機動戦士ガンダムF91
『機動戦士ガンダムF91』とは
『機動戦士ガンダムF91』(英題:MOBILE SUIT GUNDAM Formula 91)は、1991年3月16日に松竹系で劇場公開されたガンダムシリーズのアニメーション映画。
略称は「F91(エフきゅうじゅういち)」。
キャッチコピーは「目覚めよ宇宙。" ガンダム "新時代-第一章」、「ガンダムは、新たなる宇宙へ…」、「人は、いつ戦争を忘れることができるのか?」。
同時上映は『武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃』。
2020年10月2日には「ガンダム映像新体験TOUR」として『機動戦士ガンダムF91 完全版』が4DX上映された。
本作は『機動戦士ガンダム』の映画化10周年を記念して制作された劇場用オリジナル作品である。
サンライズとしては劇場用単独作として作った2作目のガンダム作品となる。
サンライズの劇場用アニメとしては初めてビスタサイズの動画用紙で作画された作品であり、これ以前の同社の劇場用アニメはすべて通常サイズの動画用紙の上下を切ってビスタサイズの縦横比に合わせて作画されていた。
『ファーストガンダム』から始まったアムロ・レイとシャア・アズナブルを中心としたストーリーラインは前作『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で幕を閉じたことにより、本作は新たな時代と人物による新ガンダムシリーズの立ち上げを目指して企画された。
時代設定は一年戦争から40年以上、第二次ネオ・ジオン抗争からは約30年の年月が経過した宇宙世紀0123年が舞台である。
それまでのシリーズに登場した人物は登場しないが、『逆襲のシャア』等に登場した一部のMSや艦船は引き続き登場する。
「新時代のガンダム」として企画された作品で、企画には初めからバンダイのホビー事業部が関与していた。
もともとはTVシリーズとしてやるという話もあり、監督の富野由悠季氏はそのつもりで考えていたが、バンダイなどとの話し合いの結果、劇場作品ということに決まった。
そして『機動戦士ガンダム』の劇場公開10周年に合わせ、そのテレビシリーズ用の構想の序盤1クール分にあたるストーリーを劇場用完全新作として映像化したものが本作である。
ただし、作品として短期間で消えてしまっては困るので、ゲームを作ったり並行して模型企画『機動戦士ガンダムF90』を展開したりした。
当時のサンライズ社長・山浦栄二氏からも「今まで10年来たんだから、この先10年持つものにしよう」という話が出た。
タイトルにある「F」は「Formula(フォーミュラ)」の頭文字であり、この単語には「公式」という意味のほかに「基準」という意味も含まれているので、「ガンダムの新基準を作る」という意味でタイトルとガンダムの名前には『ガンダムF91』と付けられることになった。
前作のシャアとアムロの対決で「ニュータイプ」に関しては一応の決着がついたとされ、作品発表に際し本作の物語の主題は「家族論」であると富野監督は述べた。
難解だった前作『逆襲のシャア』に対し、富野監督によると本作は「解りやすさ」に重点を置いている。
主人公も解りやすいヒーローになり、物語もハッピーエンドになった。
『逆襲のシャア』ではニュータイプ論がテーマだったが、本作は「家族の問題」という非常に身近なテーマになっており、新世代の観客には解りやすくなっている。
この結果、富野監督は本作を「ストーリー的には成功」としている。
そのため前半はわかりやすく親しみやすくなっているが、終盤は『逆襲のシャア』と同じく戦況は混乱し、ぽっと出の固有名を一瞬しゃべらせるだけで場面の説明をするなど、畳みかけるような難解さと安易さというガンダム劇場版の伝統は受け継がれている。
『機動戦士ガンダム』以来久々に富野監督との話し合いにより作られたMSは、従来から大きく変わったことにより賛否が分かれた。
劇場公開後、『機動戦士ガンダムF91 完全版』(ディレクターズ・カット版)が制作されている。
これは製作の遅れが発生した事による作画の乱れを直すため、本編フィルムの一部カット修正、約5分の新作カットを追加等の再編集および音声の再ダビングが行われてビデオ販売された物である。
企画書には「F91の続編は絶対に制作します」と記されていたが、テレビシリーズにおける続編は諸般の事情で2022年現在も作られておらず、1993年にはそれに替わる形で、本作からさらに30年後を描いたテレビシリーズ『機動戦士Vガンダム』の放映が開始された。
本作のその後は富野監督原作による漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』である程度描かれている。
本作以降もガンダムシリーズでは劇場アニメーションが公開されているが、いずれもテレビシリーズやOVA作品を再編集し、新作カットを追加したものである。
完全新作の劇場アニメーションは、2010年公開の『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』まで19年間制作されなかった。
あらすじ
大きな戦乱も無く平和な世界、人類はその大半が地球から月までの軌道に設置されたスペースコロニーに移住し、地球連邦政府という国家の枠組みを超えた全地球規模の組織に統治されていた。
しかし、長引く平和の間に、敵対勢力がいなくなった地球連邦政府は腐敗の一途をたどり、政府は地球に住む民間人を摘発し、宇宙へ締め出ししていた。
政府高官は特権階級の専横により地球に当然のように住み続け、地球環境は悪化する一方であった。
これに対しブッホ・コンツェルンの総帥、マイッツァー・ロナは「人の上に立つべき者は、人々の規範となるような高貴な精神を持つ者でなければならない」とする思想「コスモ貴族主義」を掲げ、堕落の温床となる既得権益を排除した能力重視の階級制度によって社会を立て直すために、地球連邦政府の打倒を画策し、秘密裏に軍事組織 クロスボーン・バンガード(C・V)を設立していた。
宇宙世紀0123年3月、ロナ家一族の鉄仮面、ドレル・ロナに率いられた武装集団は、フロンティアサイドの新興スペースコロニー「フロンティアIV」を急襲する。
連邦軍のMS部隊は迎撃するがまるで歯が立たず、いたずらに戦火を拡大させるだけであった。
街を覆う戦火と混乱と容赦ない死の中で、フロンティア学園の生徒であるシーブック・アノーと妹のリィズは、襲撃から避難するために友人達とともにシェルターへ避難しようとする。
ガンタンクR-44に乗り込み逃走の末コロニーを脱出するが、同行していた内の一人 セシリー・フェアチャイルドはC・Vに連れ去られてしまう。
セシリーの素顔はマイッツァーの生き別れの孫娘ベラ・ロナだった。
シーブック達は近隣のコロニー「フロンティアI」にたどり着き、地球連邦軍の宇宙練習艦スペース・アークに保護される。艦内にはF91と名付けられた整備中のMS(モビルスーツ)があった。
一方、C・Vに占領されたフロンティアIVではコスモ貴族主義の実現のための国家「コスモ・バビロニア」の建国が宣言され、セシリーはコスモ・バビロニアの象徴として祭り上げられることになる。
そして、F91に乗って反攻するシーブックと、専用MSビギナ・ギナを与えられたセシリーは、戦場で対峙たいじする。
主題歌
テーマ曲
作詞 - 西脇唯 / 作曲 - 西脇唯、緒里原洋子 / 編曲 - 門倉聡 / 唄 - 森口博子
イメージ曲
- 「君を見つめて -The time I'm seeing you-」
作詞 - 井荻麟、茂村泰彦 / 作曲 - 茂村泰彦 / 編曲 - 門倉聡 / 唄 - 森口博子
元々は「君を見つめて」がテーマ曲で「ETERNAL WIND」は挿入歌の予定だったが、富野由悠季氏の意向により変更され、「ETERNAL WIND」は挿入歌としても使用されたままテーマ曲となり、「君を見つめて」はイメージソングという扱いとなった。
プロモーションフィルムでは「君を見つめて」が使用されている。
森口さんにとってはデビュー曲である『Ζ』後期主題歌「水の星へ愛をこめて」以来のガンダム主題歌になる。
この曲は森口さんの最大のヒット曲となり、『紅白歌合戦』の初出演も果たした。
また、公開当時にはそれぞれの曲を使用した数種類のCMが放映されていた。
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1stガンダムとの繋がり
『機動戦士ガンダムF91』はアムロとシャアが登場しないガンダムシリーズではあるが、観ていると聞き覚えのある名前を一度だけ耳にする。
その名はジョブ・ジョン。
『機動戦士ガンダム』では予備パイロットとしてホワイトベースに乗艦したが、ガンペリーやガンタンクのサブパイロット、砲撃手を務める等、文字通り縁の下の力持ち如く様々な役割を果たし、一年戦争を最後まで生き延びたキャラクターだ。
どうやらコスモ・バビロニア建国戦争期にサイド4のサナリィの本社で、幹部としてフォーミュラ計画のF90の開発責任者として動いていていたようで、F90やF91の機体設計を行っていたという。
このジョブ・ジョンというキャラクターは『機動戦士ガンダム』では、便利屋のような役割を果たしてした。
あらゆることをそうなくこなす、オールラウンダーであった。
だが、そんな脇役なのに髪は金髪という、破格の扱いでもあった。
ガンダムシリーズで金髪が何故破格の扱いかというと、ガンダムシリーズの代名詞的キャラクターであるシャアとその妹であるセイラが金髪であるからだ。
しかもショアとセイラは亡国のプリンスとプリンセス。
シャアとセイラは金髪に碧眼というスペシャル仕様ではあるが…
あと思いつくのはスレッガー・ロウくらいなものである。
ちなみにスレッガーは劇中で、なかなか重要な役割を担っている。
だがジョブ・ジョンは、たいした活躍をみせていない。
まさか『機動戦士ガンダムF91』の活躍まで見越した上で、ジョブ・ジョンを金髪にしたのか…
だとしたらとてつもない先見の明といえる。
こういう繋がりがガンダムシリーズを魅力的な作品にしている。
『機動戦士ガンダムF91』に登場する主なモビルスーツ
MG 機動戦士ガンダムF91 ガンダムF91 Ver.2.0 1/100スケール 色分け済みプラモデル
RE/100 機動戦士ガンダムF91 ビギナ・ギナ 1/100スケール 色分け済みプラモデル
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