日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
- 日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
- せっかく日曜日の夜にピッタリの心地良いハートフルドラマも『半沢直樹』や『VIVANT』と比べ刺激のないストーリーがネットニュースでネガティブキャンペーンの的に
せっかく日曜日の夜にピッタリの心地良いハートフルドラマも『半沢直樹』や『VIVANT』と比べ刺激のないストーリーがネットニュースでネガティブキャンペーンの的に
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』とは
天才指揮者だったが
"ある事件" で家族も音楽も失った父親と
そんな父を拒絶し音楽を嫌う娘が
地方オーケストラを通して
失った情熱を取り戻し
親子の絆と人生を再生させていく
とびきりアパッシオナート(情熱的)な
ヒューマンドラマ!
TBSの日曜劇場(毎週日曜よる9時)『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』。
本作の主人公・夏目俊平(なつめ・しゅんぺい)を演じるのは西島秀俊氏。
映画やテレビドラマに数多く出演し、昨年の第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した映画『ドライブ・マイ・カー』では主演を務めた。
日曜劇場への出演は『流星ワゴン』(2015年)に主演して以来9年ぶり。
西島氏が本作で演じる夏目は、20代の頃から海外で活動し、数々の有名オーケストラと共演してきた才能あるマエストロ(指揮者)。
大好きな音楽に対して常にアパッシオナート(情熱的)※に向き合い、その情熱はいつも演奏家たちの眠っていた情熱を呼び覚まし、火を灯していた。
しかし、音楽以外の能力はゼロで家事は何一つできないポンコツ。
超マイペースかつ天然な男でもある。
5年前に起きた "ある事件をきっかけに家族は夏目のもとを去り、夏目自身は音楽界から離れていたが、日本のとある地方の楽団の指揮をするために数十年ぶりに帰国する。
夏目の娘・響(ひびき)を演じるのは芦田愛菜さん。
芦田さんの日曜劇場出演は『南極大陸』(2011年)以来。
『南極大陸』放送当時は7歳だった芦田さんだが、今作では市役所に勤務する20歳の女性を演じる。
父親とは真逆で音楽を嫌い、音楽の無い人生を送っていた響は、5年前の "ある事件" をきっかけに父と決別していた。
ところが父が突然帰国することになり、気まずい同居生活が始まる・・・。
ただ、あなたに聴いてほしかった。
一人ではできないことも、
みんなでやればできる。
過去も、未来も、必ず乗り越えられる。
世界的天才指揮者の彼が、なぜ愛する音楽の世界から退くことになったのか?
そして、5年ぶりの娘との再会。
天才ゆえに娘の気持ちがわからない夏目が、父としてもう一度娘と向き合う中で、5年前から時間が止まってしまっていた "娘の人生" を少しずつ動かしていく・・・。
本作は、金曜ドラマ『凪のお暇』(2019年)、『妻、小学生になる。』(2022年)などを手掛けた大島里美さんによるオリジナルストーリー。
人の心の内側を丁寧に描き出す大島さんが、言葉と音楽が奏でる豊かな旋律と圧倒的スケール感で初めての日曜劇場作品を彩る。
そして、本作の劇伴を担当するのは『テセウスの船』(2020年)、『日本沈没―希望のひと―』(2021年)をはじめ多くの作品の劇伴を手掛けている菅野祐悟氏。
近年はメディアを通した作曲活動とは別に、「生の音楽を聴いてほしい」という強い思いから、オーケストラによるコンサート活動も行っている。
さらに、本作のオーケストラを全面監修するのは、東京音楽大学教授であり、日本クラシック界を牽引している世界的指揮者の広上淳一氏。
また、オーケストラの演奏部分は東京音楽大学が全面バックアップする。
本作が初共演となる西島氏と芦田さんが紡ぎ出す、不器用な父と素直になれない娘の親子の愛の物語。
※アパッシオナート【〈イタリア〉appassionato】
音楽の発想標語のひとつ。
「熱情的に」「激しく」の意。
あらすじ
超マイペースかつ天然な主人公の夏目俊平は、若くして海外で活動し、数々の著名なオーケストラと共演してきた天才マエストロ(指揮者)。
大好きな音楽に対し、常にアパッシオナート(音楽用語で情熱的)に向き合い、その情熱には同僚も好影響を受けていた。
しかし、音楽以外の才能は皆無で、特に家事は苦手だった。
5年前に起きたある事件をきっかけに、家族は俊平のもとを去った。
それに伴い俊平は音楽業界と距離を置いていた。
しかし、富士山を望む静岡県晴見市の市民オーケストラの指揮をするため、20年ぶりに帰国する。
そんな俊平の娘・響。
彼女は5年前のある事件をきっかけに、父と決別し、晴見市の職員として音楽の無い人生を過ごしていた。
ところが俊平が突然帰国することになり、気まずい雰囲気の同居生活がスタートする。
世界的な天才指揮者だった彼が、なぜ表舞台を干されることになったのか?
そして、5年ぶりに再会した娘。
娘の気持ちが分からない俊平が、父として再び娘と向き合う中で、彼女の人生を少しずつ動かしていく。
登場人物
夏目俊平
演 - 西島秀俊
主人公。
元指揮者。
娘との関係に悩む。
若くして海外で活動し、数々の著名なオーケストラと共演してきた天才マエストロ(指揮者)。
音楽好きであり、アパッシオナート(情熱的)に取り組む。
その情熱は同僚たちにも好影響を与えていた。
5年前に起きたある事件を理由に表舞台を去る。
志帆から留守中に子供達の面倒をみることを依頼され、20年ぶりに帰国。
家族が住む静岡県晴見市にある市民オーケストラ・晴見フィルハーモニーの指揮を依頼される。
音楽以外のセンスは皆無。
家事全般が苦手で、特に、料理は果敢に挑戦するが壊滅的に不得意。
超マイペースであり天然。
夏目響
演 - 芦田愛菜
俊平の娘。
俊平とは不仲。
元ヴァイオリン奏者で、天才少女と持て囃されたが、コンクールを抜け出した際に交通事故に遭い、以降、舞台から姿を消す。
父とは真逆で、音楽を嫌っている。
ツンデレな性格で、父親と弟に対しては常に厳しい態度を取っている。
高校時代の芸術観賞以来、落語家・柳亭小痴楽の大ファン。
晴見市役所総務課に勤務していたが、総務課長から打診された文化振興課の欠員補充の異動を受け入れる。
夏目志帆
演 - 石田ゆり子
俊平の妻で響と海の母親。
画家。
ある理由から、俊平を晴見フィルハーモニーの指揮者に推薦する。
夏目海
演 - 大西利空
俊平の息子。
フランス生まれの帰国子女で高校2年生。
5年ぶりに父親と暮らすことを無邪気に喜ぶ。
主題歌
- 「宝者」
作詞作曲: アイナ・ジ・エンド
編曲: 河野圭
主題歌に起用された「宝者」は、作詞作曲アイナ・ジ・エンド、編曲は河野圭氏が担当。
温かい雰囲気の中にあるどこか切ない表現が、ドラマとマッチした極上のミドルバラードに仕上がっている。
主題歌の制作について彼女は「最初に、別の2曲のデモ曲を送りましたが、もう1曲トライすることになり、もがくように制作にのめりこみました。そしてこの "宝物" が生まれました」とコメントしている。
2024年1月15日にTikTokとInstagramで先行配信がスタートし、2月5日より各ストリーミングサービスにて配信中。
宝者/アイナ・ジ・エンド (ピアノ&ヴォーカル)[LPV1845]大型(A4判) (オンデマンド楽譜)
『半沢直樹』や『VIVANT』と比べ刺激のないストーリーがネットニュースでネガティブキャンペーンの的に
ネットニュースでネガティブキャンペーンの的に
『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』は、ネット上のネガティブキャンペーンが非常に多い作品だったように思う。
他にも、Yahooニュース※でのネガティブキャンペーンが特に多かった。
(※せっかくYahooニュース記事を貼り付けても、すぐに表示できなくなるので貼りません)
ネガティブな記事のすべてがデタラメだとは言わない。
たしかに視聴率モンスター枠である日曜劇場作品にしては、本作の出足は悪かったように思う。
斯く言う著者も、日曜劇場ブランドへの期待値の高さのみで習慣として観始めた作品だったし、開始しばらくは好きでというより惰性で観る作品程度に過ぎなかった。
しかし著者の中で変化が起きたのは、次回予告の特徴に気づいた時だった。
『半沢直樹』や『VIVANT』と比べ刺激のないストーリーと肩透かしの次回予告
日曜劇場といえば『半沢直樹』や『VIVANT』に代表される、暑苦しくてある意味時代錯誤ともいえる仰々しい演技と、刺激的なストーリーがウリの時間枠として認知されている。
だからだろう。
『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』がネガキャンされた理由はまさにそれに尽きる。
ハラハラドキドキとはほど遠い、 平々凡々と平坦で刺激のないストーリー。
事件も起きなきゃ、たいした揉め事も起こらない。
嫌な奴 "っぽい" 登場人物はいても、実際最後はみんなそれなりにいい奴。
特別スカッとするわけでもなければ、劇的に泣けることもない。
至って普通の、ただほんのり心が温まるハートフルドラマ。
『半沢直樹』や『VIVANT』のような刺激を求める視聴者にとっては、本作は酷く退屈な作品だったのだろう。
せっかく次回予告でハラハラドキドキを匂わせてみても、肝心の本編ではそれがない。
刺激を期待する視聴者には、さぞや肩透かしをくらった気分であっただろう。
しかしその次回予告こそが、著者が本作をしっかり観るキッカケになったと言っても過言ではない。
名作アニメ『葬送のフリーレン』と同じ意図を持った 『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』の次回予告
アニメ『葬送のフリーレン』の次回予告については以前記した通り。
『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』の次回予告も、『葬送のフリーレン』のそれと同じ意図を持っていた。
実際本編で流されるパワーワードを巧く切り取り、あたかも "何か" が起こりそうな雰囲気を漂わせる。
観る者は、平々凡々と平坦で刺激のないストーリーに変化を期待する。
しかし、蓋を開けてみればその変化はちょっとしたトラブル程度のもので、おそらく多くの視聴者が期待していた刺激とは程遠いものだった。
それが結果的には肩透かし感を抱かせたわけだが、著者にとってはむしろそれが好意的に受け止められた。
何話か次回予告を観るうちに、これが『葬送のフリーレン』と同じ構成だと気づいたからだ。
『葬送のフリーレン』も、基本的には 平々凡々と平坦で刺激のないストーリーである。
だからこそ、気を張らずに安心して観ていられる。
ならば次回予告の構成が同じ本作も、気を張らずに安心して観ていられる作品だということになる。
嫌な事件や胸糞展開の心配をする必要のない、心地良い作品のはずである。
このことに気づいてから、『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』の見方がガラリと変わった。
ただの惰性や習慣ではなく、観たい作品になったのである。
記憶には長く残らないかもしれない…けど、再放送されることがあったら間違いなくもう一度観たい、何度でも観たくなる作品
『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』は、 『半沢直樹』や『VIVANT』のように視聴者の記憶に強く長く残るような作品では、たしかにないのかもしれない。
こんなオシャレな家族なんてドラマの中でしか観たことがないし、そもそもマエストロに馴染みなんかない。
オーケストラにも馴染みがない。
おまけにマエストロが主人公の作品だというのに、音楽への掘り下げの足りなさは素人目にも感じられる。
専門家が見たなら肝心要の演奏シーンだって、実はアラだらけなのではないだろうか。
物語に強いメッセージ性があるわけでもないから、よくわからない作品だともいえる。
それでも、著者にとっては気分が堕ち気味な日曜日の夜にピッタリの作品であり、いつか再放送されることがあったなら、その時は間違いなくもう一度観てみたい、何度でも観たくなるような作品なのである。
日曜日の夜に観るなら、心温まるハートフルなこんな作品が丁度いい。
心地良い。
刺激を求めすぎる現代人とって、何も考えずにただ綺麗な涙を流せる時間が時には必要だ。
著者にとってのそれは『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』、特にラスト3話を観ている時間であった。
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