東日本大震災から12年
震災復興のための税金2000億円を防衛費へ転用案
2022年12月11日、政府が防衛費増額の財源として、東日本大震災の復興予算に使われている「復興特別所得税」の一部を転用する案を検討していることがわかった。
岸田文雄首相は5年後の2027年度以降、1兆円強を増税でまかなう方針を示している。
2013年1月から所得税額に2.1%を乗じた金額が追加課税されている。
期間は2037年12月末までの25年間で、約7.5兆円を捻出する予定。
2021年度の税収は約4400億円だった。
今後、そのうちの半分、2000億円程度を防衛費に転用することが検討されているという。
複数のメディアが報じた。
転用に反対する立憲民主党の大串博志衆院議員は、同日、自身のTwitterにこう書きこんだ。
やるなら復興税を下げて、別途防衛費のために所得税を上げさせて欲しいと、真正面から国民に問うべき
NHK党の浜田聡参院議員も、12月12日、自身のTwitterでこう批判した。
復興税の防衛費への転用が可能ということは復興税は不要であったということです。
政府与党の税に関する説明はメチャクチャです。
このように政府はチャンスがあればとにかく増税を試みるものです。
そして国民負担率は上昇の一方です。
復興税に関しては、ほかにも『復興特別住民税』として、2013年度から2023年度までの10年間、都道府県税と市町村税でそれぞれ年間500円、合計1000円が追加で徴収されています。
2023年度で終了しますが、2024年度からは同額の1000円が『森林環境税』が導入されることが決まっています。
ただ、この森林環境税も、森林が少ない都市部にも交付されるなど、「税金が無駄になる」と批判の声があがっています。
道路整備などを目的とした自動車重量税は、2009年に道路特定財源が一般財源になったことで自動車業界が廃止を要求しましたが、いまも継続しています。
消費税との二重課税と何度も批判された自動車取得税は、消費税10%への引き上げ時にやっと廃止されたものの、環境性能割として事実上、存続しているといえます。
(政治担当記者)
「復興特別所得税」の防衛費への転用案が報じられると、SNSでは批判の声が多く上がった。
- こういうカネに色をつける行為は利権の温床にしかならない。増税を目的化するなよ
- そもそも防衛費のために納めた覚えはない
- ルール通りに税金支払ってるんだから、お前等もルールを守って被災地の復興にきちんと使ってくれよ
- 流用が酷すぎねえかい。自分等の財布のカネじゃねえんだぞ
- 一度取られたら課税の目的や根拠なんて関係ありません。全ての増税に反対しましょう
一度確保した税収は根拠がなくなっても手放さない……
これでは納税する国民が納得するはずがない。
28%が「厳しい」
被災者の暮らし向き、悪化傾向続く
東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で被害を受けた岩手、宮城、福島3県沿岸部の被災者の28.2%が、震災前と比べて暮らし向きが「厳しくなった」と感じていることが、調査で分かった。
2022年の前回調査から0.7%上昇し、苦境が続く状況がうかがえる。
暮らし向きが「楽になった」と答えた割合が20.1%と前年から2.6ポイント上がり、被災者の復興実感の二極化が見られた。
「変わらない」は3.2ポイント低下した。
一方、3県沿岸部の非被災者で暮らし向きが「厳しくなった」と答えたのは14.7%、「楽になった」は15.1%。東北6県や首都圏を含む回答者全体でもそれぞれ18.7%、12.9%で、被災者の方が厳しくなったと回答する割合が高かった。
暮らし向きの現状を項目ごとに尋ねた設問では、「厳しくなった」と答える被災者の割合が「仕事の確保」で27.5%、「地域住民同士の交流活動」で26.9%に上った。
新型コロナウイルス禍に伴う地域経済の悪化や交流機会の減少が影響しているとみられる。
被災地復興の満足度も分野ごとに聞いた。
道路や鉄道など「交通インフラ」の満足度が最も高く、「満足」「やや満足」と感じる割合が59.5%に達した。
満足と感じる割合は防潮堤整備で39.8%、高台移転や区画整理などの「住宅再建」で36.6%と続いたが、半数に及ばなかった。
満足の割合は「地域経済」で18.8%、除染や風評被害対策など「原発事故への対応」で13.6%にとどまった。
「住民同士のつながり」は満足と不満足の割合がともに20%前後で、「どちらともいえない・分からない」が60%を超えた。
ご覧の通り、あの日から12年経った今でも復興には道半ばにも至っていないような気がする。
復興を支援するために集められた国民の善意がクズ政治家に悪用されている。
2012年11月27日の復興推進会議決定の末路
民主党政権の方がまだまともだった?
復興予算に関しては、震災翌年の2012年に各省庁の流用が問題となった。
野田佳彦首相以下、当時の民主党政権の閣僚らでつくる「復興推進会議」は11月27日、流用を防ぐために使い道を厳格化すると決定した。
それまでは復興予算の使い道は3項目。
- 被災地域の復旧・復興及び被災者の暮らしの再生のための施策
- 被災者の避難先となっている地域や震災による著しい悪影響が社会経済に及んでいる地域など、被災地域と密接に関連する地域において、被災地域の復旧・復興のために一体不可分のものとして緊急に実施すべき施策
- 上記と同様の施策のうち、東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災等のための施策
この日の復興推進会議決定では、3項目のうち1だけを計上することを原則とした。
野田首相は決定にあたり、次のように述べている。
復興関連予算については、被災地の復興に最優先で使ってほしいという声に真摯に耳を傾けなければなりません。
このため、被災地が真に必要とする予算はしっかりと手当てしつつ、それ以外については厳しく絞り込んでいく。
与野党が逆転すれば、納税者との約束は破棄されてしまうのだろうか。
自民党の横暴を、国民はいつまで許しておくつもりだ?
「“国民1人あたり25万円” 復興予算はこう使われた ~人口減少時代の災害復興~」
☆今すぐApp Storeでダウンロード⤵︎