単純な計算で開花の時期の目安がわかる「600℃の法則」
桜の開花メカニズム
桜の花芽は、実は開花前年の夏にはできていることをご存知だろうか。
それが秋から冬にかけて、生長しないように休眠状態に入って年を越す。
そして充分に低温刺激を受けた後に気温がぐっと高まった段階で休眠から目覚める。
これを「休眠打破(きゅうみんだは)」という。
気象情報会社などが行う開花予想では、この休眠打破の日を起算日として、温度変換日数を積算し、地点毎に定めた日数に到達した日を開花日と予想しているのだ。
誰でも簡単にできる桜の開花予想
気象情報会社などが使う正式なやり方を取らずとも、実は "東京・靖国神社にある桜の標本木" については「600℃の法則」と呼ばれる手順を使えば、手軽におおまかな桜の開花を予想できる。
内容はいたって簡単。
600℃の法則
桜は2月1日以降の日最高気温の合計が600℃に達すると開花とする
つまり、2月1日を「休眠打破の日」と仮定して開花予想の起算点に設定し、そこから毎日の最高気温を足し算していくだけで桜の開花予想ができるのだ。
これで本当に予想が当たるのだろうか?
2010年〜2022年までの13年間について、気象庁のデータから東京都における「600℃の法則」の精度を調べてみた。
東京都心で日最高気温の積算値が600℃に到達した日と開花の観測日の差
正の方向は開花日のほうが遅かったことを、負の方向は到達日のほうが遅かったことを示すこのグラフは、2月1日から毎日の最高気温を足して "600℃を超えた日" と、"実際に開花が観測された日" の間に何日の誤差が生じていたかを示したもの。
最大でも3日しかずれていないというのは、なかなかの精度ではないだろうか。
驚異の的中率!桜開花「600℃の法則」
東京を例に、さらに遡って桜の統計が始まった1953年以降の開花日と、最高気温の積算が600℃に到達した日を比較してみよう。
2021年までの69年分のデータで、そのうち9回が600℃到達と開花日がピッタリ一致。
また、全体の7割以上が、600℃到達日の前後3日以内に開花していた。
最高気温を足すだけという非常にシンプルな法則でありながら、これは驚異的な的中率だ。
しかし全国に目を向けると、東京よりもさらにこの法則が当てはまりやすい都市があった。
まずは、杜の都「仙台」。
69年中なんと17回がピッタリ一致。
4年に一度はこの法則が的中していることになる。
さらに、全体の8割以上が600℃到達の前後3日以内に開花していた。
600℃到達日の開花は15回。
ピッタリ一致した回数では仙台に及ばなかったが、全体の9割以上が600℃到達日の前後3日以内に開花していた。
その他、名古屋や大阪、広島、高松、福岡も、上記3地点ほどの的中率ではないものの、全体の5割前後が600℃到達の前後3日以内に開花していた。
唯一、法則に当てはまりにくかったのが札幌だ。
前後3日以内に収まったのは全体の2割にとどまり、1週間以上ずれることも多かった。
2月上旬、札幌では最高気温がマイナスのことも多く、スタートラインが0℃ではなくなってしまうことが関係しているのかもしれない。
ただ、それでも1961年と2011年の2回は、600℃到達と開花日がピッタリと一致していた。
以上のことから、桜開花600℃の法則は、非常に精度が高く、場所を選ばずに当てはめることができる法則といえるだろう。
お住いの地域の最高気温を足しながら、桜の開花を待ってみるのもまた一興である。
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