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ioritorei’s blog

完全趣味の世界

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【映画『Arc アーク』】 "永遠の若さ" の実現は人類の進化なのか退化なのか、不老不死はユートピアなのかディストピアなのかを問う問題作。

 

 

 

 

映画

Arc アーク

 

 

『Arc アーク』とは

 

 

『Arc アーク』は、2021年6月25日に公開された日本映画。

監督は石川慶氏、主演は芳根京子さん。

SF作家ケン・リュウもののあはれ ケン・リュウ短篇傑作集2』所収の『 円弧(アーク)』を原作とし、人類で初めて不老不死となった女性の誕生をきっかけに巻き起こる世界の変容を描く。

主演の芳根さんは監督の石川氏に「何故自分に託すのかという嬉しさもあったが、恐怖や疑問といった負の感情が自分の中であまりに大きく存在したため、回答を躊躇った」としつつ、「監督が自分の言葉に真摯に耳を傾け、背中を押してもらった事で本作の世界に飛び込みたいと決意した」と語っている。

監督の石川氏は「不老不死の物語は数あれど、ケン・リュウが描いた物語は決して単なる不死への警鐘ではない」とした上で、「不死という未知の存在を手にした身体に対して、果たして自分たちの知識や価値観が追随できているのかと強く問いかけている」からこそ、「アンチエイジングが発達している現在、ストップエイジングも決して遠い未来の話ではない」とコメントしている。

原作を提供した中国系アメリカ人作家ケン・リュウ氏は、2011年に発表した『紙の動物園』ネビュラ賞ヒューゴー賞世界幻想文学大賞の3冠制覇という史上初の快挙を成し遂げた、21世紀を代表する世界的作家。

そんな彼の作品が長編映画化されるのは今回が初めてのこと。

今回、石川監督が執筆し英訳された脚本に対し、提案を行なっている。

特に石川監督に対し、ケン・リュウ氏が送った「自分はこの小説をディストピアとして書いていない」という言葉は、石川監督の作品づくりに大きな影響を与えたという。

 

 

Arc アーク

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あらすじ

 

 

奔放な19歳のリナ。

彼女は出産経験もある女性だが、新生児の世話を自分の親に押し付けたまま、宿無しの生活を送っていた。

エマという年上の女性と知り合うリナ。エマは、血液の代わりに体を樹脂で満たし、肉体を朽ちさせない技術(プラスティネーション)を利用して、遺体を生前の姿のまま保存する「ボディーワークス社」を経営していた。

エマの下で技術を学び、第一人者へと成長していくリナ。

 

エマの弟の天音(あまね)は、プラスティネーションを発展させて、生きている肉体を永遠に保つ技術を開発した。

この技術によって不老不死が実現し、リナは30歳で世界初の老いない女性となった。

しかし、エマは、永遠の命だけが幸せではないと主張し、あえて施術を受けずに死んでいった。

天音と不老不死の夫婦となるリナ。

だが、天音は特異体質のため急激に老化し、亡くなってしまった。

天音が生前に残した凍結精子によって、85歳で娘のハルを産むリナ。


不老不死の技術は全人類に普及した。

しかし、体質や思想、高額すぎる費用などを理由に不死を選ばず、老いていく人々もいた。

リナは、高齢者を無償で世話する施設「天音の庭」を開設し、幼い娘ハルと共に施設内で暮らし始めた。

「天音の庭」に、芙美という老婦人が入所した。

芙美の夫は利仁という近所の貧しい漁師で、重病の妻の世話を無償の施設に依頼したのだ。

この年老いた利仁が実は、自分が17歳で生んだ息子だと気づくリナ。

利仁は、今からでも永遠の命を得ることが出来た。

しかし利仁は、妻の最後を看取った後、船で海に出たまま帰って来なかった。


やがて135歳になったリナは、娘のハルや孫娘のセリと暮らしていた。

穏やかな生活だったが、あえて死ぬことを選択し、老いていくリナ。

娘たちは翻意を促すが、リナの気持ちは変わらなかった。

人類で始めて不死となった女性は、初めて自ら死を選ぶ女性となったのだ。

 

 


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演技力が光る俳優陣

 

 

まず、主人公・リナを演じる芳根京子さんの時代ごとの演技分けが素晴らしい。

10代の頃の不安定さを表現したかと思えば、自信に満ち溢れた30歳も見事に演じ分けてみせている。

見た目は30歳、中身は80代という難しい演技にもチャレンジしているので是非注目してもらいたい。

また、その他の俳優陣も素晴らしい。

脇を固めるのはエマ役の寺島しのぶさん、天音役の岡田将生氏ほか、倍賞千恵子さん、風吹ジュンさん、小林薫氏など。

派手な華こそないかもしれないが、皆確かな実力の持ち主ばかりである。

この錚々たるメンバーが、それぞれ名演を魅せてくれている。

これは個人的なジンクスでしかないが、小林薫氏が出演している作品にハズレなし。

はてさて、本作はどうだったのか?

 

 

 

独自の構成で作り出す独特の世界観

 

 

本作は、簡単に言ってしまうと "動" と "静" の二部構成のような作品である。

前半は "動" 。

ダンスなどが取り入れられたり、会話する2人に高低差を持たせたりと、まるで舞台を観ているようだった。

後半は一転して "静" 。

モノクロ画を多用し、まるで古い映画を観ているような感覚に陥った。

この構成については賛否が分かれるようだが、個人的にはアリ。

前半の "動" があったからこそ、後半の "静" が非常によく生かされていると感じた。

特に後半での80代のリナが、見た目は老人だが自分よりも年下という設定の小林薫氏演じる息子と小さな漁船の上で語り合うモノクロのシーンは、いろいろな意味で圧巻だった。

"永遠の若さ" への代償が、リアルにかつ如実に表れている本作屈指の名シーンといえるだろう。

おかげで、小林薫氏の演技が好きな自分を再確認できた。

 

 

 

"永遠の若さ" の実現は人類の進化なのか退化なのか?不老不死はユートピアなのかディストピアなのか?

 

 

タイトルの『Arc』は【円周上の二点によって区切られた円周の部分】という意味だが、不老不死を描いた世界観はアーク(ark)=「箱舟」をイメージする。

全編を通して伝わってくるあらゆる死生観。

本作では「死」に対し、進む者と残る者、また残される者の感情が様々な角度で交差する姿が描写されている。

また、生を豊かにするはずの科学技術がかえって人間の生を脅かすという自己矛盾的事態と、近代人が生きることの快楽と喜びを無反省に追求し続けた結果招来した残酷な近未来がリアルに描かれている。

はたして "永遠の若さ" は人類にとって進化なのか?

はたまた退化なのか?

不老不死の世界はユートピアなのか、それともディストピアなのか?

人生100年と囁かれ、死を遠いもののように感じている人が多いのかもしれない。

しかし日々のニュースを観てみれば、死とは常に我々のすぐ傍にあるものだと思い知る。

天寿を全うできる人もいれば、ある日突然、唐突に若い命を散らす人もいる。

理不尽に奪われる命もある。

ならば人間は皆、死を克服したいと思うのか?

人間にとって死が、どのような意味を持つのか?

死とは生の終わりなのか?

そんなことを深く考えさせられる本作。

実際、メメント・モリ※へのアンチテーゼかと思われるようなセリフが何度か飛び交う。

最終的には死を受け入れた主人公だが、ひとつの選択肢としての "死" のように描かれていたのが非常に印象的だった

不老不死をテーマに扱う作品は、とかく "死" を美談のように扱いがちだが、本作ではそうでなかったことが素晴らしく感じた。

また、本作で描かれた様々な問題は、姿を変えて今我々の身に起きている可能性があることにも注目すべきだろう。

例えば、劇中で体質や思想、高額すぎる費用などを理由に不死を選ばず老いていく人々。

また、不老不死が約束され施術を受けるも、特異体質のため急激に老化し亡くなってしまった天音。

これはまるで、現代における高額な癌治療のようだ。

はたまた、絶対安全を謳ったコロナワクチンを象徴するかのようである。

我々は今、いつ結果がわかるとも知れない人体実験をしている。

古くは携帯の電磁波。

新しくはコロナワクチンと、長期的に観測したなら人体にどのような影響を及ぼすかなんてわかってはいないのである。

その時、いったい誰が責任を取るのか?

それぞれの決断で決定された登場人物たちの末路は、それほど遠くない未来を示唆しているようである。

あらゆる情報が錯綜し、それに惑わされがちな人。

自ら情報を集めるわけでもなく、無思考で誰かが決めたルールに従っている人には是非観てもらいたい作品だ。

本作への映画レビューサイトの評価は、残念ながら総じて低い。

だが、個人的には良い意味で2時間の映画が長く感じられた良作だと思う。

 

 

メメント・モリとは、「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」「死を想え」という意味を持つラテン語の言葉。

現代では主に「死を意識することで今を大切に生きることができる」という解釈で用いられることが多い。

 

 


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