話。
略称は「GX」。
キャッチコピーは「月は出ているか?」「君は、生き延びた先に何を見るのか?」など。
平均視聴率は2.75%。
『新機動戦記ガンダムW』の後の時間帯に放映された作品であり、放送局への納品がテレビアニメのガンダムシリーズで初めてD2マスターで行われた作品、またそれに伴ってステレオ放送が初めてされた作品でもある。
『ガンダムW』は監督の池田成氏が中途で辞め、急遽『黄金勇者ゴルドラン』を担当していた高松信司氏がかわりに起用されていた。
ただし高松氏は最後までクレジットされていない。
同作の作業にもだいたい目処のついた頃に、次に製作するガンダムの監督のオファーを受けた。
高松氏はビデオソフトに封入されたインタビュー記事やDVD-BOX封入冊子インタビューで、「1995年11月に突然〔ガンダムをやれ!〕とサンライズから言われた」という趣旨の発言をしている。
また、サンライズプロデューサーの富岡秀行氏も同じDVD-BOX封入冊子インタビューで、当時「高松を推薦した」と述べている。
「好きなようにやっていい」と言われた高松氏はさまざまなアイディアを検討した末、自分の脳裏から離れなかった「荒野にただ1機、後姿で佇むガンダム」のイメージからインスピレーションを得て、この作品の制作に取りかかった。
制作までの時間がなかったことから、シリーズ構成を担当した川崎ヒロユキ氏が最終的に全話の脚本を手がけた。
前番組『ガンダムW』の成功を踏まえ、本作でも5人(主役側3+敵側2)の美少(青)年をセールスポイントとして打ち出しているが、前番組のようなキャラクターを前面に出した作風とは趣が異なる。
またエンディングと次回予告の映像を同時進行させたこと、その最後に登場する登場人物の言葉をサブタイトルに採っているのも特徴となっている。
第1話のサブタイトル「月は出ているか?」は同作品を紹介したさまざまな媒体で引用されている。
デザイン面に関しては、大河原邦男氏は自著において、本作のメカニックデザインは自身の参加した際には既に形がほぼ決定していたと語っている。
作風
この作品の大きな特徴は、高松氏が「ガンダムを考えるガンダム」と述べているとおり、「少年と少女が出会い、彼らと彼らを取り巻く人々がやがては世界を変えていく冒険譚」という物語上に、ガンダムという作品にまつわる事象がメタフィクション的に多々取り入れられている点である。
メタフィクションの多用は高松氏の手がけた『勇者特急マイトガイン』などでも見られたが、高松氏やシリーズ構成・脚本の川崎ヒロユキ氏は、カリスのエピソードを描く中でそういった方向性が固まり、当初は意図しなかったものまで最終的にメタフィクションの方向に落ち着かせるのが自然な流れになるなど、偶然の符合があったことも明らかにしている。
川崎氏と高松氏の対談において、それらの裏話や後述するD.O.M.Eの声優決定エピソードなどが語られている。
制作当初や早い時期から意図していたものとして、次のものが挙げられる。
- 機動新世紀 = 1981年、『機動戦士ガンダム』劇場版の公開直前に、新宿駅前で行われたイベント「2.22 アニメ新世紀宣言」を踏まえている。劇中の舞台が「A.W.(アフターウォー)15年」なのも、アニメ新世紀宣言から15年経っているということ。
- 第7次宇宙戦争後 = 当作品はテレビシリーズ7作目。また、この戦争とは「ガンダムという現象」の象徴(メタファー)となった。
- 当作品のニュータイプ = 元々「主人公が出会って恋に落ちる少女」というプロットを高松氏が川崎氏に与えた際、川崎氏がその少女・ティファをニュータイプと設定したことで登場したが、結果的に「ガンダムという作品の象徴」となった。ニュータイプという言葉には「ガンダムという作品」そのものが投影されてもいる。この点で富野作品に登場するニュータイプとは意味的に異なる。
また川崎氏は、劇中のニュータイプに対する答えは、「ファーストガンダムという作品のテーマ性を卒業しよう」ということを考えながら導き出したものであると語っている。
あらすじ
スペースコロニーの独立運動に端を発する、地球連邦軍と宇宙革命軍との間で行われた大戦争、第7次宇宙戦争。
泥沼化した戦いは、いくつものスペースコロニーが地球に落着し、人類のほとんどが死滅するという凄惨な結果を招き、勝者なきまま終結した。
それから15年が経過したアフターウォー(A.W.)15年。
第7次宇宙戦争で孤児となった少年ガロード・ランは、ジャンク屋やモビルスーツ狩りを生業として生きていた。
そこに、アルタネイティブ社のライク・アントという男から、バルチャー艦「フリーデン」に誘拐されたティファ・アディールという少女を取り戻してほしいという依頼を受ける。
しかし、ティファに一目ぼれしたガロードは、依頼者を見て激しくおびえたティファを連れ、依頼を破棄して逃走。
そしてティファに導かれたガロードは、第7次宇宙戦争で地球連邦軍の決戦兵器として使われた幻のモビルスーツ「ガンダムX」を発見し、アルタネイティブ社のMS部隊に対抗すべく起動させる。
その戦いの中で彼は、スペースコロニー落着の原因を作った禁断の戦略兵器「サテライトキャノン」を使用するが、その途端にティファは発作を起こして倒れてしまう。
フリーデンの艦長ジャミル・ニートに助けを求めたガロードは、ティファが「ニュータイプ」と呼ばれる人々の一人であり、人の思念を感知したり、未来を予知したりする力を持つこと、ジャミル達はニュータイプがかつてのように戦争の道具に利用されないよう保護する旅をしていることを知る。
ガロードはティファを守るためにフリーデンに乗り込み、自分たち以外のニュータイプ抹殺を目論むフロスト兄弟や、人工ニュータイプとして改造を受けたカリス・ノーティラスなどのライバルたちとの戦いを経てたくましく成長していく。
一方、地球連邦軍と宇宙革命軍の残存勢力も組織再興に動き始め、ガロード達は、その情勢にも否応なく巻き込まれていくことになるのであった。
そうした渦中でジャミルこそがかつてのガンダムXのパイロットであり、彼自身が過去の戦いから重い十字架を背負っている事を知る。
やがては再建した新地球連邦軍や宇宙革命軍とも激突していくガロード達。
そして、そこで世界の動乱に巻き込まれる人々や、過去の戦争やニュータイプに束縛される人々の存在を知る。
そして最初のニュータイプであるD.O.M.E.と、それが所在する月面基地を求めて新連邦軍と革命軍の戦端が開かれ、ガロードたちもまたその中に突入していく。
この戦いを見たD.O.M.E.は新連邦軍、革命軍の高官たちやガロードたちを招き、ニュータイプは過去の幻想であり、人々はそこから新しい未来を歩むよう説く。
そして、ジャミルたちは自らが過去の幻想に縛られていた事を認め、これを乗り越えた。
だが、その裏では世界への復讐を望むフロスト兄弟が戦火の拡大を目論み、新連邦軍・革命軍双方の旗艦を撃墜する。
これに立ち向かうガロード一騎打ちを行い、両者相打ちとなって月面基地が崩壊する。
それから月日が経ち、かつてのフリーデンの仲間たちは各地に散らばり、新しい生活をスタートしていた。
一方、ジャミルは新連邦と宇宙革命軍と和平協議を行った。
放送期間短縮、時間変更および枠廃止
1993年に『機動戦士Vガンダム』からスタートしたテレビ朝日製作のガンダムシリーズ枠はその当初から視聴率において低迷が続き、スポンサー離れが進行していた。
そのため本作では視聴率の改善が最優先課題に挙げられたが、前番組の『ガンダムW』で急遽代役監督として登板した高松氏が継続して担当することになった事情から本作の企画開始は余裕のない状況で行われた。
そのため高松氏と川崎氏の2人によってストーリープロットが決められていき、またキャラクターデザインもその仕事の速さを高松氏が頼って西村誠芳氏が起用された。
こうして厳しい船出を強いられた本作は、初回こそ6.2%を記録したものの、その後視聴率改善の兆しもなく、プラモデルの売上も前番組『ガンダムW』に対して2割減となり、10月改編に際して放送期間の1クール短縮と放送時間の変更が決定された。
10月よりテレビ朝日のみ土曜日朝6時に移動し、それまで同時ネットであった地方ネット局は元の時間帯のままの先行ネット(裏送りによるもの)に変更された。
また、もともとローカル番組『新・部長刑事 アーバンポリス24』との兼ね合いで金曜16時30分からの先行時差ネットだった大阪のABCも同様の対応のまま最終回を迎えた。
関東をカバーするテレビ朝日が早朝に移動したことで、平均視聴率がそれまでの3.5%から1.2%に下がった。
ただし放送期間短縮を受けて唐突に物語が打ち切られたわけではない。
当初の脚本が4週で一つのストーリーを完結させるという形を取っていたため、そのディテールを省くことで、半年で展開する予定だった物語を駆け足ではあるが3か月分にまとめて完結させている。
例えば、エアマスターやレオパルドのバージョンアップはそれまでの物語描写に比べてあっさり行われ、Gファルコンの特殊機能について提示されただけに留まり、最終回ではD.O.M.E.というデウス・エクス・マキナを登場させている。
高松氏はDVD-BOXのインタビューで「ガンダムDXが出たあたりでは短縮は決まっていたが、後半も構想から省略した要素は1つもない」とコメントしている。
『SDガンダム』を除くとTVシリーズで唯一小説化されていない作品でもある。
また、高価値付加系のプラモデルやフィギュアでも本作の登場機体はあまり商品化されておらず、2007年1月にGUNDAM FIX FIGURATIONでガンダムXが発売されたに留まっており、TVシリーズ作品では唯一マスターグレードでのキット化がされていなかったが、2010年4月になってHGAW(ハイグレード・アフターウォー)というカテゴリーでガンダムXが、初の宇宙世紀以外のMSとして発売。
さらに同年12月にはパーツ及び成形色替えとしてHGAWガンダムXディバイダーが発売。
2013年には7月にROBOT魂で、10月にはHGAWでガンダムダブルエックスが発売されたりと徐々に商品化がされ始め、2013年10月に幕張メッセにて行われた第53回全日本模型ホビーショーにて、ガンダムXがマスターグレードで発売されることが発表され、2014年1月に発売された。
なぜ『機動新世紀ガンダムX』は不評だったのか?
第1話「月は出ているか?」
「月は出ているか?」。
なんと想像力が膨らむタイトルだろうか。
歴代ガンダムシリーズの中でも、かなり秀逸な名タイトルだ。
このタイトルだけで、歴代ガンダムシリーズを踏襲してくれていることが想像できた。
子供向けのアニメでないことが想像できる。
…はずだった。
しかし蓋を開けてみれば、タイトルの出来があまりに良すぎたようだ。
タイトルからの期待値が高すぎたために、内容が名前負けしてしまった。
そのため史上最速で挫折したガンダムシリーズとなってしまった。
タイトルは素晴らしいんだけど…
子供向けガンダム
ファンがガンダムに求めるもの。
それはリアリティであり、だからこその不確定な不安定さでもある。
ヒーローものにありがちな熱血漢は要らないし、アニメキャラ然とした主人公も要らない。
正義なんか振りかざして欲しくないし、だからといって絶対悪も要らない。
観たいのは人間のリアル。
だからガンダムは大人が楽しめる作品なのだ。
それが本作ではどうだ。
ガンダムらしさこそ装ってはいるものの、第1話からして子供向け感が滲み出ていた。
子供向けガンダムが悪いとはいわないが、求めているものとは違う。
なぜ『機動新世紀ガンダムX』は不評だったのかって?
それは面白い面白くない以前に、ガンダムではなかったからである。
シリーズ史上最も熱中しなかったガンダム
早々に挫折してしまったために、本作の記憶はもっぱらゲームの中にしかない。
そんなゲームの中ですら、『機動新世紀ガンダムX』のキャラは愛着がないから使用しない。
これほど熱中しなかったガンダムは、後にも先にも本作だけである。
本作が打ち切られるのも納得だ。
ファーストガンダムの打ち切りとは訳が違う。
本作が存在理由を示すとするなら、唯一この反省が次作へ受け継がれたことだろう。
反省した後のガンダムは名作になる。
『機動武闘伝Gガンダム』の次作『新機動戦記ガンダムW』がそうであったように。
そして本作の次作は『機動戦士ガンダムSEED』。
多くの新世代ファンを獲得した、ファーストガンダムの再来である。
☆今すぐApp Storeでダウンロード⤵︎