其の六
美しき日本語の世界。
「すみません」の多様性
「ありがとう」と「ごめんなさい」を、コミュニケーションの最重要ワードと考えている著者。
「ごめんなさい」を「すみません」と言うことがあるが、「すみません」とは他にも様々なニュアンスを含んだ言葉である。
他にどのようなものがあるのだろうか。
日常会話でよく遣う「すみません」だが、大別すると3つの意味が含まれていることがわかる。
意味①「ごめんなさい(謝罪)」
「約束の時間に遅れてすみません」や「迷惑を掛けてすみません」などのように、謝罪するときに遣う「すみません」。
ただしビジネスシーンでの遣い所(※後述)には注意が必要である。
意味②「ありがとうございます(感謝)」
「誰かが落とした物を拾ってくれた時」や「誰かが席や順番を譲ってくれた時」などに、誰かに感謝の気持ちを込める際に遣う「すみません」。
この「すみません」には、相手に負担をかけて「申し訳ない」という気持ちが含まれているため、半分は「ごめんなさい」の意味も含まれる。
そのため同じ感謝を伝える言葉でも、「すみません」<「ありがとう」となり遣う相手を選ぶ。
母語として日本語を扱う人間にとって①と②の使用例は日常的だが、そうでない人にとってはすこぶるややこしい表現なのだろう。
意味③「ちょっといいですか(呼びかけ)」
「すみません、注文をお願いします」や「すみません、○○を取っていただけますか」など、誰かへ呼び掛ける際に遣う「すみません」。
家族や親しい知人や友人に対してはかしこまり過ぎる言葉なので、「あのう」や「ねえ」などが遣われる。
ビジネスシーンでの「すみません」には要注意
突然のトラブルでつい口に出やすい謝罪のワード「すみません」だが、実はビジネスにおいては要注意な言葉遣いでもある。
なぜなら「すみません」だと、非常に軽い謝罪の印象を受けてしまうからだ。
時と場合によっては「すみませんじゃないだろ!」と火に油を注ぎ、先方をさらに怒らせてしまったというケースも少なくない。
自分では謝っているつもりなのにどうして?と不思議に思うときは、自身の発した言葉がそのシーンにふさわしかったのかどうか振り返ってみよう。
きちんとした謝罪をする場合は、「申し訳ございません」と言うのが正解。
社会人として、突然のトラブルでも適切な言葉遣いができるよう気をつけよう。
このように「すみません」という言葉ひとつとっても、様々な意味が含まれている。
普段からよく遣う言葉だからこそ、上手に遣い熟したいものである。
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