アニメーション映画
好きでも嫌いなあまのじゃく
SNS時代にあえてアナログなコミュニケーションにこだわった着眼点の独自性はスタジオコロリド作品ならでは!そしてその先で得られたものとは?
『好きでも嫌いなあまのじゃく』とは
「日常と非日常」のコントラストに、愛らしいキャラクターと躍動感ある映像演出。
そして、瑞々しい物語を彩る音楽。
豪華クリエイター&実力派声優により、スタジオコロリドらしさ溢れる新たな傑作・青春ファンタジーが誕生する。
新進気鋭のクリエイターが集まるスタジオとして世界中から注目を集める "スタジオコロリド"。
『ペンギン・ハイウェイ』、『泣きたい私は猫をかぶる』、『雨を告げる漂流団地』に続く、待望の長編アニメ映画は "みんなに嫌われたくない少年" と "天真爛漫な鬼の少女" の物語。
監督は、『泣きたい私は猫をかぶる』で長編監督デビューを飾った柴山智隆氏。
脚本には『デジモンアドベンチャー tri』シリーズを手掛けた柿原優子さんが参加。
さらに、キャラクターデザインをかつてジブリの専属アニメーターを務めた横田匡史氏が、キャラクターデザイン補佐を近岡 直が務めるなど、豪華スタッフが集結。
主演には実力派・小野賢章氏&注目の若手声優・富田美憂さんを迎えた他、浅沼晋太郎氏、山根 綺さん、塩田朋子さん、斎藤志郎氏、田中美央さん、ゆきのさつきさん、佐々木省三氏、
日髙のり子さん、三上 哲氏、京田尚子さんら個性豊かな演技派キャストが揃い踏み。
また、「ずっと真夜中でいいのに。」が、本作のために主題歌「嘘じゃない」・挿入「Blues in the Closet」の2曲を書き下ろし。
スタジオコロリドが贈る "少年" と "鬼の少女" の "ひと夏でひと冬" の青春ファンタジー。
好きでも嫌いなあまのじゃく Blu-ray/出演:小野健昭/富田望生/収録時間 112分/日本語の発音(HDアニメーション)
あらすじ
高校1年生の柊(ひいらぎ)は、"みんなに嫌われたくない" という想いから、気づけば "頼まれごとを断れない" 性格に。
毎日 "誰かのために" を一生懸命やってみているのに、親友と呼べる友だちがいない。
季節外れの雪が降ったある夏のこと。
いつも通り頼まれごとを頑張ってみたものの、やっぱり "何か" が上手くいかない。
「なんだかな」と家に帰る途中、泊まるあてがないというツムギを助けるが……その夜、事件が起きる。
とあることで父親と口論になりそうになるも、 "本当の気持ち" を隠してしまった柊。
言葉にできない何かを抱えながら、部屋で居眠りをしてしまう。
ふと寒さで目が覚めると、部屋が凍りついていて!?
柊はお面をつけた謎の化け物に襲われるが、異変に気付き助けに来たツムギとふたりで、部屋を飛び出す。
一息ついた先でふとツムギの方を見ると……彼女の頭には "ツノ" が!?
ツムギは自分が "鬼" で、物心つく前に別れた母親を探しにきたという。
そして、柊から出ている "雪" のようなものは、本当の気持ちを隠す人間から出る "小鬼" で、小鬼が多く出る人間はいずれ鬼になるのだと……。
柊はツムギの「お母さん探しを手伝って欲しい」という頼みを断り切れず、一緒に旅に出ることに。
しかし、時を同じくして、ツムギの故郷・鬼が暮らす "隠の郷(なばりのさと)" でも事件が起きていて——。
登場人物
八ツ瀬 柊 (やつせ ひいらぎ)
声 - 小野賢章
本作の主人公。
山形県に暮らす高校1年生。
頼まれたら断れない性格。
ツムギ
声 - 富田美憂
人間の世界に母親を探しに来た、鬼の少女。
天真爛漫な性格。
世界中から注目を集める "スタジオコロリド" 作品
スタジオコロリド作品ならではの着眼点の独自性
世界中から注目を集めるスタジオコロリド。
個人的にも、ポストジブリが期待される大注目のスタジオだ。
しかしその作風は、控えめにも万人受けとは言い難い。
コロリド作品の代表的な特徴は、ほとんどが現代劇にファンタジーを足した作風にある。
それ自体は昨今のアニメーション映画の王道であり主流だといえるが、問題は取り上げるテーマにある。
作品テーマの着眼点には独自性があるものの、それは非常に繊細な機微で、共感は得られてもドラマチックな展開になりづらい。
おまけに感想を具体的に言語化しづらく、わかりやすさとは縁遠い。
観終わった後の満足感や充足感はあっても、じゃあ「何が良かったの?」と問われるとその答えに難儀する。
要するに、「よくわからないけど何となく良い」作品なのである。
本作も、もちろんその例外ではない。
作品テーマの表層的な部分はおおいに理解できる。
だが制作側が込めたであろう、その奥底にあるものの正体は非常に表現しづらい。
れっきとしたファンタジー作品であるにもかかわらず、その要素にそぐわないドラマチック性の無さ。
相も変わらず、非常に繊細な機微に着眼した独自性。
本作にも "コロリド作品ならでは" が満載なのである。
長編アニメーション映画
『ペンギン・ハイウェイ』(2018年)
『泣きたい私は猫をかぶる』(2020年)
『雨を告げる漂流団地』 (2022年)
短編アニメーション映画
『台風のノルダ』(2015年)
『寫眞館』(2013年)
『陽なたのアオシグレ』(2013年)
SNS時代にあえてアナログなコミュニケーションにこだわった先で得られたものとは?
SNS時代の到来で、コミュニケーションの形が急激に様変わりした昨今。
他人との関わり方は狭く深くの関係から、広く浅い関係へと変化した。
特定の誰かとの深い繋がりより、不特定多数からの「いいね」がもてはやされる。
そんな時代に、あえてアナログなコミュニケーションの描写にこだわった本作。
ちなみにここでいうアナログなコミュニケーションとは、実際に人と接し関係性を構築することを意味している。
すなわち劇中で描かれたヒッチハイク、フリーマーケット、旅館での接客など、他人とある程度深く関わらなければ成立しないコミュニケーションのことを指す。
本作のこのアナログコミュニケーション推しには、当初こそ多少の違和感を覚えた。
近年、このようなコミュニケーションは敬遠されるきらいがある。
隣人の顔すら知らないこの時代。
アナログなコミュニケーションは事件性を孕んだ危険な行為とみなされる節があるからである。
しかしその弊害として、対人コミュニケーションが酷く苦手になっている傾向にあることは否めない。
対人では何も喋れないから匿名性の高い場、たとえばネット上に自分の居場所を求める。
たとえそれが歪んだ考え方だとしても、少しの共感が集まることで自らの中では一般化され正当化される。
よほどのことでもない限りネット上で個人が特定されることはないから、思考はどんどん過激になっていく。
深く広大なネットの世界で、小さな小さなコミュニティーのわずかなコミュニケーションだけが自分を理解してくれる唯一の場所になってしまう。
そしてそれが自分と他人を繋ぐ唯一の手段となるのだ。
内閣府の調査によると、日本での広義の引きこもり※の割合は、15~39歳で2.05%、40~64歳で2.02%。全国の数字にあてはめると、約146万人と推計されるという。
人が他人との繋がりを断つ理由は、そのほとんどが人間関係がうまくいかなかったことにある。
良好な人間関係の構築、それすなわちコミュニケーション能力の高低有無に依るところが大きい。
そしてネット上のSNSでのコミュニケーションで、それは育まれないのだ。
本作主人公の八ツ瀬柊はSNSにこそ傾倒していないが、自分の意見を延べられないコミュニケーション下手なキャラクターである。
だが数々のアナログコミュニケーションを経験することで、人間としてひとまわりもふたまわりも大きく成長することができた。
最初こそ気づかなかったが、そこを描きたかったからこそアナログコミュニケーションにこだわったのだろうと、観終わった今なら感じることができる。
本作によくわからないけど何となく良いと感じた理由は、そんなところにあるのだろうと思う。
※.広義の引きこもり
引きこもりについては、社会的自立に至っているかどうかに着目し、「趣味の用事のときだけ外出する」「近所のコンビニ等には出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からほとんど出ない」のいずれかを選択した人のうち、現在の状態となって6か月以上かつ病気等を理由としない者を「広義のひきこもり」と定義している。
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