元国税が暴露
相続税も払わぬ世襲政治家に搾取されるニッポンの異常
金にまつわる問題が後を絶たない議員たち。
たった1日で100万円支給が大問題になった文通費や、1人会派でも支給される立法事務費など、明細不要の収入も多く、一般人と政治家の感覚のズレは乖離するばかりだ。
特に世襲政治家の増加がそのズレを大きくし日本をダメにしていると指摘するのは、元国税調査官の大村大次郎氏。
大きな金銭価値のある「地盤」を引き継ぎながら相続税が課されないことや、政治団体間の寄付を利用し非課税で資金を移動できることなど、税の抜け穴を暴露。
他国と比較し、世襲政治家がはびこる理由の1つを明らかにしている。
なぜ世襲政治家は相続税がかからないのか?政治家は収入の1割にしか税金がかからない?
最近、国会議員の会計処理や税務について問題となるケースが増えている。
つい先日も、岸田首相の政治活動費について宛名のない領収書があったことがニュースになったばかりだ。
岸田首相は、「以後気を付けます」というような回答をしている。
だが、元国税調査官から言わせると、政治家の税務についての問題はそんな段ではないということらしい。
税務の世界には、十五三一(とおごおさんぴん)という俗語がある。
これは、各業界が税務当局に収入を正確に把握されている割合を示すものだ。
サラリーマンは10割、自営業者は5割、農業は3割、政治家は1割の収入を税務当局が把握しているという意味である。
「政治家は収入の1割しか把握されていない」ということは、1億円収入がある人でも1千万円の収入にしか税金はかからない。
簡単に言えば、税金が本来の10分の1でいいということになる。
十五三一の俗語は、多少なりとも大げさな面はある。
だが、政治家がとても優遇されているのは確かだ。
政治家の収入は、大きく2つある。
1つは歳費。
つまり議員としての給料だ。
政治家が税金の申告しているのは、ほとんどが歳費。
でも政治家の収入はもう1つの方が大きいのだ。
もう1つの収入とは寄付金のこと。
力のある政治家ほど、多くの寄付を集めることが出来る。
政治家によっては、歳費の何十倍、何百倍の政治献金をもらっている。
しかし政治献金は「税制上の収入」にはならない。
政治献金には、事実上税金がかからないのだ。
というのも、献金は政治家本人にされるのではなく、政治団体にされる建前になっている。
政治団体には税金はかからない。
だから政治家の献金収入には、税金がかからないのだ。
そのため事実上、税務署のチェックは入らない。
政治団体が献金されたお金をどういうふうに使おうと税務当局からのチェックはない。
政治資金の使い道は政治資金規正法の制約は受けるし、会計報告書を国に提出する義務があり報告書は公表される。
しかし一般企業のように、税務署の厳しい調査を受けることはないのだ。
税務署の税務調査では、銀行口座や取引相手の調査などが行なわれ、不正な収入や支出がないか厳重にチェックされますが、政治家にはそれがないのである。
税務署も本当はやろうと思えば政治団体への税務調査はできるのだが、政治家には遠慮しているのである。
なぜ「地盤」は無税なのか?
しかし、政治家の税金の本当のオイシさはこんなものではない。
政治家が本当に優遇されているのは、「相続税」なのである。
というのも、世襲議員は莫大な財産を無税で相続しているから。
まず彼らの「地盤」には相続税が課せられない。
政治家の最大の財産は「地盤」だ。
政治家は選挙では、かなりお金を使う。
長い間お金を使って培ってきた「地盤」というのは、政治家にとって生命線でもあり、もっとも大きな財産なのである。
国会や地方議会では、二世議員があふれている。
彼らは先代の地盤を受け継いだだけで当選してきている。
彼らが地盤を引き継がずに、一から政治活動を行おうとすれば、相当のお金がかかるはずである。
地盤がなにもない人が、政治を志して立候補しようと思えば、初期費用だけで市会議員レベルで数千万、県議会レベルで数億、国会議員では数十億単位の金が必要だといわれている。
しかもそれは初期費用であり、それなりの地盤を作るためには、気の遠くなるような莫大な費用がかかるのだ。
では二世議員たちは「地盤」を受け継ぐときに、贈与税や相続税を払ったか?というと、もちろん否である。
「選挙の地盤が相続税の対象になるわけはないじゃないか、そんな屁理屈を言うな」と言われる人もいるかもしれない。
だが日本の税制では、本来、選挙の地盤にも相続税はかかるはずなのである。
相続税法では金銭的な価値があるものならば、すべて相続税の対象となることになっているのだ。
選挙の地盤は相当な金銭的価値があるのは明らかなのだから、対象にならないはずはないのである。
政治団体という法律の抜け穴
また世襲議員は「地盤」だけではなく、譲り受けたお金についても、ほとんどの場合、相続税がかからない。
というのも、国会議員はだいたい自分の政治団体をつくっている。
この政治団体が、法律の抜け穴になっているのだ。
政治団体に個人が寄付をする場合、非課税となっている。
そして政治資金規正法で、個人は政治団体に年間2000万円までは寄付できるようになっている。
だから親が毎年2000万円を子供の政治団体に寄付していけば、相続税をまったく払わずして、自分の資産を譲り渡すことができるのだ。
さらに、政治団体から政治団体に寄付をする場合も非課税であり、しかもこの場合は、寄付金の上限額がない。
だから親の政治団体から子供の政治団体に寄付をするという形を取れば、何億円であろうと何十億円であろうと無税で相続することができるのだ。
もし親が急に死亡した場合でも、親の政治団体から子供の政治団体にお金を移せば、相続税はゼロで済むのである。
このように親の政治家がため込んだお金が無税で子の政治家に渡るシステムがあるから、世襲政治家が増殖することになったのである。
日本の低迷と世襲首相激増の関係
日本は先進国の中でも異常に世襲議員が多い国だ。
アメリカ、イギリスは7%程度、ドイツは1%以下である。
しかも日本の場合、過去20年で首相9人のうち6人が世襲議員なのだ。
こんな国は先進国にはどこにも見当たらない。
世襲制というのは、人類の永遠の課題ともいえるものだ。
日本でも聖徳太子の時代から「門閥によらない人材登用」を掲げた政治改革が幾たびも行われてきた。
しかし時間が経てば改革は骨抜きにされ、世襲制が復活してくる。
江戸時代のような、生まれた家柄で身分や職業が決まってしまう社会を廃し、家柄や身分に関係なく自分の能力にあった仕事や地位につける社会をつくるというのが明治維新の大きな目的でもあったのである。
政治家というような、国の行く末を担うリーダーは当然、有能な人材でなければならない。
政治家の家に生まれた者が、自動的に政治家になるというようなシステムがあっては絶対にならないのである。
そして現在の日本の低迷と世襲政治家の増殖はまったくリンクしているのだ。
日本は戦後、世襲政治家が首相になるケースはほとんどなく、平成になるまでの14人の首相のうち世襲政治家は鳩山一郎氏だけだった。
しかし平成になってからは世襲政治家ばかりが首相になるようになり、実に6割以上の首相が世襲政治家だったのである。
平成時代の日本は「失われた30年」とも言われ、日本が急速に衰退していった時期であるが、この平成時代には世襲首相が激増しているのだ。
日本が何十年も前からわかっていた少子高齢化をまったく防ぐことができず、国民生活がどんどん苦しくなってしまったのも、世襲政治家ばかりになったことに起因していると言わざるを得ない。
また世襲政治家の弊害として、利権やしがらみの引継ぎという面もある。
親が持っていた利権やしがらみは、子供にもそのまま引き継がれる。
旧統一教会と関係が深い政治家が異常に多かったのも、親の世代から付き合いがあったことが要因の1つとして考えられる。
そして日本でこれだけ世襲政治家が増えたのは、相続税の優遇制度が非常に大きな原因なのである。
少なくとも、この相続税の優遇制度は廃止しない限り世襲政治家の増殖は止められないし、日本の低迷も止められないのである。
自分たちは非課税でも国民には重税を強いる政治家の傲慢
こんなふざけた制度の中でぬくぬくと育ってくれば、ふざけた思想の政治家が増えるのももっともである。
金が足りないなら国民から搾り取ればいい。
至極単純で、これほど簡単なことはない。
国民からは搾り取る。
だけど自分たちの腹は痛まない。
政治家にとっては天国のような、腐り切った負のシステム。
ぬるま湯にどっぷり浸かり切って吝嗇しまくってきた老人議員が、死ぬまで必死に権威にしがみついている理由も頷ける。
政治家が私利私欲に走ったツケは、国民が税金で支払えばいいと考える奴らである。
これでは日本がダメになるわけだ。
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