アニメーション映画
雨を告げる漂流団地
『雨を告げる漂流団地』とは
『雨を告げる漂流団地』は、スタジオコロリド制作による日本の長編アニメーション映画。
2022年9月16日にNetflixにて全世界独占配信、日本全国ロードショー。
本作は、『ペンギン・ハイウェイ』『泣きたい私は猫をかぶる』に続くスタジオコロリドの長編劇場アニメ第3弾。
監督を務めるのは、第1弾の『ペンギン・ハイウェイ』で29歳という若さで異例の長編監督デビューを果たし、本作が長編映画2作目となる石田祐康氏。
また前2作に作画監督として参加した永江彰浩氏と加藤ふみさんがそれぞれキャラクターデザインとキャラクターデザイン補佐を務める。
小学生6年生の少年少女が、解体を待つ団地の建物に入り込み、その団地が海上を漂流するという物語である。
監督の石田氏は、
タイトルにしてしまうほど団地に思いを寄せた作品となりました。
こういう類いのアニメ映画としては恐らく変わり者です。
自分にとっても一つの挑戦となります。
分かりやすく学校にするなどの意見もありました。
苦しんで、悩んで、それでも信じるままに!
逆に皆で一緒になって知恵を絞りつつ!
……団地を船出させることになりました。
と制作発表に際してコメントした。
本作は監督の石田氏が描いた「団地が海の上を漂流するイメージボード」が企画の発端だったとされる。
制作に際して石田氏は実際に団地(神代団地)に移住している。
団地の設定を作るに当たっては、同じ団地の居住者でもある、団地探訪紹介サイト「公団ウォーカー」主催者の照井啓太氏から協力を得た(作品では「団地監修」でクレジットされた)。
照井氏によると、舞台となった団地はすでに解体されたひばりが丘団地がモデルとなっている(居住者への配慮から、現存する団地をモデルとすることは避けられた)。
また、ひばりが丘団地と建築年代・様式が類似する常盤平団地でロケハンがおこなわれた。
2021年9月25日に、Netflixのイベント「TUDUM: A NETFLIX GLOBAL FAN EVENT」で制作が発表され、同日キービジュアルやトレーラーも公開された。
あらすじ
小学6年生の航祐と夏芽は、まるで姉弟のように育った幼馴染。
小学6年生になった二人の関係性は、航祐の祖父・安次の他界をきっかけにギクシャクし始めた。
夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに取り壊しの決まった「おばけ団地」に忍び込む。
その団地は、航祐と夏芽が育った思い出の詰まった家でもあった。
航祐はそこで思いがけず夏芽と遭遇し、謎の少年・のっぽの存在について聞かされる。
すると彼らは突然、不思議な現象に巻き込まれる。
気づくと団地は大海原を漂流していた。
はじめてのサバイバル生活のなかで子どもたちは力を合わせ、もとの世界に戻るための旅に出る。
登場人物
熊谷航祐
声 - 田村睦心
本作の主人公。
小学6年生。
兎内夏芽
声 - 瀬戸麻沙美
本作のもう一人の主人公。
航祐の幼馴染。
両親は離婚し母子家庭。
航佑の祖父、安次を実の孫の航佑以上に慕い懐いていた。
のっぽ
声 - 村瀬歩
団地に住みついていた謎の少年。
橘譲
声 - 山下大輝
航祐たちの同級生で、大柄の少年。
4人兄弟の長男ゆえに穏やかな性格。
小祝太志
声 - 小林由美子
航祐たちの同級生。
6年生ではあるが小柄で性格もかなり幼い面がある。
解体工事中の団地に潜入を計画した。
羽馬令依菜
声 - 水瀬いのり
航祐たちの同級生。
航佑のことが好きだが中々素直になれない。
航佑と親しい夏芽を嫌っている。
家は裕福でフロリダ旅行に航佑を誘おうとしていた。
安藤珠理
声 - 花澤香菜
航祐たちの同級生。
令依菜と親しく、令依菜が航佑を好きなことも知っている。
熊谷安次
声 - 島田敏
航祐の祖父。
兎内里子
声 - 水樹奈々
夏芽の母。
音楽
主題歌
- 「消えてしまいそうです」
作詞・作曲:ACAね / 歌:ずっと真夜中でいいのに。
挿入歌
- 「夏枯れ」
作詞・作曲:ACAね / 歌:ずっと真夜中でいいのに。
「子供の頃って何故つまらないことにあれほど意地を張ったのか?」と思わず自問自答してしまうほどリアルな子供像
本作が描く子供像はムカつくほどに秀逸だ。
子供の頃の思慮の浅さやつまらない意地が、驚くほど忠実に描かれている。
観ていて本気でムカつくということは、それだけリアルだということ。
おかげで良くも悪くも、自分が子供だった頃を思い出させてくれた。
ほとんどが悪い思い出だが…。
フリが少し長すぎたか?
序盤から中盤までは登場する子供たちへのイライラが募る。
少しも前へ進まない関係性や毎回同じことで揉めたりと、展開が遅かったように感じた。
中盤のモヤモヤが長かったせいか、世間の評価もあまり高いものではない。
たしかに中盤までは非常にもたついている。
しかし個人的にはイライラすらも、すべて終盤のための布石だったように思う。
何故なら中盤までの鬱憤は、観終わった後にはすべて晴らされていたからだ。
もしかしたら中盤のもたつきやイライラは、観る者の回顧のための時間だったのではないだろうか。
回顧の舞台として、団地だったのではないだろうか。
だからこそ、最後にはあのイラつきが嘘だったかのように、非常に清々しい気分でエンディングを迎えることができた。
映像美は安定の◎。
相変わらず作画は非常に美しい。
物語を形成する主人公のメインエピソードはもちろん、脇役たちのエピソードも短いながらどれも秀逸。
イライラはするが、それぞれのキャラがしっかり確立されていて素晴らしかった。
世間の評価はどうであれ、個人的にはさすがスタジオコロリド、さすが石田祐康監督といえる名作。
興味がある方は是非。
☆今すぐApp Storeでダウンロード⤵︎