2024年の干支「甲辰(きのえ・たつ)」
中国の龍は爪が5本、なぜ日本の龍は3本なのか?
中国の龍は爪が5本
龍は中国王権のシンボルである。
水中に棲む龍は降雨をもたらし、時いたれば天に昇る。
水中と天を往来する超越的な動物とされて、王の乗物となり、王権の象徴となった。
中国皇帝の着衣、宮殿にも龍の紋様や彫り物がある。
それも日本では決して見られない龍である。
何が違うのか?
中国皇帝の着衣模様や宮殿の龍は、指が5本ある。
ところが日本の龍は、主に3本。
多くても4本までである。
徳川家ゆかりの江戸期の建築物に彫られたり、描かれた龍でさえも、指は4本までのものしか見たことがない。
完全に金色な5つ爪の龍は皇帝の証
明の初代皇帝は元の規則(元史·志·卷三十一·舆服一)を踏襲し、皇帝の象徴である龍は5つの足の指(または爪)を、帝国の慣習としての貴族や高級官吏へ向けられた龍は4つの爪を持つと定めた。
3つ爪の龍は下級官吏や一般大衆に愛用された(様々な明朝の唐物で広く見られる)。
しかし、帝室に密接に関連した選ばれた皇族だけが、様々な象徴的な色彩を大抵は持つ竜を利用できた。
皇帝を除いたいかなる人物でも、完全に金色な5つ爪の龍を利用するのは死罪であった。
適切な爪の数や色を利用しなかった場合、罪人の一族もろとも処刑するに値する反逆罪とされた。
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日本の龍はなぜ爪が3本なのか
華夷秩序のもとでは、中国の龍の爪が5本あったのに対して、属国として次の序列にあった朝鮮やベトナムの龍は、爪が1本足りない4本でしかなかった。
日本は華夷秩序のもとで夷狄として蔑まれていたから、龍の爪は3本しか許されなかった。
日本は中国の周辺諸国のなかでただ1国だけ、中国の属国となることなく臣従して朝貢することがなかったのだ。
そのために、室町時代のころから、日本から注文があって、日本へ輸出する龍の彫刻や絵には、すべて爪が3本しかなかった。
もっとわかりやすく言うと、中国の近隣諸国の主従関係がある国などは4本指の龍を描くことが許され、主従関係にない日本は3本の指の龍を描くことになったのだ。
だから日本で唯一例外として、沖縄(琉球王国)の龍の指は4本。
ただし、日本はいろいろな文化を柔軟に取り入れる国民性もあって、全国の仏閣をはじめいろいろなところにいろいろな指の本数の龍がいる。
日本と中国は隣国だというのに、世界の中でこれほどまで文化が大きく異なっている例は他にないのが面白い。
しかしこの龍の爪の数の話は、なぜか日本ではよく知られていない。
もし、襖絵の龍の爪が4本あったとしたら、日本の歌舞伎をはじめとする、独特な、優れた伝統文化が形成されることがなかったかもしれないというのに…。
2024年の干支は「甲辰(きのえ・たつ)」。
これを機に日本で龍の絵や彫刻に出会ったら、その指の数を数えてみるのも興味深いかもしれない。
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