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ioritorei’s blog

完全趣味の世界

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【ドラマ『ノンレムの窓 2023・夏』】 「夕暮れ時の葛藤」(主演:小澤征悦)に脚本家バカリズムの非凡な才能をみた。

 

 

 

 

ドラマ『ノンレムの窓 2023・夏』

「夕暮れ時の葛藤」(主演:小澤征悦)に脚本家バカリズムの非凡な才能をみた

 

 

ドラマ『ノンレムの窓』

脚本家バカリズムが贈る新感覚SFショートショートドラマ

 

 

深い眠りを意味する「ノンレム睡眠」。

今回お届けする3つのドラマは「夢なのか?それとも現実なのか?」。

〝夢と現実〟〝現実と非現実〟の狭間を行き来する、ちょっと不思議なバカリズムワールド全開!

 

 

 

『ノンレムの窓』とは

 

 

『ノンレムの窓』は、バカリズムの原案・脚本による日本のSFショートショート・ドラマシリーズ。

第1弾が2022年4月5日に日本テレビ系列の深夜番組枠「プラチナイト」で放送された。

3本立てのオムニバス形式のドラマで、バカリズムが各話の案内人を務める。

以下、番組改編期に新作エピソードが制作されている。

 

  • 『ノンレムの窓 2022・秋』(第2弾) - 2022年10月9日
  • 『ノンレムの窓 2023・新春』(第3弾) - 2023年1月7日
  • 『ノンレムの窓 2023・夏』(第4弾) - 2023年7月8日
  • 『ノンレムの窓 2023・冬』(第5弾) - 2023年12月25

 

 

 

「夕暮れ時の葛藤」(主演:小澤征悦)

 

 

夕方にスーパーを訪れた男は、列ができている2つのレジのうち、短い列に並ぶことに。

ところが長い列ができていた隣のレジがサクサク進み、そっちの列に移るべきか葛藤し始める。

そんな時、自分の後ろに並んでいた人が隣の列に移ったことでさらに葛藤は続き――。

 

 

 

 

 

 

 

目まぐるしく変化する視点と意外性はバカリズム脚本の真骨頂

 

 

視点①:野本の場合

 

【スーパーでレジに並ぶ】

 

ある日の夕方、野本久(小澤征悦)は近所のスーパーに来ていた。

自分へのご褒美として、総菜売り場で一番好きな厚切りロースかつ丼とビールを買い物かごに入れる。

早く家に帰ってひとりで宴を楽しみたかったからだ。

レジに行くと、2つのレジにはどちらも長蛇の列ができている。

野本は比較的列が短い列の方にに並ぶが、隣りの列がサクサクと進み始めた。

よく見ると、隣の列の客のかごは品物の数が少ないのに対して、こちらはかごいっぱいの客が多い。

しかも、こちらのレジ係は新人なのか手際が悪い。

一方、隣りはベテランで流れるようなレジさばき。

 

 

【隣の列に移るべきか?】

 

野本は自分が選択を誤ったことを認めた。

隣りに移るべきか?

いや、今隣りに行って、その後万が一こちらの列が進み始めて、今自分の後ろにいる青年の方が早くレジにたどり着いたらとてつもなく恥ずかしい。

躊躇している野本をよそに、後ろの青年は隣に移ってしまった。

この流れで自分も移るべきか?

葛藤しているうちに次々とこちらの列の客が隣へ移り、さっきまで自分の後ろにいた青年はすでにレジにたどり着こうとしている。

すると、こちらのレジ係に上司が何かを告げに来た。

もっとテキパキするように指導が入ったのか?

野本はスピードアップを期待して今の列に留まることにした。

ところが、新人レジ係は今よりもっとモタつき始めた。

これを見た野本はついに隣りの列に移る決意をする。

清々しい気持ちでベテランのほうのレジに並んだ野本だったが、なぜか急に元の列のほうが進みだした。

 

 

視点②:新人アルバイト・吉沢の場合

 

【新人アルバイトの事情】

 

吉沢明里(北香那)は2日前に新人研修を終えたばかりのアルバイト。

吉沢は区切りよく休憩時間を取るために、あえてゆっくり作業して時間調整をしていた。

そんな吉沢を見かねてか、上司が近寄ってきた。

時間調整を咎められると思いきや、上司の口から告げられたのはある極秘指令だった。

吉沢のレジに野本という連続強盗の指名手配犯が並んでいて、すでに警察に連絡してあるので警察が来るまでできる限り時間稼ぎしてほしいと…。

吉沢が言われた通り時間を引っ張るために今までよりさらにもたついていると、なんと野本は隣りのレジ列に移ってしまった。

隣りのレジのベテラン店員・下川春江(田村たがめ)は野本のことを知らない。

このままではテキパキとレジを打って、警察が来る前に野本を取り逃がしてしまうだろう。

吉沢は野本を自分の列に取り戻すために、猛烈なスピードで作業し始める。

 

 

視点③:ベテラン店員・下川の場合

 

【ベテラン店員のプライド】

 

下川春江はこの店でレジを打って15年。

「MASTER OF REGISTER」と呼ばれスピードも正確さも誰もかなわない。

しかし下川の地位を脅かす逸材が現れた。

新人アルバイト・吉沢明里には、動きに一切の無駄がないのだ。

いや、まだ世代交代は早い。

下川の闘志と情熱に火が付いた。

どちらのレジ打ちもすごいスピードだったが、若干吉沢の方が速く見えたのか、野本は吉沢のレジ列へと戻って来た。

野本は一刻も早く帰宅して、かつ丼弁当とビールで今夜0時に時効を迎えるお祝いをしたかったのだ。

 

 

視点①改め視点④:連続強盗の指名手配犯・野本の場合

 

【野本の敗北】

 

一刻も早く帰宅したい連続強盗の指名手配犯・野本。

しかし野本が吉沢の列に戻った途端、吉沢の動きが遅くなった。

野本の選択はことごとく、すべてが裏目に出たのだった。

結局15分も列に並んで、ようやく店の外に出た野本の前にパトカーが止まる。

大人しくお縄を頂戴した野本。

連行されるパトカーの中で野本は、取調室でかつ丼を出してもらえるのはドラマだけだという現実も知ることになる。

 

 


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「夕暮れ時の葛藤」(主演:小澤征悦)に脚本家バカリズムの非凡な才能をみた

 

 

本作の凄さは、畳みかける視点の変化とその意外性にある。

初めのうちは、普通のおっさんのささやかな日常の "あるある" を切り取った、よくあるコメディのひとつなのだと思うだろう。

しかしそこはバカリズム脚本。

この物語の主人公が、並んでいる列の長短で一喜一憂する普通のおっさんで終わるわけがない。

どんな仕掛けがあるのかと構えていると、それは意外な形で発覚することになる。

一人称だった視点が、突如新人アルバイト・吉沢を加えた二人称へと変化したのだ。

いよいよバカリズム脚本の本領発揮である。

視点が二人称へと変わったことで得た恩恵は絶大だった。

一人称ではわかり得ないそれぞれの思惑が、二人称になることで即時答え合わせできるようになる。

行動の理由も意味も、そのズレさえも即わかるのだ。

この意外性がすこぶる面白い。

さらにそのズレは、我々視聴者の想像をことごとく超えていく。

せっかく視点と思考は一致したというのに、自分の想像からは明らかにズレていく感覚は、モヤモヤを通り越してもはやスッキリ。

例えば、普通のおっさんだとばかり思っていた野本の正体が、視点が変わったことで実は連続強盗の指名手配だったことが暴かれる。

同時に、新人アルバイト・吉沢のもたもたしていた行動の理由が判明する。

なんと!?

そういうことだったのか!?

このスッキリ感はたまらない。

一瞬でも日常の "あるある" を切り取った、よくあるコメディだなんて思ってごめんなさい。

おまけに第三者と思われていたベテラン店員・下川の視点まで加わり、いつの間にやら三つ巴状態。

物語はさらに混沌化していく。

スーパーという、ごくごくありふれた舞台が戦場と化す。

三人それぞれが、それぞれの思惑で長蛇のレジ列に立ち向かっていく。

結果は前述した通り、野本の敗北で終わる。

しかしここでバカリズムお得意の伏線回収が発動。

事後談補足として、新人アルバイト・吉沢は当初の目的であった適切な休憩時間は事情聴取のために得られず、最後まで事情を知らないベテラン店員・下川は「MASTER OF REGISTER」の矜持をなんとか保つことができた。

さすがの演出だ。

おまけに「他の列は自分の列より必ず早く進むという仮説」というエトーレの法則のインテリトリビア付き。

まさに至れり尽くせり。

バカリズム脚本の傑作といえば真っ先に大人気ドラマ『ブラッシュアップライフ』が思い浮かぶが、『ブラッシュアップライフ』は1話55分のワンクールドラマである。

対して「夕暮れ時の葛藤」(主演:小澤征悦)は、1話たかだか20分のショートドラマ。

引ける伏線には限りがある。

いや、回収の時間を考えれば、伏線を引けば引くほど陳腐になるような気がする。

だからこそ、バカリズムは得意の伏線をあえて最小限にとどめて、視点の変化とその意外性に全焦点を絞った。

結果、その効果は絶大だった。

よくぞ短時間でこれほどの作品を作り出したものだと、ただただ感心するばかり。

バカリズム脚本で、1時間ドラマの最高傑作が『ブラッシュアップライフ』ならば、ショートドラマの最高傑作は「夕暮れ時の葛藤」(主演:小澤征悦)

環境が揃っていないとなかなか気軽に観れる作品ではないが、気になった人は是非ともチェックしてほしい。

バカリズム脚本作品はやはり面白い。

世間ではもてはやられているけど、どの辺りが天才なのかイマイチよくわからないカリスマ(?)芸人なんかより、バカリズムの視点のズラし方と意外性のほうがよほど非凡な才能を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

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