共に演劇ユニットTEAM NACS所属。
今や日本で押しも押されもせぬ人気者となったふたり。
だが、伝説のローカル番組『水曜どうでしょう』無くしては、今ほどの人気はなかっただろう。
『水曜どうでしょう』は、特に大泉洋氏にとっては生みの親とも呼べる番組だ。
これを観れば、きっと今とは違うふたりに会うことができるだろう。
HTBバラエティ番組
水曜どうでしょう
『水曜どうでしょう』とは
『水曜どうでしょう』(How do you like wednesday?)は、北海道テレビ(HTB)制作のバラエティ深夜番組。
通称は「どうでしょう」・「水どう」・「どうリタ(どうでしょうリターンズ)」・「どうクラ(水曜どうでしょうClassic)」など。
レギュラー放送が終了した2002年9月以降は、再放送の『どうでしょうリターンズ』・『水曜どうでしょうClassic』・『水曜どうでしょうプレミア』が全国各地で放送されており、2007年には全国47都道府県すべてでの放送を達成した。
現在も数年に1回のペースで『水曜どうでしょう』自体の新作が撮影・作成されており、こちらも北海道での本放送開始を皮切りに順次全国各地で放送されている。
また、番組を再構成・再編集したDVD『水曜どうでしょうDVD全集』も発売されている。
水曜どうでしょう 第5弾 北海道212市町村カントリーサインの旅/宮崎リゾート満喫の旅/韓国食い道楽サイコロの旅 [DVD]
なぜ『水曜どうでしょう』?
番組タイトルの企画段階では「花と筋肉」という案などが提案された。
しかし、全て却下された後に鈴井氏が「放送日が水曜日だから」と『水曜ロードショー』(日本テレビ『金曜ロードショー』の前身番組、およびTBS系列での2期)から、『水曜どうでしょう』と決定。
番組作りの姿勢「こんな番組作ってみました。どうでしょう?」を表現している。
そのため番組タイトルは「どう-でしょう」とは発音せず、「どうで-しょう」(『ロードショー』と同じアクセント)と発音する。
伝説のローカルの誕生
1996年10月10日(10月9日深夜)に放送を開始。
レギュラー出演者の鈴井貴之氏と大泉洋氏、ロケーション同行ディレクターの藤村忠寿氏と嬉野雅道氏の4人(例外として安田顕氏らゲストが加わり出演人数が増えることがある。)が過酷な旅を行い、その模様を放送する。
前身は毎週月曜日から木曜日まで放送された帯番組『モザイクな夜V3』であるが、局内外から「低俗番組」の烙印を押され、打ち切りとなった。
しかし当時の制作陣が「イチ曜日だけでも番組を残してくれ」と懇願した結果、水曜日の深夜帯に自社制作番組枠が残されて、本番組がスタートした。
しかし、4月改編まで半年間のつなぎ番組の予定であり、会社からは全く期待されていなかった。
制作陣としても、「半年しかできないんなら好き勝手やろう」という思いがあったという。
期待されてないところからの天邪鬼な考えで、「北海道じゃないところでロケする番組を作ろうじゃないか」というところから番組スタイルが作られていった。
このような番組スタイルに人気が出て、番組は半年で終了することなく、続行されることとなった。
放送開始当時は固定の出演者・企画を設定せず、前身番組『モザイクな夜V3』の延長線上として様々な企画を行っていた。
しかし、その中の一つである「鈴井・大泉による旅メインの企画」が人気となったことから、1997年後半からは放送する企画のほとんどが旅企画となり、現在の出演者・ディレクターがひたすら会話を繰り広げていくスタイルとなった。
1999年12月8日の放送では深夜23時の放送にも関わらず、レギュラー放送時代の最高視聴率となる18.6%を叩き出し、年末にはゴールデンタイムでのスペシャル番組も放送された。
だがゴールデンタイムの視聴率では惨敗。
やはり深夜帯向けの番組だったといえる。
番組開始当初から「低予算」「低姿勢」「低カロリー」のいわゆる「3低」をモットーにしている。
初期は数回分の制作予算を使って、日本国内での企画が多かった。
しかし、中期から後期になると数か月分の制作予算を一気に使い、日本国外への旅がメインとなった。
鈴井氏はのちのインタビューで『進め!電波少年「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」』が同時期に放送されていたことを引き合いに出された際に、日テレは予算があって、ユーラシア大陸横断はできたが、どうでしょうは本当に予算がないところから始めており、1本単価だと番組が作れないため、10本分の予算で遠いところに行って10本分撮ろうという策をとった。
これらもあり「カテゴリーとしてはバラエティ番組だが、出演しているどうでしょう班にとってはドキュメンタリー。いろいろ演出の手が加わっている番組は少なくないが、"うちはガチでいこう" 」と決めたという。
事実、海外ロケも行きの飛行機で旅先のレンタカーを借りて、その道中で帰りのフライトを予約することしか決めていない。
鈴井氏曰く「本当にそうしたいわけじゃなくて、"そうなってしまった" 」とのこと。
2002年9月25日にレギュラー放送を終了。
その際に「今後、一生続けられるペースで "水曜どうでしょう" をやっていく」と宣言(いわゆる「一生どうでしょうします」宣言)。
レギュラー放送終了後は、不定期での新作放送や、過去に放送された企画の再放送・DVD化が行われている。
また、テレビ放送以外の形でファンを楽しませることを目的として、『どうでしょう本』の制作や『水曜天幕團』による演劇公演など、さまざまな番組関連企画が行われている。
『水曜どうでしょう』が残した功績
それまで地方局制作の番組といえば、地域に根差したグルメや観光情報を中心とした番組が多かった。
だが、『水曜どうでしょう』の制作スタイルが口コミやインターネットなどで話題を呼び、各地のテレビ朝日系列局や独立局への番組販売による放送が開始されるようになり、他の地方局でも似たようなスタイルの番組が制作されるようになった。
また、藤村氏はYouTubeで、編集の仕方や、テロップ・SEの入れ方の影響を受けた動画がいくつも見受けられると指摘している。
本番組の成功を機に、大泉氏が出演している『おにぎりあたためますか』(HTB)や『1×8いこうよ!』(STV)など、北海道の民放局で制作されるバラエティ番組が道外で放送されるようになった。
また、番組内で登場した北海道テレビのマスコットキャラクター・onちゃんは、安田顕氏が着ぐるみのスーツアクターとして活躍し、ローカル局のマスコットキャラクターでは異例の全国的な知名度を得ることとなった。
また、大泉氏が所属する演劇ユニットTEAM NACSは、公演に番組を見た人達も大泉氏目当ての客が集まり、北海道で人気を得た。
2004年には東京進出を果たし、大泉氏や安田氏ら各メンバーが全国区のテレビドラマや映画に出演するきっかけにもなった。
著名人や芸能人、業界関係者にファンが多いことでも知られる。
北海道テレビのキー局であるテレビ朝日の『くりぃむナントカ』で行われた「テレビ朝日社員が好きな番組ランキング」では『タモリ倶楽部』『めちゃ2イケてるッ!』に次ぎ3位にランクインした。
サイコロの旅スピンオフ企画
『サイコロ韓国 〜韓国完全縦断〜』
放送時のタイトルは『サイコロ韓国 〜韓国完全縦断〜』。
何も知らない大泉氏を連れ出し、いきなり海外へ連れて行くといういわゆる「ドッキリ」要素が入った企画。
日本国内で行われていた『サイコロの旅』をアレンジし、韓国で朝・昼・晩の食事場所およびメニューをサイコロで選び、実際にその場所へ移動するという企画である。
移動には飛行機や列車、タクシー等の交通機関が使われた。
しかし特急列車「ムグンファ号」では座席に座れずデッキで3時間半を過ごし、韓国にはないと思われた「深夜バス」にも搭乗(実は韓国は深夜バス大国であった)し、出演陣は疲労困憊してしまった。
グルメ企画ということだったが、店頭に到着した時点で「食事できる人」をカードを引いて抽選しなければならず(「全員食える」、「全員食えない」「鈴井と大泉食えない」「ディレクター食えない」、「鈴井食えない」、「大泉食えない」の6枚)、場合によっては全員食べられない事もあるなど過酷な内容となった。
なお、あまりにも食事にありつけなかったことから、サイコロで選ぶ食事以外は例外的に食べても良いことになり、釜山のマクドナルドで飢えをしのいでいる。
しかし、最後にわざわざ行った済州島では「全員食えない」を引いてしまい、そのまま企画終了となった。
後年、鈴井・大泉両氏が帰国前の金浦空港のレストランで韓国料理を満喫し、企画中に食べられなかった反動で、はしご飯までしたことを明かしている。
出演者屈辱のチャンスタイム
麗水のノレミ食堂(チョッカルとタチウオ料理)で実施されたイベント。
ここで引いたカードは「鈴井と大泉食えない」。
しかし、どうしても食べたい物があったらD陣とジャンケンをして、勝ったら一品食べられることになった。
大泉氏は太刀魚の焼き物を食べることができたが、鈴井氏はせっかくのチャンスを独特の癖があるホヤで浪費してしまう。
その後、藤村Dが鈴井氏に「これは食べてもいい」と皿に残ったエビの頭を渡すが、鈴井氏は大泉氏にプライドや娘のことを言われてしばし躊躇。
しかし我慢できずに食べてしまう。
そして、ホヤを一切れ食べるとエビの頭を1個貰えることになり、鈴井氏はホヤをビールで胃に流し込みエビの頭を味わう。
安田顕も出演する番組後枠
通常こういう海外食関係企画の場合は視聴者に "行きたい" というメッセージを送って作るものであるが、このシリーズは経緯が経緯でもあり終了後に大泉氏が色んな意味で怨み辛み嫌味を垂れ流している上、最終回に「二度と行くか!」とまで言い放つ等、『どうでしょう』海外企画の中でも特に出演者に嫌われる結果となった。
また第2・3・4夜の番組後枠において、安田顕氏が顔出しで出演している。
あまりに非人道的なグルメ旅(笑)
そもそもグルメ企画と銘打って、飯が食えないという暴挙がどうかしている(笑)
せっかく長距離移動してきたというのに、引いたカード次第で誰も何も食べれずに、再び長距離移動を強いられる。
そりゃ、さすがの出演者も怒るわ(爆笑)
だがそうなる要因のひとつとして、鈴井・大泉両氏の引きの弱さにも問題がある。
1/6の「全員食えない」を2回連続で引き当てるなんて、なかなかできることではない。
鈴井・大泉両氏の引きの弱さは『サイコロの旅』でもたびたび発揮し、どうでしょう班全員を絶望へと叩き落としているが、『サイコロ韓国 〜韓国完全縦断〜』のそれは群を抜いてヒドいww
後に『どうでしょう』では恒例となる、行先を知らされずに旅へと連れ出される大泉洋氏というスタイルも、『サイコロ韓国 〜韓国完全縦断〜』で確立されているのも見所のひとつ。
大泉洋氏はどうやって騙されていくのか?
そのはじまりをみるのも面白い。
なお、韓国でもウドゥン・ゴソ・シンヤポスなる乗り物に乗っている。
お察しの通り、日本語に訳すと優待高速深夜バス。
やはり『どうでしょう』の旅には深夜バスがかかせない(爆笑)
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