アニメーション映画
海辺のエトランゼ
『海辺のエトランゼ』とは
『海辺のエトランゼ』とは紀伊カンナ先生によるBL漫画。
続編『春風のエトランゼ』とあわせて「エトランゼシリーズ」と呼ばれる。
祥伝社発行の「onBLUE comics」にて連載。
本作の主人公となる橋本駿と知花実央の離島での出会いと旅立ちを描いているのが『海辺のエトランゼ』。
そして続編として離島からの旅路と北海道での新たな生活を描いているのが『春風のエトランゼ』である。
2022年10月現在既刊5巻。
キャッチコピーは「心が洗われるようなボーイズラブ」。
その言葉通り純情ラブストーリーとなっている。
また主人公らの家族との関係や他愛のない日常生活も多く描かれており、家族愛も楽しめる作品。
当初本作品は1話限りの読み切りとして掲載された。
しかし予想以上の反響により、定期連載されることになった。
「全国書店員が選んだおすすめBLコミック2015」で5位もランクイン。
アニメーション映画『海辺のエトランゼ』とは
アニメーション映画『海辺のエトランゼ』が、BLアニメレーベル「BLUE LYNX」から2020年9月11日に公開された。
小説家の卵の橋本駿と海辺に物憂げに佇む少年、知花実央。
そんなふたりの初々しくも、もどかしい関係を描き、多くの読者の心をとらえた紀伊カンナ先生のコミックが原作。
アニメ化にあたって、作者・紀伊カンナ本人が監修、キャラクターデザインを担当。
制作は2Dおよび3Dアニメーションを主軸とした映像制作を行っている、老舗スタジオのスタジオ雲雀。
そして監督を務めるのは、『ダンガンロンパ The Animation』の演出を担当し、「『宝石の国』1巻発売記念フルアニメーションPV」などで瑞々しい演出力を見せた大橋明代さん。
ふたりのドラマと美しい沖縄の自然を、光、色彩、音、すべてにこだわり丹念に描く。
また、駿と実央の繊細に揺れ動く心を表現する、村田太志氏(駿役)と松岡禎丞氏(実央役)の演技にも注目。
静かにくり返す波の音。満天の星空。ゆったりと流れていく時間。
訪れたものすべてを包み込む沖縄の離島で、純粋で、あたたかく、でも不器用なふたりの恋が育まれる。
あらすじ
小説家の卵でゲイの橋本駿と、物憂げに過ごす高校生・知花実央。
3年前、2人は沖縄の離島の海辺で出会い、日に日に距離を縮めるが、実央が島を離れることに。
そして3年後、島に戻ってきた実央は「3年考えた。男でも駿が好き」と迫る。
しかし駿はいざ実央と恋人同士に、となると一歩を踏み出せなくて…。
知らないことを知るキッカケに
日本でも一部ではBL(ボーイズラブ)作品が流行っているようだが、流行りの本質が何処にあるのかがイマイチ不明。
もしそれが興味本位のものであるのなら、性的マイノリティへの日本人の理解はまだまだ足りないと言わざるを得ないだろう。
そういう意味でも、本作のような作品が劇場版として公開されることは非常にポジティブなことだと思う。
本作には性的描写が隠さず(濡れ場程度ではあるが)描かれている点も見逃せない。
日本では同性間の性行為、特に男性同士のセックスの描写は敬遠されているように感じる。
しかし本作は男性同士のセックスに、大胆に踏み込んでいることは特筆に値する。
そこまで興味を持てとまでは言わないが、本作がより多くの人の目に留まることで、性的マイノリティへの理解が少しでも深まれば…と、強く感じる。
知らないことを知るための手段がアニメだっていいじゃないか。
「自分たちと違う存在」を差別する心
人は、自分の身の回りの大多数と違う異質な存在に対して、無理解であるほど、差別の心が生じやすくなる。
肌の色が違うといって、人種差別をしたり、歴史的な敵対国で生まれたという理由で、○○人は敵だと決めつけたり、手足のない障害者を蔑んだりと、外見や国籍、民族、家柄、職業、性別や年齢、思想や能力や障害・病人に対してなど、ありとあらゆる対人関係で差別や偏見が生まれる。
逆の立場になればわかることであるが、日本人というだけで差別してくる人たちもいるし、一昔前までは同じ日本人同士ですら「沖縄出身」というだけで内地の人間から差別を受けていた時代もあった。
しかし、それが正当な差別でないことは分かり切ったことであり、少数派であるが故の無理解からくる差別であると分かる。
個々人への理解が深まれば、差別や偏見は和らぐ。
性的マイノリティの方々も、自分ではどうしようもない心の状態となってしまって悩み、傷ついている人たちもいる。
そのような人たちもいる、ということを理解しておくことが大切なことではないだろうか。
本作の最後はこのような言葉で締めくくられている。
この物語はフィクションです。
実在の場所や人物、団体などとは関係ありません。
南の離島を訪問される際は、地域の環境や歴史、お住まいの方の生活に配慮して、マナーを守った行動をお願いいたします。
いちいちこんな注意喚起をしなくても、誰もが平和に暮らせる日が1日も早く訪れることを願う。
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