報道番組風コント番組
全力!脱力タイムズ
- 全力!脱力タイムズ
『全力!脱力タイムズ』とは
『全力!脱力タイムズ』は、フジテレビ系列で2015年4月17日から放送されている、報道番組風のコント番組。
2017年10月6日から毎週金曜日 23:00 - 23:40(JST)に放送されている。
番組の愛称は「Datsuryoku News Network」の頭文字を取って「DNN」もしくは、「脱力タイムズ」。
世界各国から集められた、“思わず脱力してしまいそうな”『脱力ニュース』を、有識者たちが徹底解説するニュースバラエティ番組としてスタート。
2014年末の特番(放送時のタイトルは『全力!脱力ニュース』)を経て、2015年4月17日よりレギュラー化されて、毎週金曜日 23:00 - 23:30(JST)で放送開始された。
番組では経済、社会問題、芸能、ファッション、グルメ等の幅広いニュース・テーマが取り上げられる。
なお、番組ホームページの番組紹介では「世界各地の最新ニュース」、番組ロゴには「World Report」といった文字があるが、取り上げられるニュース・テーマは海外のものは少なく日本のものが中心となっている。現在は「日本の論点」をメインコーナーとする番組となっている。
演出手法
制作総指揮(2019年3月まで総合演出)の名城ラリータ氏は、「今やっているニュース自体が、実は一個下駄を外すとコントになる」というコンセプトのもと、「報道番組のフォーマットを借りたコント」(いわゆるシチュエーション・コメディ)という体で演出を手掛けている。
これは、名城氏が最初からコント番組を手掛けたかったものの、視聴率が獲得しにくく企画が通らないことから「報道バラエティ」として企画を通してもらった上で生み出したものであり、当初は「世界各国の真面目な時事問題にこじつけて世界各国のハプニング映像を流し、それに対して解説員が映像と全く関係のない自身の専門分野の話を始め、スタジオトークの脱線を楽しむ」というスタイルで始まった。
そこから徐々に変化して、現在は番組が仕掛ける突拍子もない演出やハプニング、さらに俳優(女優)・アイドル・モデル・歌手などといったお笑い芸人以外のタレント(以下、「タレントゲスト」)らの出演者が次々と繰り出す容赦のない無茶ぶりに芸人(以下、「芸人ゲスト」)が右往左往する展開が当番組の見どころとなっている。
芸人ゲスト以外には番組スタッフによる企画・演出を有田氏がブラッシュアップした綿密な台本が用意されており、この内容に沿って収録が進められる。
したがって、番組内での「ハプニング」・タレントゲストの言動・リアクションもすべて台本に沿ったものである。
一方、芸人ゲストには内容の全く異なる「偽台本」が用意されており、出演者の中で唯一本番組の実際の内容を知らされていない。
「40分一本のロングコント」というコンセプトを基に原則撮り直しは行われず、タレントゲスト(主に俳優及び女優)にとっては持ち前の演技力を発揮できる場であることから、普段バラエティ番組には出演しないような「名優」と呼ばれる役者が出演する事が多い。
また芸人ゲストにとっても、自らの「笑いの瞬発力」を試される番組ともなっている。
一見してバラエティだと思われると笑いも薄くなるため、出演者・演出ともあくまで報道番組を意識しており、男性陣のみスーツを着用する事が決まりとなっている。
有田氏も意識の上では『BSフジ LIVE プライムニュース』の感覚で出演しているという。
また、全力解説員もそれぞれ専門分野を持ち本物の報道番組にも出演する有識者だが、番組がどんどん変化してコント色が強くなっても積極的に参加してもらえたという。
なお、本番組において有田氏・小澤アナウンサー・タレントゲストの3人は伊達眼鏡をかけている。
また、本物の報道番組との混同やトラブルを防ぐため、タイトルに(フジテレビ系報道番組のタイトルに冠せられる)「FNN」の文字は入っておらず、名称も番組中に一切出されない。
その代わりとして、セットには「Datsuryoku News Network」を略した「DNN」の3文字が付されているほか、タイトルロゴの下にもその名称が記されている。
エンドロールではテロップで「この番組内で紹介した情報や意見は全力解説員の見解であり、諸説ある中の一説の場合があります。」と流れ、2020年以降は「この番組はフィクションです。」とも流れている。
主なコーナー
日本の論点
お題となるニュース・テーマのVTRが流れたあとに、出演者が解説・討論していく当番組のメインコーナー。
THE 絶景遺産
2016年8月12日から不定期に放送。
後世に残したい日本の風景を紹介するコーナー。
ナレーターは滝沢カレンさんが担当。
THE 美食遺産
2016年10月14日から不定期に放送。
後世に残したい日本の食を紹介するコーナー。
ナレーターは滝沢カレンさん、伊藤一朗氏(Every Little Thing)、ACEなどが担当。
日本技術遺産
2022年4月8日から不定期に放送。
伝統工芸品の製作過程を紹介するコーナー。
ナレーターはあのさんが担当。
脱力スーパーLIVE
タレントゲストが唐突に芸人ゲストのファンだと言い出しネタを披露する流れになるが、相方が別人だったり、番組側が理不尽なルールを科したりし、まともにネタが出来ない状況に追い込む。
コンプライアンス委員会
2021年5月21日から不定期に放送。
番組終盤にて芸人ゲストが「今回の放送での発言がコンプライアンス的に問題が無かったか」をチェックするためにコンプライアンス委員会に参加する。
しかしコンプライアンスに関することにはあまり触れられず、お笑いに関するダメ出しや、時には番組内容にすら関係ないゲストへのダメ出し(相方など関係者が委員会としてサプライズ出演をして話すことが多い)をし、「…コンプライアンス的には問題ありません。」とされ、最終的には「合格です。またのご出演お待ちしております」と締めくくられることが多い(ニューヨークの屋敷裕政など、稀に意図的演出でコンプライアンス的に問題のある発言を番組内で誘導された挙げ句「出禁」を言い渡されるゲストもいる)。
激白!本番終了後の本音
コーナーでは無いが、番組のフィナーレとして入る本編撮影終了直後のワンカット。
最後まで本番組の内容を知っていなかった芸人ゲストの本音や感想が垣間見えることが多い。
番組のお約束
『全力!脱力タイムズ』では、毎回取り上げるテーマが異なり番組の進行形態はその都度異なるが、複数回でみられる「当番組のお約束」というべき展開がある。
芸人ゲストの個人情報暴露
唐突に芸人ゲストの個人情報(実家の住所・携帯電話番号等)をフリップやボードなどで暴露し、知らされてなかった芸人ゲストは狼狽する。
なお、画面上ではモザイク加工されている。
芸人ゲストのタブーネタ
芸人ゲスト(グループの場合、そのメンバーも含む)の過去の不祥事・男女交際・離婚等のタブーな話題についてもネタにし、知らされてなかった芸人ゲストを慌てさせ、笑いを誘う。
タレントゲストからの告知
タレントゲストは自身の出演作品・活動・楽曲等の告知・宣伝を番組内で必ず行う。
それ自体は問題無いが、ニューステーマに関する質問に対してや、何の脈絡もない唐突なタイミングで強引に告知・宣伝を入れ込む展開が多く、芸人ゲストをあ然とさせる。
アリタ氏が番組進行の立場上、ツッコミを入れることもある。
タレントゲストから芸人ゲストへのフリ
これらのパターンではタレントゲスト同様、全力解説員が芸人ゲストイジリに加わることも多い。
ネタパクリ
芸人ゲストのギャグや持ちネタを、タレントゲストが唐突にやってみせる。
人違い
タレントゲストが、芸人ゲストやその持ちネタの大ファンだと言って、いったん持ち上げる。
しかし、話を進めていくうちにそれはまったく違う人物のことであったり、別の芸人の持ちネタであったりする。
ネタや漫才が見たい
前述の「脱力スーパーLIVE」を参照。
著名人からのコメント・インタビュー
その日のテーマに応じて、著名人(タレント・俳優等)への取材VTRやインタビュー映像等を挿入する。
しかし、これらはモノマネタレントや芸人が演じる偽物であるが、アリタら芸人ゲスト以外の出演者は偽物である点に触れず平然と番組を進行させる。
芸人ゲストはその点に激しくツッコミを入れるのが定番だが、まれにその裏をかくように著名人本人が出演することもある。
毎回同じ展開になる定番企画
同じ芸人には毎回同じ展開になる企画で、例えば次長課長・河本氏の時は、子供の素朴な疑問ということで、毎回回答が芸能人の時事ネタのゴシップに関わることを答えないとならないなど。
史上最大の大仕掛けドッキリ
アンタッチャブルのコンビ復活
2019年まで当番組に柴田英嗣氏が芸人ゲストとして出演する際には、「脱力スーパーLIVE」で「アンタッチャブル復活」と銘打って、本来の相方である山崎弘也氏の偽物(バービー、ハリウッドザコシショウ、コウメ太夫など)と漫才を披露するというのがお約束となっていた。
2019年11月29日放送の「うわぁぁぁーダメだっての巻」でも同様に番組の終盤で柴田氏が山崎氏の偽物役の小手伸也氏と漫才を披露。
だが漫才の途中で小手氏が「ネタが飛んだ」と言ってアリタ氏に漫才を止められて袖に引っ込せた後、柴田氏の意思を確認した後「小手に扮した」山崎氏本人がアリタ氏に連れ出される形で登場。
柴田氏は激しく動揺した後、2010年に女性問題で柴田氏が1年間の謹慎処分を受けて以来10年ぶりに「アンタッチャブル」として漫才を披露した。
この終盤の演出については番組の事前告知で一切触れられることはなく、収録時も山崎氏が出演する演出を事前に知っていたのはアリタ氏を含めてスタッフ3人だけで、多くのスタッフや他の出演者も知らなかったという。
全くのサプライズでのコンビ復活はネット上でも大いに話題となったほか、三村マサカズ氏ら芸人仲間も大きく反応した。
また、フジテレビオンデマンド(FOD)で行われている見逃し配信の視聴数が通常時の約11.4倍となった。
この放送回は、2019年12月度ギャラクシー月間賞を受賞。
放送批評懇談会ギャラクシー賞選考委員の戸部田誠氏は「ずっと "フェイク" をやり続けたこの番組自体の歴史が振りになったサプライズ。それを事前告知まったくなしに行ったのも粋だった」と高く評価している。
コンプライアンスなんかクソ喰らえ!
唯一欠かさず観ている地上波番組
『全力!脱力タイムズ』伝説
アンタッチャブルの復活と南海キャンディーズ・山ちゃんの結婚
アンタッチャブルの電撃復活劇がこの番組だったことは前述した通り。
これには本当に驚いた。
それまで散々肩透かしを喰らってきただけあって、その回もいつものような展開だとばかり思っていたのだが…
アリタ氏が連れてきたのは紛れもなく相方・ザキヤマ氏ご本人。
だが一番驚いていたのは柴田氏だっただろう。
「本当にやるのか?この番組なのか⁉︎」
何度も念を押す柴田氏のリアクションをみれば、あれが完全サプライズのリアルガチ演出だったことが窺える。
しかもその時の漫才の面白いのなんのって。
久しぶりの漫才で、たぶんアドリブも多かったと思われる。
それでも元M-1チャンピオンの肩書は伊達じゃない。
ブランクを感じさせないふたりの姿にネット中が祝福していた。
ネットニュースのトップになるようなこんな大仕掛けドッキリを、告知なしで放送してしまう『全力!脱力タイムズ』の凄さ。
告知していれば視聴率だって稼げただろうに…。
『全力!脱力タイムズ』絡みでネットニュースを騒がせたと言えば、南海キャンディーズ・山ちゃん&蒼井優さんの結婚もそうだった。
実はふたりは『全力!脱力タイムズ』で結婚前に共演している。
山ちゃんの結婚のニュースを耳にして、『全力!脱力タイムズ』の共演を思い浮かべた人も…きっと少ないんだろうな。
しかし、そもそも蒼井優さんがバラエティに出演すること自体が皆無。
そんなレア出演時のもうひとりのゲストが山ちゃんだったというのは、ある意味運命だったのかもしれない。
タブーに切り込む番組構成
『全力!脱力タイムズ』にタブーはないのか?
そんな疑問が頭をよぎる。
コンプライアンスがうるさい地上波で、何かしらの問題を起こした芸人すら、オイシく料理してくれる。
そんな番組は今のご時世、『全力!脱力タイムズ』しかない。
最近の出演回数の多さでいったらTKOの木下氏だ。
未だに「テレビに出ちゃいけない人」として木下氏を扱いしながらも、かなりの頻度で登場している。
しかも、だいたいがナダル氏とセットで。
ナダル氏と絡むことで、普通なら触れにくいペットボトルについても平気でイジってくる。
ヒヤヒヤもするが、木下氏にとってはありがたい限りだろう。
また、ある意味で南海キャンディーズ・山ちゃんの結婚のキッカケとなった番組なのに、サプライズで山ちゃんの結婚相手を斡旋するなどムチャブリにもほどがある。
だがそれがすこぶる面白い。
演出を手掛けるアリタ氏の手腕は、本当に目を見張るものがある。
大人しくてつまらなくなったテレビ業界の唯一の希望の星
近頃の地上波テレビは本当につまらなくなった。
若者ならまだしも、テレビを観て育ったような著者の世代で、まさかテレビを観なくなる日がやってこようとは思いもよらなかった…。
それもこれもコンプライアンスにビビって、テレビ業界が大人しくなってしまったからだ。
昔の無茶苦茶なテレビではなくなってしまった。
そんな中で唯一、気を吐いているのが『全力!脱力タイムズ』だ。
ヤラセ問題、なんのその。
ヤラセのないバラエティ番組の、何が面白いというのか。
その点、『全力!脱力タイムズ』なんて全編ヤラセみたいなもの。
唯一、芸人ゲストのリアクションだけが真実である。
だから面白い。
当たり障りのないバラエティ番組ばかりのテレビ業界で、コンプライアンスに縛られない唯一の存在『全力!脱力タイムズ』。
こういう番組がもっと増えれば、地上波ももう少し活気付くと思うのだが…。
夢中になってテレビにかじりついていたあの頃の活気を、是非取り戻してほしい。
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