新たなガンダム史の幕開け
機動戦士ガンダムUC
- 機動戦士ガンダムUC
『機動戦士ガンダムUC』とは
『機動戦士ガンダムUC』(英題: MOBILE SUIT GUNDAM UNICORN)は、矢立肇・富野由悠季原案、福井晴敏著による日本の小説。
角川書店『ガンダムエース』誌上にて2007年2月号から2009年8月号まで連載された。
また、この小説を原作とするアニメ作品(原作・矢立肇氏、富野由悠季氏、監督・古橋一浩氏、ストーリー・福井晴敏氏)と漫画(作画・大森倖三氏)が制作されている。
『機動戦士ガンダム』(以下、『1st』)をはじめとした「宇宙世紀」を舞台とする作品で、劇場用アニメ作品『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下、『CCA』)から3年後の宇宙世紀0096年が主な舞台となっている。
物語は宇宙世紀元年から始まり、その年に起こった宇宙世紀誕生や、一年戦争の発端にも関わるラプラス事件が物語の中核となっている。
なお、時系列的に『CCA』に近い年代にあたるため、登場人物やメカニックの設定にもその内容が多く反映されているほか、『機動戦士Ζガンダム』や『機動戦士ガンダムΖΖ』(以下、『ΖΖ』)などから発展させた設定も多い。
アニメ版では、物語の核心を握る人物サイアム・ビストの声優に『1st』のナレーションを務めた永井一郎氏を起用することで、同作品のナレーションはサイアムによるモノローグであるという意味を持たせるなど、『機動戦士ガンダム』から続く地球連邦とジオンとの一連の抗争に一応の決着を付ける総括的作品でありながらも、本作品より後年の宇宙世紀を舞台にした『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や『機動戦士ガンダムF91』、そのはるか未来を描く『∀ガンダム』とのつながりを示唆する描写も見られる。
また、福井氏は本作で宇宙世紀の「ガンダム」に一度「句読点」を打ち、そこから改めて『F91』から先を考えていくべきだと思ったと述べている。
キャラクターデザインと表紙のキャラクターイラストは安彦良和氏が担当。
第1巻から第3巻までは挿絵も担当していたが、第4巻以降の挿絵は虎哉孝征氏が担当した。
メカニックデザインと表紙のモビルスーツのイラストはカトキハジメ氏。
福井氏はプロデューサー“的”立場も兼任した。
単行本は1巻あたり3回分の連載を収録し(福井氏がインターネットラジオで1話あたり原稿用紙100枚程度の長さだと語っている)、挿絵は小説の連載1回につきカラーが2 - 3点、残りはモノクロページで、計10カット前後が掲載。
カトキハジメ氏によるメカニック解説、設定考証担当の小倉信也氏による解説なども同時に掲載された。
『ガンダムエース』元編集長の古林英明氏によると、この企画が開始されたのは2002年とのこと。
雑誌『活字倶楽部』2005年夏号の福井晴敏氏へのインタビューでは、2006年頃を目処に新しいガンダムの準備をしていると語られた。
2007年夏には、書店公開用のプロモーションフィルムが作成されている。
ガンプラのマスターグレードで、2007年12月には「ユニコーンガンダム」が、2008年12月には「シナンジュ」が発売された。
単行本の第4巻と第8巻の各特装版には、ガンプラに装着可能なオプション装備のキットを同梱するなど、小説作品として類を見ない試みも実施された。
本作品は小説作品ながらコミックス流通で単行本が刊行されており、福井氏は「本好きの方たちだけではなく、その外側に広がる“世間”へ仕掛けてゆく」ための実験といった趣旨の発言をしている。
本作品のタイトルを決定した時点で福井氏は、アムロ・レイのトレードマークとしてたびたびユニコーンのモチーフが使用されていることを知らなかったため、構想段階では本作品との特別な関連性は考慮していない。
ファン層としては、特に『1st』世代に人気だという。
OVA『機動戦士ガンダムUC』
オリジナルビデオアニメ(OVA)版は、全国映画館でのイベント上映とBD劇場限定版の劇場先行販売、インターネットでの有料配信、BD/DVDの一般販売といった複数の公開形態を短期間で同時進行させる形で展開された。
こうした公開形態は映像ソフト商品が売れにくい時代にあって、従来の劇場版作品のように映画館での公開から何か月も経ってからパッケージ化して販売する方法では、顧客に忘れ去られてしまうという判断に基づき、その打開策として試みられた。
その試みは成功し、パッケージ販売を中心としたアニメ作品としては大きなヒット作となり、episode 1から7までの全作品がBDの週間ランキングで初登場総合首位を達成した。
OVA版全7巻のBD/DVDの累計出荷数は180万枚を超え、映画館でのイベント上映、劇場先行パッケージ販売、ネット配信を同時に行うという新たなビジネススキームを確立した、アニメ業界において記念碑的タイトルとなった。
2016年2月時点では、BDとDVDの累計出荷数は190万枚以上と「ガンダムシリーズ」の作品で最高を記録している。
シリーズ開始時のキャッチコピーは「― それは、可能性の獣。」。
ストーリーは基本的に原案となる小説版に沿ったものだが、一部登場人物の立ち位置や物語の展開が再構成されている。
また、小説版ではマリーダ、ジンネマン、アンジェロの過去として凄惨で過激な戦争の暗部を描いたエピソードが語られるが、アニメ化の際にはより広い年齢層を視聴対象にできるよう、断片的かつ暗喩的な表現に留めている。
小説版では登場しなかったMSの追加や新装備への変更なども行われており、バイアラン・カスタムやシュツルム・ガルスなどの新規機体も登場するうえ、本作品より後年の宇宙世紀を舞台にした未映像化作品(当時)『閃光のハサウェイ』からはグスタフ・カールが先行配備された試作型MSとして登場する。
また、作品のいわゆるラスボスに当たる機体も、小説版では亡霊のようなオーラをまとったシナンジュだったが、映像化に際してはその亡霊のようなオーラを巨大な機体として具現化したいとの案から、シナンジュをコア・ユニットとするネオ・ジオングが、アニメ版最終章を象徴するオリジナルのサプライズ機体として登場する。
以上のようなアニメ化を鑑みたさまざまな変更により、より広い年齢層、小説の未読者も既読者も共に楽しめるよう再構成されている。
これについて、ストーリーを担当した福井氏は「『1st』で例えると、原作小説が《TVシリーズ》、アニメ版が《劇場版》。そういう関係性だと思ってもらえれば」と述べている。
episode 1 劇場公開
2010年2月20日より全国5都市8会場で2週間劇場公開開始。
劇場では先着1万名限定でのBlu-ray Discの先行販売も行われた。
また同日よりPS3およびPSPで利用可能なネットワークサービス「PlayStation Store」で3日間視聴のレンタル方式で有料配信された。
それに先行して2月2日、300名限定でepisode 1のプレミア完成試写会を開催、2月6日には香港でもプレミア試写会が行われた。
episode 2 劇場公開
2010年10月30日より全国8館で2週間限定劇場公開が開始。
劇場限定版BDも5,000セット先行販売、および「HGUC ユニコーンガンダム(デストロイモード)劇場限定NT-DパールクリアVer.」も劇場限定発売された。
また同日よりPlaystation Storeでも有料配信された。
episode 3 劇場公開
2011年3月5日より全国10劇場で2週間限定の劇場公開開始。
来場者先着順で『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』漫画冊子をプレゼント。
また「HGUC シナンジュ 劇場限定レッドコメットスパークルVer.」および劇場限定版Blu-rayを限定販売。
また「Playstation Store」およびソニープレミアム映像配信サービス「Video On Demand powered by Qriocity」でも有料配信。
episode 4 劇場公開
2011年11月12日より全国12劇場で2週間限定の劇場公開開始。
来場者先着順で『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』漫画冊子をプレゼント。
また、「HGUC デルタプラス 劇場限定インナースペースクリアver.」および劇場限定版BDも12,000セット先行販売。
「Playstation Store」およびソニープレミアム映像配信サービス「Video On Demand powered by Qriocity」で有料配信。
episode 5 劇場公開
2012年5月19日に全国12劇場で2週間限定の劇場公開開始。
来場者先着順で『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』漫画冊子、ガンダムトライエイジ ユニコーンガンダムオリジナルカード、episode 6&7特製ポストカードをプレゼント。
また「HGUC ユニコーンガンダム2号機バンシィ(デストロイモード)劇場限定NT-DクリアVer.」および劇場限定版BDも12,000セット先行販売。
「PlayStation Store」「J:COMオンデマンド」「auひかりTVサービス」「MOVIE SPLASH VOD」での先行有料配信も行った。
episode 6 劇場公開
2013年3月2日に全国16劇場で2週間限定の劇場公開開始。
「HGUC ローゼン・ズール 劇場限定エリートローズガードクリアVer.」およびepisode 6シナリオ&特製生フィルム付き劇場限定版BDを18,000セット先行販売。
episode 7 劇場公開
2014年5月17日より全国35劇場にて、最終章ということでこれまでより期間を延ばし、4週間限定の劇場公開を開始。
episode 7本編と併せて、episode 7のプロローグでもある宇宙世紀ダイジェスト『機動戦士ガンダムUC episode EX「百年の孤独」』(構成・脚本:福井晴敏、上映時間:約25分)を同時上映した。
episode 7シナリオ&特製生フィルム付き劇場限定版BDを20,000セット先行販売。それと共に「HGUC ユニコーンガンダム2号機バンシィ・ノルン(デストロイモード)劇場限定NT-DクリアVer.」「HGUC ジュアッグ(UC Ver.)劇場限定クリアVer.」「HGUC ユニコーンガンダム(デストロイモード)劇場限定メッキフレーム/メカニカルクリアVer.」を1週ごとに数量限定販売した。
OVA『機動戦士ガンダムUC』主題歌
エンディングテーマ
- 「流星のナミダ」(episode 1)
作詞 - 田中秀典、中山豪次郎 / 作曲 - 中山豪次郎 / 編曲 - 釣俊輔、野村陽一郎 / 歌 - CHiAKi KURiYAMA
- 「Everlasting」(episode 2)
作詞 - 渡邊亜希子、Kylee / 作曲 - Carlos K.、龍 / 編曲 - Naohisa Taniguchi / 歌 - Kylee
- 「merry-go-round」(episode 3)
作詞 - 堂珍嘉邦、川畑要 / 作曲・編曲 - UTA / 歌 - CHEMISTRY
- 「B-Bird」(episode 4)
作詞 - FLAT5th Rico / 作曲・編曲 - 齋藤真也/ 歌 - earthmind
- 「BROKEN MIRROR」(episode 5)
作詞・作曲・編曲・歌 - BOOM BOOM SATELLITES
※.英語詞曲であるため、劇場公開時のエンドロールでは英語歌詞と日本語訳の歌詞が字幕表示された。
- 「RE:I AM」(episode 6)
作詞・作曲・編曲 - Hiroyuki Sawano / 歌 - Aimer
- 「StarRingChild」(episode 7)
作詞・作曲・編曲 - Hiroyuki Sawano / 歌 - Aimer
テレビシリーズ『機動戦士ガンダムユニコーンRE:0096』
OVA版をテレビフォーマットに再構成され、『機動戦士ガンダムユニコーンRE:0096』と題し、2016年4月3日から同年9月11日までテレビ朝日系列のテレビアニメシリーズとして地上波全国放送された。
キャッチコピーは「君の中の可能性ニュータイプが、目を覚ます」。
新たなガンダム史の幕開け
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で一旦の終了をみた感があった「ガンダムシリーズ」。
だが『機動戦士ガンダムUC』で、新たなガンダム史が幕を開けることになる。
それは『機動戦士ガンダムUC』が、「ガンダムシリーズ」の正統年号である宇宙世紀を引き継いでいたからであった。
ひとりの男が繋げた宇宙世紀史
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』をもって、1stガンダムから長らく続いたアムロとシャアの因縁に終止符が打たれた。
アムロとシャア、ふたりあっての宇宙世紀という感が否めないオールドファンにとって、新シリーズ『機動戦士ガンダムUC』がどういう内容になるのかが非常に気になるところだった。
果たして正統な「ガンダムシリーズ」と呼べる作品なのか…
だがそんな不安を払拭してくれたのが、ひとりの男の存在だった。
その男の名をブライト・ノアという。
1stガンダム→Z→ZZ→逆襲のシャアと、唯一皆勤賞で登場している人物である。
ブライトの存在こそ、『機動戦士ガンダムUC』が「ガンダムシリーズ」の正統系譜であることを証明してくれたのであった。
その他、『1st』で登場していたキャラクターの名前が戦艦の名前になっていたり、アムロとシャアの『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でふたりが起こした現象に名称が付いていたりと、脈々と受け継いできたガンダム史を感じられるのが、ファンとしては嬉しい限りだ。
フルサイコフレームの実験機・ユニコーンガンダム
『機動戦士ガンダムUC』が「ガンダムシリーズ」の正統系譜だと証明するものは、ブライトの登場だけではない。
『機動戦士ガンダムUC』では、モビルスーツ(MS)の技術に関しても、過去のガンダム作品と繋がりを持っている。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で登場したサイコフレームは、本作のMSにおいて非常に重要な要素となっている。
ユニコーンガンダムとは、本作の旗機であり、NT-Dと呼ばれる特殊な機能を有している特別なMSである。
NT-Dとは表面上は「ニュータイプ・ドライブ」の略称とされているが、その真の意味は「ニュータイプ・デストロイヤー」。
すなわち「ニュータイプを抹殺する」システムである。
ニュータイプの思想が引き継がれているところがアムロとシャアの争いを思い出させてくれるようで嬉しい。
『機動戦士ZZガンダム』から引き継いだキャラクターに涙…
一度はガンダム正史から抹消されかけた『機動戦士ZZガンダム』だが、『機動戦士ガンダムUC』でその存在が正統化された。
『機動戦士ZZガンダム』のキャラクターが『機動戦士ガンダムUC』で、非常に重要な役割を果たしているからだ。
何なら『機動戦士ガンダムUC』で一番泣けるシーンを演出したのは、遡れば『機動戦士ZZガンダム』だといってもいいほどの大活躍ぶりだ。
マリーダさんの号泣シーンについてはいくつかあるのだが、それについては是非実際に観ていただきたい。
1stの名セリフ「マチルダさーん」を彷彿とさせるように、「マリーダさーん」と叫びたくなるほど『機動戦士ガンダムUC』屈指の名シーンだ。
『機動戦士ガンダムUC』に登場する主なモビルスーツ
HGUC 機動戦士ガンダムUC ユニコーンガンダム デストロイモード 1/144スケール 色分け済みプラモデル
MG 1/100 MSN-06S シナンジュ Ver.Ka チタニウムフィニッシュ (機動戦士ガンダムUC)
正統ジオン系譜の名機
NZ-666 クシャトリヤ
HGUC 1/144 NZ-666 クシャトリヤ (機動戦士ガンダムUC)
ネオ・ジオン残党軍「袖付き」が運用する、ニュータイプ専用モビルスーツ。
機体名称は古代インドにおける武人・王族階級の第二位「クシャトリヤ」に由来しており、これはフル・フロンタルが駆る「袖付き」のフラッグシップ機シナンジュに次ぐ機体である事を示す。
クシャトリヤは頭頂高が約40mに達していたクィン・マンサ(NZ-000)の大火力を、20mサイズの機体で実現するというコンセプトの下開発されており、コクピットブロック周辺へのサイコフレームの採用によるサイコミュの小型化と、複数の機能及びジェネレーターを集約搭載したバインダーを四基装備する事によって、多数の難題を解決している(この特徴的なバインダーから、連邦側からは「4枚羽」の渾名で呼ばれる)。
とはいえ、機体サイズはギラ・ズール等の一般MSからは完全に逸脱しており、このため型式番号もジオン軍、ネオ・ジオン軍におけるニュータイプ専用モビルスーツ用の “MSN” ではなく、α・アジール(NZ-333)から引き継いだNZ-666を与えられている。
外観は全体的にクィン・マンサから引き継いだデザインとなっているが、頭部はゲルググを彷彿とさせるモノアイ・タイプへと大きな変更がなされ、加えて「袖付き」所属機の特徴である、ジオンの紋章をあしらったエングレービングが機体各所に施されている。
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