2023年覇権アニメ争いはテレビ各局の代理戦争
主力を投入した2023年秋アニメはテレビ局の覇権争い
まずは2023年に放送された各局の作品に注目してみよう。
- 日テレ『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』
- TBS『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変 (第2期)』
- テレビ東京『SPY×FAMILY Season 2』
- TOKYO MX『推しの子』『陰の実力者になりたくて! 2nd season』
- NHK『進撃の巨人 The Final Season 完結編 』
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どの作品も大人気作品でかつ今後のアニメ界を支えていくであろう名作揃いで、アニメに対する各局の強い意気込みが感じられる。
久しく大ヒット作品を世に送り出せていないあのNHKですら、2023年秋に『進撃の巨人』を投入。
遂に完結させている。
ここで挙げた作品以外にも、名作と呼べる作品は数多い。
だがしかし、このなかにフジテレビの超人気作品『鬼滅の刃』の名はない。
制作側のジレンマ 空白期間が長い『鬼滅の刃』の放送スケジュール
近頃のアニメはとにかくクオリティが高い。
テレビシリーズを再編集すれば、そのまま劇場版で通用するほどのハイクオリティだ。
ちなみになぜ劇場版と比較するかというと、劇場版は有料が故に、無料のテレビ版以上のクオリティが求められる。
だからこそ、無料のテレビ版のクオリティが劇場版並みに高くなることは観ている側とすれば嬉しい限りであるが、作る側はそうはいかない。
クオリティにこだわった分、放送スケジュールの空白期間がどうしても長くなる。
すぐに次のシリーズ…というわけにはいかないのだ。
これはクオリティが高くなったために発生したデメリットであり、制作側のジレンマでもある。
なぜなら、放送スケジュールの空白期間が長い分だけ視聴者の熱も失っていくからだ。
『鬼滅の刃』の放送スケジュールを例に考えてみよう。
- 竈門炭治郎 立志編: 2019年4月6日 - 9月28日
(空白期間:およそ1年半)
- 劇場版 無限列車編:公開日: 2020年10月16日
(空白期間:およそ1年)
- 無限列車編: 2021年10月10日 - 11月28日
(空白期間:およそ2ヶ月)
- 遊郭編: 2021年12月5日 - 2022年2月13日
(空白期間:およそ1年)
- 刀鍛冶の里編: 2023年4月9日 - 6月18日
世の中の流行り廃りは移ろいやすく、鉄は熱いうちに打たなければいけない。
鉄を熱いうちに打ちきれなかった良い例が『進撃の巨人』であり、『鬼滅の刃』もそうなりかけているような気がする。
2023年11月現在放送済みのアニメ『鬼滅の刃』の物語の進行具合は、完結済みの原作マンガのコミックスに沿っていえば、ようやく前半を終えていよいよ後半に入るあたりだろうか。
アニメ『鬼滅の刃』の売りのひとつは、映像の圧倒的なクオリティの高さにある。
特に戦闘シーンは、普段アニメを観ないような人でも驚くほどのレベルだ。
だが、普段アニメを見ない人にとっては、それは刹那的な結果にすぎない。
「『鬼滅の刃』はあれほど人気があるのに、なぜすぐ続きを放送しないの?」
アニメファンであれば、思わず苦笑してしまう問いである。
アニメファンなら、「高品質の作品は、制作に時間が掛かる」ことをよく理解している。
アニメ業界の視点でいえば、よく1年そこそこで、クオリティを保ちつつ、続編の放送・公開に漕ぎ着けていると感心させられる。
なぜならアニメの制作現場はクリエーターへの要求も高く、時間に追われてギリギリのスケジュールであるのが普通。
深夜アニメでも、1クール(3カ月)放送してから一度終わらせ、続編を3か月後、半年後に放送するのは作品の質を維持するためだ。
しかしそれは制作側の事情でしかなく、流行に便乗しただけのファンにとっては「関係ない」こと。
人間の欲求として、素晴らしい作品を見れば「次がすぐ観たい」と思うのは本能でもある。
一方で、毎週放送されているテレビアニメもある。
だがそれは「次がすぐ観たい」という欲求は満たしてくれるが、クオリティは一段落ちる。
劇場版に転用できるほどのハイクオリティとは、お世辞にも言い難い。
おまけに、それはそれで原作マンガの連載に追いついてしまい、その対応として本筋とは関係のないアニメオリジナルシナリオが差し込まれ、結果的にシナリオはなかなか次に進まない。
そう考えると結論はさほど変わらないのだが、このような毎週放送のアニメの存在が、誤解を与えてしまっているのだろう。
そのため「(続きを)1年待つのは長い」「間隔が空きすぎる」という考えをする人が一定数いて、同様の意見はネットでも数多く見かける。
そしてアニメファン以外の人に「制作側の事情も汲み取って」というのも、非常に難しい話なのだ。
結局流行り廃りなんてそんなもの。
もちろんそれは裏を返せば、普段アニメなんて観ない層を『鬼滅の刃』が取り込んだ証であり、社会現象にまでなったコンテンツならではの悩みともいえる。
だがそれが2023年のアニメに乗り遅れたフジテレビ低調の一因となっているように思えてしまう。
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フジテレビ復調の鍵を握るのは『鬼滅の刃』?
フジテレビ "秋の大改編" で大苦戦「振り向けばテレ東」どころか誰もいない状況に…
フジの全盛期を知る世代には「楽しくなければテレビじゃない」を思い出す人も少なくないだろう。
1981年、それまでの「母と子のフジテレビ」を改め、面白くて視聴率が取れる番組を作っていこうというキャッチフレーズだった。
その結果、『オレたちひょうきん族』や『笑っていいとも!』などの人気番組が生まれ、翌82年には年間視聴率三冠王を獲得。
それは12年続いた。
しかしその後フジテレビに訪れた長い低迷期。
そこでフジテレビは「やっぱり、楽しくなければフジテレビじゃない」をキャッチフレーズに秋の大改編を行った。
改編率はゴールデン帯(19~22時)が33・2%、プライム帯(19~23時)が34・5%にも及んだのだが、残念ながら上手くいっていないという。
11月第2週のゴールデンの世帯平均は5・2%と、テレビ東京の5・3%よりも下回った。
つまり民放最下位となってしまった。
「振り向けばテレ東」と揶揄された時代もあったが、今や振り向いても誰もいない状況。
まさに踏んだり蹴ったりだ。
なぜ上手くいかないのだろう。
フジテレビの低調は、時代を読み切れていない秋アニメに象徴されているのではないだろうか。
『鬼滅の刃』に対する温度に、以前ほどの熱量があるか?
結論から言ってしまえば、沈静化の傾向にあると思う。
以前ならアニメ『鬼滅の刃』が放送されれば、X(旧Twitter)のトレンド上位は『鬼滅の刃』関連のワードで埋め尽くされ、放送後まで維持していた。
ところが、「無限列車編」ですでにそのブームに陰りが見え始めている。
放送後には「#煉獄さん」と「#鬼滅の刃無限列車編」でワン・ツーとなったものの、しばらくすると「#THE_W」に抜かれて首位を失った。
その後、再度首位を奪い返したものの、トレンド入りする関連ワードの数も控えめだった。
また、「刀鍛冶の里編」の放送時期発表を受けて各メディアが配信した記事も、大手メディアではその記事を配信しなくなっている。
以前ならば、大手メディアもこぞって報じていたのだが…。
どんな人気コンテンツでも、常にピークの状態で人気を維持するのは不可能ではある。
人気の波は確実に存在し、沈静化は想定内ではある。
要は、いかに人気の沈静化を食い止め、どうやって巻き返しを計るかである。
そして巻き返しの観点からいえば、これだけの名作が並んだ2023年秋アニメに、『鬼滅の刃』の名がないことは不安材料でしかないように感じる。
あえて制作側が放送時期をズラしたとも考えられなくはないが、各局がこぞって人気タイトルを投入し話題を獲得していく中で、『鬼滅の刃』が視聴者から取り残されているのは間違いない。
これはどの作品にも今後起こり得ることで、制作側は人気維持のための相応の戦略が必要となるだろう。
ただ、人気維持のために無謀な放送スケジュールを組むことは、現場のクリエイターを苦しめるだけである。
ペースを上げるなら上げるで、待遇改善や増員、設備投資等しっかり対策して、今や日本の貴重な財産であるアニメ文化を守っていってほしい。
そんな理想をのたまいつつも著者がどうしても心配してしまうのは、仮にこのペースで放送スケジュールが組まれるとしたなら、アニメ『鬼滅の刃』の最終回はいったいいつになるのかということ…。
そしてその間に、『鬼滅の刃』の熱を忘れさせる作品に、いくつ出会うのだろう。
忘れてしまわないかな?
『葬送のフリーレン』という超名作に、すでに出会ってしまったのだが…。
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