其の四十三
美しき日本語の世界。
初心に帰って
日本語は遣いこなすことが世界でも最も難しい言語のひとつ
日本語の難しさは何と言っても日常的に使用する文字だけでも、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットと4種類もあることだ。
しかも、それぞれが単独で表現することも可能な独立した言語として存在できるもの。
単純に言えば日本語は4つ言語を使いこなしている言語であるということができるのだ。
文字の種類だけでも4種類もあるので、言葉によってはどの文字を使って表現したらいいのかということも問題になる。
それも、使う状況によっては同じ言葉でも表記に使う文字が変わったりするから大変だ。
子供向けに使うときはひらがなにしてみたり、若い人向きにはアルファベットにしてみたり。
コピーライターなどは、この辺の感覚が優れていないと難しい仕事だろう。
複数の表記文字を持つ言語は、身近なところでは韓国(漢字とハングル)くらいしか見当たらない。
その韓国でも何十年という間、漢字の使用を禁じたために文化が分断されてしまった。
今も、漢字復活の議論が絶えない状況だ。
表記文字として意味を持っている表意文字は漢字だけだ。
漢字は読みよりも文字によって意味を伝えるものになっていて、漢字以外の表記文字はすべて表音文字となっている。
表音文字とは言葉の音に意味があるものであって、文字は音を表す記号でしかなく、文字そのものに意味はない。
表記文字の一般的な表記方法は、漢字かな交じり文。
必要に応じて、カタカナやアルファベットが使われると考えていい。
ところが、漢字の中にも2種類が存在する。
音読み漢字は完全な表意文字だが、訓読み漢字は表音文字でもあるのだ。
訓読み漢字は両方の特徴を備えた漢字の使用方法ということができるだろう。
漢語では音読みとしての使用方法しかなかった漢字に対して、古代のやまとことばを表す文字としての訓読みを与えたことはとんでもない発明といえる。
漢語の意味をやまとことばに置き換えたときに、送り仮名を伴いながら漢字を使用するようになったと思われる。
表記文字は4種類もあるのだが、話し言葉としてはひらがなの一種類だけ。
聞こえる言葉もひらがなの音として聞いている。
ひらがなの基本音は47音。
濁点、半濁点、拗音、撥音などは用法として押さえておけば47音からの展開で使用できる。
すべてを入れても100音はないと思われる。
要するに話すこと聞くこと、つまりは会話をすることだけに限って言えば、実は日本語は世界でも習得しやすい部類の言語になるのだ。
ところが表記文字が入ってきた途端に、最も難しい言語のひとつになってしまう。
世界の他の言語においては、子供たちが日常言語を習得するのは6歳頃には完成してしまうといわれている。
小学校に入るころには、ほとんどの言語習得が完了しており、小学校に入学して間もなく基本言語の習得は終了する。
そのあとは、言語の使用技術を学習することになる。
一方、日本の国語科においては、基本言語の習得に10歳頃までかかるようになっている。
それ以降も言語技術よりも、書き取りや読解に重きが置かれており、学校での学習においては
ほとんど言語技術を学ぶことはない。
言語習得が難しく時間がかかる分だけ、その言語を使っての技術を学ぶ時間がないのである。
受験対策としての国語科の内容も、書き取りと読解が中心になってしまうため、話すための技術や伝えるための技術、聞くための技術を学ぶことなく社会に出ていくことになる。
そこまでして学んだ日本語においても、社会に出た後で満足にコミュニケーションができないことがたくさんある。
遣いこなすことがとんでもなく難しい言語であるにもかかわらず、遣いこなすための技術についてはほとんど学んでいないことになるのだ。
ひとりずつの感性だけでもある程度の理解をし合うことは可能ですが、同じ言葉を遣っていても意味するところが異なるのが日本語の特徴でもあるのである。
表面上は同じ言葉で会話をしていても、理解していることにはかなりの隔たりがあるということが頻繁に起こり得る。
日本語話者同士の会話ですら、精度を欠くことが多いのだ。
日本語は正確さを求めたらとことん追求できる言語であるにもかかわらず、それが生かされていないのが現状だ。
他の言語に比べたら巨大すぎるのかもしれない。
ひとりずつの遣っている言語はたしかに日本語ではあるが、日本語いう表現が大きすぎるカテゴリーなのかもしれない。
あなたの日本語と著者の日本語にどこまで共通性があるのか、比較してみたら面白いかもしれない。
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