自民党政治との決別から真の復興は始まる
被災者に寄り添わないこの国に政治家が東日本大震災から得た教訓は利権の貪り尽くし方のみ
大地震に遭うたび消える税金
我々の税金はどのように使われているのだろうか?
納税者なら一度ならず考えてしまう疑問だ。
どうせ税金として取られてしまうのならば、ちゃんと然るべきところで適正に使ってほしい。
そんな納税者のささやかな期待が国家が見事に打ち砕いてくれた経験として、東日本大震災の復興予算流用問題というものがあった。
復興予算の大部分が被災地とは全く関係の無いところに流用されたのである。
増税した途端に、派手な流用が繰り広げられていたのだから、納税者の怒りを買ったのだ。
震災の直後、津波により数々の家が流れてしまったこと、そしてあの原発事故……。
思い出すだけでも心が締め付けられる情景はあの時、間違いなくあった。
被災地の人たちを支えようと、25年間に渡る所得税増税と10年間の住民税引き上げを受け入れた。
今も、そしてこれからも増税分を私たちは毎年コツコツと支払い続けていく。
復興予算の流用問題
当時ネットで見つけた予算書を開いてみると、ほとんどが被災地ではない事業の羅列。
「沖縄、北海道など全国の道路改修・新設」「南極でのシーシェパード対策費」「クールジャパンの推進」「検察運営費」「荒川税務署の改修」「東京スカイツリー開業プレイベント」「航空機購入費」「米国での戦闘機訓練費」「ODA」「小型衛星局」……数え上げればきりがない。
いずれも予算名には「復興道路」など、もっともらしい名前が冠につけられていたりする。
このことを霞が関の担当者に話を聞いても「復興基本方針に書かれているのだから、全く問題ない」「なんで疑問に思うのか、不思議だ」などとスルー。
腑に落ちず問い詰めても「普通の道路です。道路のないところに道路ができると、防災に役立つでしょ」などといった、雑なものだった。
とはいえ復興予算の流用があったのは、全体のうちごく一部だと思われていた人もいるかもしれない。
しかし、当時は実際のところは取り上げきれないくらい広範囲かつ派手に流用が行われていた。
例えば、復興2年目の2012年の復興予算は4兆円弱だが、半分の約2兆円が霞が関各官庁の予算として全国にばら撒かれている。
例えば、被災地向けの新規事業であった経産省の「国内立地補助金」 でさえも、被災県の企業は全体の5%もなかった。
1年目は復興庁が存在せず、各官庁から復興予算が支出されていた経緯があったため、2年目に復興庁が設立された際に被災地に関係するものは復興庁、被災地と関係なく全国的なものは他省庁という変な「縄張り」が形成されたのだ。
復興2年目となる2012年度復興特別会計の予算書なので、すべてが復興財源である。
しかし、復興庁の予算以外は、ほとんどの事業がまるで無関係であるということが見えてくる。
予算書では子供手当などを含んだ公務員の人件費がやたら目立っているが、これは1年で合計791人分の人件費131億円、7億円分もの退職金が復興予算から付け替えられている。
これを当時各省予算担当者に問うと「特別会計から人件費を持ってくるなんて別に問題ないでしょ」などと言われ取り付く島もない。
確かに過去には道路特定財源から国交省職員の人件費が出ていた先例がある。
しかし、被災地のために増税までした資金を公務員給与に使っているのは意味合いがまったく違う。
また、北海道大学から沖縄大学まで全国各地の国立大学の改修が復興予算で行っていることもわかる。
被災地の大学へは46億円だが、389億円は被災地でない大学にばら撒かれている。
予算書の「等」といった表記に隠れて、明記されない流用事案も多く見つかった。
例えば国会議事堂のシャンデリアのLED取替えや、内閣府の霞が関合同庁舎4号館の建て替え費用など、永田町・霞が関を始め全国で潤沢に復興予算が国家機関の総リフォームに使われていたのである。
これらのとんでもない流用への隠れた意図は、震災から間もない2011年7月、復興に関する基本方針を決めるために開かれた「復興構想会議」の初日にはすでに顕在化していた。
当時の菅直人首相から五百旗頭議長へ渡された諮問書には、「被災地域の復興なくして日本経済の復興はない。また、日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない」と記載されていた。
韻を踏んだポエムのような一節ゆえに、一見、深い意味がなさそうに見せながら、この後、この一節が政府の復興基本方針のひとつとして正式に採用され、いわゆる流用を正当化する免罪符となっていた。
流用したくてたまらない彼らにとって最も重要な一節だったわけである。
その証拠に、復興構想会議を経て増税がなされた後、これを財源とした2011年自民党政権下での三次補正の概要説明書にいたっては「被災地域の復興なくして日本経済の復興はない」の一節は完全に切り捨てられ、景気対策としての国内空洞化対策を正当化するために「日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない」の言葉だけがアピールされていた。
「当事者」に届かない税金
残念ながら、税金は「当事者」のところにはほとんど届かない。
税金を引き上げたいとき、新規事業を作りたいとき、そのダシとして彼らが利用されることはあっても、税金が困っている当事者に届くまでに大半は中抜きされ、跡形もなくなっている。
「当事者に届かない」例として言えるのは、復興予算には当事者を直接支える予算は圧倒的に少ないということ。
復興予算のうち、唯一個人に出るものとして家を建てるために被災者への住宅再建支援という制度があるが、最大でも300万円(全壊)しかない。
これは復興予算19兆円で計算しても全体の2%に満たない。
対象となるのは全壊と半壊だけで「一部損壊」は対象にすらなっていない。
それでも、300万円でももらえるのはまだマシだ。
震災直後にオープンしたての店が被災し、二重ローンに苦しむ被災者から聞いた話だが、一度でも過去に税金の滞納があれば、被災者であったとしても、そもそもあらゆる助成の対象外なのだという。
経営に苦しんだことが一度でもある人はそもそも救済の対象とならないということだ。
復興交付金も5省40事業に限られていて使い勝手が悪い。
例えば、限定的に2~3軒家だけで嵩上げするような予算はない。
あっても、崖が近くなければもらえない「崖近接事業」などしかないのだ。
復興庁にこれを聞くと、個々の家の嵩上げのような事業は「個人資産の形成」につながるため、原則的には使えないのだという。
国は個人への保障を手厚くせず、インフラ整備に何兆円もの復興予算が投じてきた。
しかし、区画整備事業に指定されたエリアは何年間も建設禁止区域にしてしまうので、街の機能が事実上停止してしまっていた。
造成が終わるころまでには、人口が減って、そこには住民がいなくなるのではないかと思っていたが、どうやら思ったとおりになっているようだ。
被災3県では、嵩上げが終わった造成地は3分の1が未利用のままとなっているという。
そもそも何年も待った上、何もない更地が提供されても、家を建てる費用が十分になければ建てることなどできない。
嵩上げして造成した土地は津波にも弱いだろう。
政治家にとって国は「身内」だけど個人は「他人」
被災地の話は、東京で聞いていた復興予算の話とはあまりに雰囲気が違った。
銀座で会った会社経営者は「私は被災地ではありませんが、地震で自社工場が一部破損したんです。それを申請書に書いたら通るよと聞いて、言われるがまま書いてみたら、復興予算から3000万円がもらえた。本当にラッキーでした」と言っていた。
被災地の個人はダメだが、被災地ではない法人なら青天井でOKということなのだろうか。
「私は商社マンですが、あの頃は申請さえすれば復興予算と関係なくても、あらゆる補助金がもらえるらしいと業界では随分話題なりましたよ」など、被災地の深刻さとは全くの別世界で喜んでいる人たちがいた。
復興予算流用事例で見られる国家のロジックは、「復興予算はあくまで国のカネ」であるということ。
国は「身内」であり、個人は「他人」なのである。
他人が自分の財布を使うのはひどく厳しい条件をつけるが、自分の身内なら、海外のイベントに使っても宇宙事業に使っても差し支えないということのようだ。
税金は困っている人に届くのではなく、受給テクニックに手慣れている人たちに貪り取られている。
残念ながら、これがこの国におけるあなたの税金の使われ方の現実なのだ。
被災者に寄り添わない自民党政治
2024年1月1日に発生した能登半島地震もそのひとつだ。
能登半島地震発生後、しきりに復興支援アピールを続ける岸田首相だが、他の大地震と比べると能登の復興はまったく進んでいない印象を受ける。
それよりむしろ、能登半島は政府から見捨てられたような印象を受けるのは著者だけだろうか。
また復興予算と銘打って裏金作りに没頭しているのではないか?
今のうちに裏金を作っておいて、敗色が見え隠れする来るべき総選挙の時バラ撒く気ではないのか?
現政府は国民から絞るだけ税金を絞っておきながら、大地震に遭った国民にすら、その税金を遣う気がないらしい。
災害が多い地域において、保険とか共済といった制度への加入も重要である
岸田文雄首相
どこまでいっても自助、自助、自助。
能登半島の復興に関しても、聞こえてくるのは民間やボランティアの活動ばかり。
政府の支援活動といえば、いまだ衣食住すらままならない被災者たちに手を差し伸べようともしないで、観光支援やら販売支援やらピントがズレたことばかり行っている。
東日本大震災から13年経った今なお、 被災8市町では復興工事 「完了見通せず」という調査結果が出ているというのに、この国の政治家は過去の痛みから何も学んでいない。
この国の政治家は今までいったい何をしてきたのか?
これから何をすればいいと考えているのか?
間違いなく言えることは、それが国民のためになることではないということ。
政治がその気ならば国民のやるべきことはひとつしかない。
日本の真の復興は自民党政治との決別からようやく始まるのだ。
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