日本映画
ゴジラ-1.0
「ゴジラ」シリーズの名を借りた反戦映画という印象
『ゴジラ-1.0』とは
『ゴジラ-1.0』(ゴジラ マイナスワン、英題: GODZILLA MINUS ONE)は、2023年11月3日公開のTOHOスタジオ・ROBOT制作による日本映画。
戦後間もない日本を舞台に描かれる、山崎貴VFX・脚本・監督による怪獣映画である。
タイトルに付けられた "-1.0" には、「戦後、無(ゼロ)になった日本へ追い打ちをかけるように現れたゴジラがこの国を負(マイナス)に叩き落とす」という意味がある。
「ゴジラ」シリーズでは37作目であり、国産の実写作品としては通算30作目。
『シン・ゴジラ』以来7年ぶりとなり、ゴジラ生誕70周年記念作品と位置付けられている。
ゴジラ生誕70周年記念作品
特撮怪獣映画の金字塔『ゴジラ』の生誕70周年記念作品であり、日本製作の実写版ゴジラ映画として通算30作目となる節目の作品として生み出された『ゴジラ-1.0』。
2023年11月に公開された日本はもとより、同年12月にはアメリカでも公開され、全米歴代邦画実写作品の興行収入1位を記録するなど大ヒットを記録した。
『ゴジラ-1.0 / C』(ゴジラマイナスワン/マイナスカラー)なるモノクロ映像版も制作され、山崎監督が目指した「怖いゴジラ」の原点ともいえる1954年の第1作『ゴジラ』を彷彿させる世界観を体感することができる。
第96回アカデミー賞「視覚効果賞」受賞
第96回アカデミー賞では邦画・アジア映画史上初の視覚効果賞を受賞。
それまでに歴代のアカデミー賞の中で、監督として視覚効果賞を受賞したのは『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック監督のみであり、山崎監督は55年ぶり、史上2人目の受賞監督となった。
映画史に名を残す錚々たる大作が並ぶ視覚効果賞の歴代受賞作と比較して、製作費が15億円以下とかなりの低予算であることもアメリカの映画関係者を驚かせた。
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あらすじ
戦後の日本。
戦争によってすべてを失い、文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現し、その圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。
戦争から生きて帰ってきたが、両親を失い孤独の身になった青年・敷島は、焼け野原となった東京で、赤ん坊を抱えた若い女性・典子と運命的な出会いを果たす。
彼ら戦争を生き延びた名もなき人々が、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。
「ゴジラ」シリーズの名を借りた反戦映画という印象
正統派「ゴジラ」シリーズ?
本作を「ゴジラ」シリーズと思って視聴すると、正直物足りなさを感じるかもしれない。
何故なら我々は『シン・ゴジラ』という超名作を既に知ってしまったから。
ただ『シン・ゴジラ』は「ゴジラ」シリーズとしては異端扱いされているから、我々は正統派「ゴジラ」シリーズの新作を久しく観ていないことになる。
そもそも「ゴジラ」シリーズとはいったいどのような作品だったのか?
オールドファンならばしっかり比較ができたのかもしれない。
しかし著者のように、もし『シン・ゴジラ』が「ゴジラ」シリーズの基準になっているのなら、本作に必要以上の期待は掛けない方が良いような気がする。
ちなみに著者が本作を観て頭を一瞬よぎったのが、フルCGのVFXによるハリウッドリメイク作品『GODZILLA ゴジラ』(原題: Godzilla)。
ただし、それは「ゴジラ」シリーズとして観た場合。
著者には本作が 「ゴジラ」シリーズの名を借りた反戦映画のように感じられた。
連続テレビ小説『らんまん』で人気を博した神木隆之介氏&浜辺美波さんが再共演
これはある人気ドラマのキャスティングと同じである。
その人気ドラマとは、これぞ朝ドラ、あるいは、大河ドラマの風格すらあるという評価まで出るほど高評価を得た連続テレビ小説『らんまん』。
主演は神木隆之介氏で、「日本の植物学の父」と呼ばれる故・牧野富太郎さんをモデルにした主人公・槙野万太郎を演じ、ヒロインは浜辺美波さんが務めた。
『ゴジラ-1.0』公開前、『らんまん』で夫婦役で出演していた両俳優が、早くも『ゴジラ』で再共演を果たす!…と話題になったことがある。
故に『ゴジラ-1.0』は、『らんまん』人気に便乗したキャスティングではないかと勘繰った人も多かったのではないだろうか。
しかしそれは間違い。
たしかに公開順でいえば『ゴジラ-1.0』は『らんまん』人気に便乗した形だが、『ゴジラ-1.0』の方が実は先に神木隆之介氏&浜辺美波さんをキャスティングしている。
『らんまん』人気に便乗したキャスティングというわけではないのだ。
戦争を知らない若い世代の熱演
"ゴジラ映画" にも関わらず、本作のキーワードは「戦争を終わらせる」。
主人公の敷島は特攻に参加できず、一人生き延びたことを深く悔やんでいる。
そのせいか本作には、「ゴジラ」シリーズというより反戦映画の印象が強い。
ではなぜそうなったかというと、本作が山崎貴監督の単独オリジナル脚本だからであろう。
監督・山崎貴という人ほど、現在の日本映画界で戦中戦後の日本にこだわってきた映画監督はいない。
『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズは、50年代後半から60年代前半が舞台。
『永遠の0』では神風特攻隊の物語を、『海賊とよばれた男』では戦後日本で石油事業に挑んだ男を、『アルキメデスの大戦』では戦艦大和の建造と陰謀を描いた。
『ドラえもん』、『寄生獣』、『ドラゴンクエスト』、『ルパン三世』など人気作品の映画化に取り組む傍ら、約3~4年に1本というハイペースでかつての戦争を撮りつづけてきたのだ。
そうした山崎貴監督の志向が演者にも伝わったのか、本作では俳優陣の名演熱演が光る。
なかでも主演の2人の熱演からは、戦争を禁忌とする強い意志が感じられた。
戦争経験者もしくは戦争の記憶がまだかろうじて残る今日。
しかし戦争の悲惨さを一番忘れてしまっているのは、残念ながら戦争の記憶が残る高齢世代である。
だからこそ、本作主演2人の、戦争をまったく知らない若い世代だからこその熱演が胸を打つ。
もう、あんな世の中は御免だという強い反戦メッセージを感じられる。
しかしこれは "ゴジラ映画" である。
ゴジラが登場すれば場は引き締まるが、ゴジラをずっと登場させるわけにはいかない。
作品の評価は「ゴジラの登場しない時間をいかに面白くするか」が決めるのだ。
その一点に関してだけいえば、本作には甘さがあったように思う。
これは過去の作り手たちも格闘してきた問題であり、本作はその点も含めてやはり「ゴジラ」シリーズの最新作なのだろう。
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