アニメ『機動戦士ガンダム』
ガンダムの世界では黒人が登場しない?
『機動戦士ガンダム』とは
『機動戦士ガンダム』は、1979年から放映された日本サンライズ制作のロボットアニメ。
同作から創出された、バンダイナムコグループの象徴的なIP(知的財産)でもある。
このガンダムIPを題材にしたガンダムシリーズの第1作目であることから、「初代ガンダム」「ファーストガンダム」の名で呼ばれることも多い。
戦争を舞台としたリアリティに富んだ人間ドラマと、ロボットを「モビルスーツ(MS)」と呼ばれる兵器の一種として扱う設定を導入したことで、1980年代初頭から半ばにかけての、後に「リアルロボットもの」と称されることになる一連のロボットアニメ変革の先駆けとなった。
メディアミックスによって重厚感のある世界が構築され、その情報量の膨大さは古今の物語史上で類例が無い。
本作の宇宙世紀とは別世界という設定だったガンダム作品も『∀ガンダム』の「黒歴史」という設定で結合された結果、神話めいた壮大な宇宙史となった。
あらすじ
宇宙世紀0079。
人類が、増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、すでに半世紀。
地球から最も遠い宇宙都市サイド3は、ジオン公国を名乗り地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。
1ヶ月余りの戦いでジオン公国と連邦軍は、総人口の半分を死に至らしめ、連邦軍劣勢のまま戦争は膠着状態に陥る。
サイド7の少年アムロ・レイは、ジオン軍の奇襲をきっかけに偶然、連邦軍の新型モビルスーツ・ガンダムに乗り込み、パイロットとなる。
戦火を生き残るため、戦艦ホワイトベースで少年少女たちとともに軍人としての戦いを強いられていくうちに、やがて “ニュータイプ” として覚醒していく。
移りゆくコンプライアンスの歴史
ガンダムの世界では黒人が登場しない?
黒人が登場しない理由には、時代ならではの理由があった。
つまり人類の宇宙移民が始まって、80年もの月日が流れている設定だ。
地球連邦なるものが樹立されたのは、そのさらに以前のことになる。
国家が人種の壁を越えてひとつの政府を構成し、宇宙移民という大規模な民族移動があったのだから、混血が進んで当然だろう。
しかし、なぜか登場キャラクターは日本人と白人に偏っている。
アムロ、ハヤト、ミライが日本人系。
ブライトが英国人系。
フラウがドイツ人系。
カイがプエルトリコ系。
セイラがフランス人系。
だが実はリュウに関しては、安彦良和氏のイラストでは肌が黒かった。
つまり黒人を設定したキャラクターだったのだ。
それをやめた理由を富野喜幸(当時)監督は「下手に取り上げたらテレビ・コードに触れますから」(『機動戦士ガンダム ロマンアルバム』高畑勲氏との対談より)と説明している。
この富野監督の理屈に対して高畑氏は『サイボーグ009』の008(アフリカ出身という設定)を例に挙げ、「いやしくも "地球連邦政府" みたいなものができているとするならば、その構成員は世界中の人種を網羅しているというふうに設定するほうが、自然なんじゃない?」と、疑問を発している。
しかし、対する富野監督も虫プロダクションに所属していた60年代に、苦い経験をしていた。
『ジャングル大帝』(65年放映)に黒人が登場しないのは、視聴者から「黒人を出すな」という投書があり、テレビ局が自主規制していたからだというのだ。
そうした経緯から、人種構成問題を意識的に無視しているのである。
こうした視聴者の行動や意識は現在では考えられない事態であり、『機動戦士ガンダム』が制作された時代を感じさせるエピソードといっていい。
『ガンダム』シリーズの歴史は宇宙移民の開始から始まっており、地球連邦政府樹立に至る詳細なプロセスにはまったく触れられていない。
唯一、『UC』でほんの少し触れられているくらいである。
『機動戦士ガンダム』で宇宙移民者の独立主義を謳う "ジオン公国" は、亡命者を数多く受け入れている設定なので、単一民族であるはずがないだろう。
それが証拠に、のちの『ガンダム』シリーズには黒人など様々な人種が登場している。
ある意味では、『ガンダム』シリーズを観続けることは日本の歴史観やメディアの変化を感じとることになるかもしれない。
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