アニメーション映画
PERFECT BLUE パーフェクトブルー
※本稿にはネタバレを含みます。ご注意下さい。
気持ちが沈む鬱展開も後味だけはそれほど悪くない?現実と虚構の境界線が消えていく不思議な感覚はさすが今敏初監督作品
アニメーション映画『PERFECT BLUE パーフェクトブルー』とは
竹内義和先生の小説「パーフェクト・ブルー 完全変態」(1998年には本作の公開にあわせ、「パーフェクトブルー1998」のタイトルで再版された。) が原作の本格サイコサスペンスアニメ。
小説を原案としているが、内容は大幅に異なる。
国内でのレイティングはR-15指定、その他ほとんどの国では18禁。
『パプリカ』『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』の今敏初監督作品。
原作: 竹内義和著「パ-フェクト・ブル-完全変態 」(英訳:Perfect Blue : Complete Metamorphosis)
発売日:1991年03月
著者/編集:竹内 義和
出版社:メタモル出版
あらすじ
アイドルグループを脱退し、新人女優として活動を始めた未麻は、自分の意向とは裏腹に舞い込む、過激なグラビアやTVドラマの仕事に戸惑いを隠せない。
だが、彼女の周囲でその関係者を標的とした殺人事件が次々と発生し始めて………。
登場人物
霧越未麻
声 - 岩男潤子
本作の主人公。
愛称はみまりん、みま姉など。
ペットとして熱帯魚を飼っている。
元々は「CHAM」というアイドルグループの一員として2年間活動していたが、事務所の意向で女優へ路線転向する。
しかし現状への不満やストーカーへの恐怖などから、精神的に追い詰められていく。
日高ルミ
声 - 松本梨香
未麻のマネージャーで、元アイドル。
昔は痩せていたが、今は見る影もなく肥満体となっている。
未麻を陰ひなたに支え、女優への転身に反対している。
田所
声 - 辻親八
未麻の所属事務所社長。
未麻を積極的に女優として売り出していく。少々強引な営業でルミと何度か口論するが、根は悪人ではない。
女優への転身という方針を打ち出したことがきっかけで、ファンレターに仕掛けられた爆薬で手に怪我を負わせられる。
その後も怪我を負いながら未麻の売り込みとサポートを続けていた。
気持ちが沈む鬱展開も後味だけはそれほど悪くない?現実と虚構の境界線が消えていく不思議な感覚はさすが今敏初監督作品
現実と虚構の境界線が消えていく不思議な感覚はさすが今敏監督作品
「虚構と現実の混淆」というテーマは、今敏監督作品を象徴するキーワードである。
緻密かつリアリティにこだわった描写と夢と現実が交差する作風で、世界から高い評価を受けている。
その今敏氏の初監督作品が本作であるが、最大の特徴である「虚構と現実の混淆」というテーマは、監督デビュー作にしてすでに完成の域に達している。
セル画で描かれたとは思えない緻密な作画にどうしても目を奪われがちになってしまうが、本作の凄さはなんといっても物語の構成と展開の素晴らしさにある。
なかでも、対比の描写がとにかく素晴らしい。
夢と現。
役者の自分と素の自分。
被害者と加害者。
人生の厳しさを伝えているような、サクセスストーリーをみているような。
その対比が虚実を狂わせる。
現実はどちらなのか?
それとも、どちらも虚構なのか。
結局何がいいたいのか?
物語の核心はどこにあるのか?
何がなんだかよくわからなくなる。
これこそまさに、今敏監督作品を象徴する「虚構と現実の混淆」の実現である。
気持ちが沈む鬱展開も後味だけはそれほど悪くない?
今の地上波で放送したなら、やはり一発アウトだろうか。
そう思うほど、非常にセンシティブな内容の本作。
R-15指定や18禁がつくのも納得のエグい鬱展開。
オープニングでのほのぼのぶりがまるで嘘のように、物語はどんどんどんどん闇深くなっていく。
精神状態が落ち着いていないと、見るに堪えない展開の連続。
昭和の常識を引きずったままの闇深いテレビ業界。
そこで売れるために搾取されていく元アイドル。
ストーカーと偶像崇拝。
本作物語に夢や希望といった明るい要素はほとんどない。
こういった作品の場合、大抵の場合観終わった後に気持ちが沈んでしまうものだ。
だが、これほどの鬱展開にもかかわらず、後味はそれほど悪くない。
本作は様々なテーマが混在しているようで、それら複数の細かなテーマを「虚構と現実の混淆」というひとつの大きなテーマでまとめ上げていて、それが最後に一気に収束する。
主人公である霧越未麻のその後と、最後のセリフ。
「私は本物だよ」
それがあまりに爽快で、心を曇らせていたモヤモヤを一気に晴らす。
それはバラバラだったパズルが、最後に一瞬にして完成したような不思議な感覚。
極めつきは、物語とはアンバランスなあまりに陽気すぎるエンディング曲。
エンディングテーマ『season』
(歌:M-VOICE/作詞:小竹正人/作曲・編曲:PIPELINE PROJECT)
これは大人の事情によるものか、はたまた監督の狙いだったのか。
もしこの選曲が監督の狙いだったとしたなら、そのセンスの特異性は計り知れない。
何はともあれエンドロールを観終われば、それまでの鬱気分はどこへやら。
むしろとても清々しいものを観たかのような、何ともいえない感覚に陥いるのだ。
これは貴重な体験だ。
今敏監督作品でしか味わえない。
日本のアニメーション界にはテイストの違った優秀な監督が大勢いる。
だが本作を観る限り、今敏監督と同じ感性と力量を持つ監督はいないのかもしれない。
本作はそれを強く感じさせる作品だ。
デビュー作にして、物語の構成と展開の秀逸さは今敏監督作品随一。
けっして万人におすすめできる内容ではないが、興味がある人はある程度覚悟を持って観てほしい。
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