其の二十三
美しき日本語の世界。
成り立ちから知る
漢字に込められた真の意味
日本における「常用漢字」は2,136文字。
このうち、小学校で学習するものは1,026文字と、常用漢字の約半数にのぼる。
小学校1年生で、初めて学習するのが「漢字」。
国語の教科書で紹介する漢字の隣には、その成り立ちを教える小さな絵が添えられていた。
自然の姿や形を写し取ってつくられた漢字の奥深さに、感動を覚えた方も少なくはないだろう。
漢字は、その一字だけで意味を成す。
その成り立ちを知れば、漢字に込められた真の意味を知ることができるだろう。
「愛」 …過去を振り返ること
「旡」「心」「夂」の組み合わせによる「愛」。
「旡」は人間が後ろを向く姿、「心」は人間の心、「夂」は人の足を表している。
つまり、「愛」とは「人がゆっくり歩きながら後ろを振り返ろうとする心情」を表した漢字なのである。
このシチュエーションから、我が子を気にしながら歩く親の姿が連想される。
意外にも「愛」という漢字に込められた真の意味とは、家族愛だったのかもしれない。
「恋」 …揺れる心
「恋」の旧字体は「戀」。
「絲」は糸がもつれる様子、「言」はけじめを意味している。
この下に「心」をつけると、「もつれた心の糸を解くことのできない状態」を示す「戀」になる。
「恋」という心理状態を、如実に言い表わしている。
まさに言い得て妙。
形のない「心」を「糸」に見立てたセンスは見事という他ない。
日本人にとっての「愛」がなぜ家族に向けられた感情なのか
そもそも「愛する」という言葉が日本で使われるようになったのは、明治時代以降だといわれている。
西洋の「Love」を表す言葉として遣われるようになった。
つまり恋愛感情としての「愛」という概念は、明治時代以前には存在しなかったということになる。
では明治時代以前には恋愛感情としての「愛」が存在しなかったかというと、当然そんなことはない。
古来より日本人は、日本人らしい言葉で愛情を表現していた。
それは「お慕いする」のような、非常に慎ましい言い方である。
なるほど、それで得心がいく。
日本人にとっては、「愛」にも種類があるということか。
恋愛感情としての「愛」は「慕う」と表現し、親子のような家族愛には「愛」と表現していたのだろう。
日本人は愛情表現ですら、状況に応じて遣い分けていたようだ。
「愛」の一字には、そんな意味が込められていたとは。
知れば知るほど日本語は面白い。
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