アニメ
進撃の巨人
『進撃の巨人』とは
『進撃の巨人』(英題:Attack on Titan)は、諫山創先生による漫画作品。
またそれを原作とした小説(ライトノベル)、アニメ、ゲーム、映画などの作品。
圧倒的な力を持つ巨人とそれに抗う人間たちとの戦いを描いたダーク・ファンタジー漫画。
「別冊少年マガジン」(講談社)で2009年9月9日発売の10月号(創刊号)から連載を開始し、2021年4月9日発売の5月号をもって完結した。
連載期間中は、「週刊少年マガジン」(講談社)にも出張読み切りとして特別編が2度掲載された。
2011年のスピンオフの小説化以降、様々なメディアミックス展開がされており、特に2013年から始まったアニメはシリーズ4作品まで続く程の反響を呼んだ。
ジャンルとしてはダーク・ファンタジーだが、魔法や超能力などの要素は控えめである。
組織化された軍と戦術、現実の科学技術をモチーフとした装備などの軍事設定が盛り込まれ、架空戦記のような硬派な展開が主になっている。
また、巨人や世界の設定には謎が多く、ストーリーが進むにつれて解き明かされていく。
単行本の表紙カバーを外すと巨人から逃げて海を越え、もう1つの土地の壁の中に移住する人々を描いた中世の古文書風の絵が見られる。
絵に書き込まれた文字は一見解読不能に見えて、実は逆さにすると、カタカナで記された日本語になっている。
これらは物語の核心に触れる内容となっているが、これについて諫山は「この世界における教科書の1ページ目で、誰でも共通で持っている知識とかそういうものを込めている」と述べている。
2010年12月(第3巻発売時)には既刊2巻の累計のみで発行部数が100万部を突破。
9巻までの発行部数は2013年4月初頭(10巻発売)時点で1200万部を突破していたが、アニメ放送開始後はさらに売上が伸び、同年の8月初頭(11巻発売)時点で10巻までで2300万部を突破した。
2022年9月時点でコミックス全34巻の発行部数は世界累計1億1000万部を突破している。
講談社の漫画で1億部を突破したのは、『金田一少年の事件簿』シリーズに続いて2作目。
アニメ『進撃の巨人』
『進撃の巨人』(英題:Attack on Titan)は、WIT STUDIO(第1期 - 第3期)ならびにMAPPA(第4期)制作によるアニメ作品。
諫山創先生による同名の漫画を原作としている。
2013年4月から9月まで第1期、2017年4月から6月まで第2期(Season 2)、2018年7月から10月まで第3期(Season 3)Part.1、2019年4月から7月までPart.2、2020年12月から2021年3月まで第4期(The Final Season)Part 1、2022年1月から4月までPart 2が放送され、2023年より完結編が放送予定。
連続テレビアニメーションが制作され、これを基にした総集編劇場映画、および原作単行本限定版に付属するオリジナルビデオ(OAD)も作られている。
ナレーションはアルミン役の井上麻里奈さんが、冒頭のあらすじや次回予告等を担当している。
第1期
第1期が2013年4月から9月まで毎日放送ほかにて全26話(第13話と第14話の間に総集編の第13.5話を挟む)が放送された。
物語は原作冒頭から年表における850年のストヘス区での女型の身柄拘束作戦の完了、そして後の第2期冒頭に繋がるシーンまでを描く。
原作者の諫山創先生は、テレビアニメ版の第1話を視聴して完成度の高さから「原作はアニメの方、僕は絵の描けないコミカライズ担当という感じ」との趣旨の発言をしている。
第1期の総集編が劇場版前後編2部作として制作され、2014年11月22日に第1話から第13話までの総集編『劇場版 進撃の巨人 前編〜紅蓮の弓矢〜』、2015年6月27日に第14話から第25話までの総集編『劇場版 進撃の巨人 後編〜自由の翼〜』が公開された。
配給はポニーキャニオン。
未公開シーンの追加や音声を5.1chサラウンド仕様にアップグレードするなど、細かい仕様変更もある。
以降の劇場版も概ねこの2部作と同様の仕様で制作・公開されている。
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第2期
第2期(Season 2)は、2017年4月から同年6月まで、毎日放送ほかにて全12話(26話 - 37話)が放送された。
これ以降より作品名に「Season(数)」が併記されるようになった。
物語は前述の通り第1期ラストからダイレクトに続き、エレン奪還戦でエレンが「座標」の力に目覚めるまでが描かれる。
2018年1月13日には、総集編劇場版映画『劇場版 進撃の巨人 Season2〜覚醒の咆哮〜』が公開された。
また、原作単行本収録のOADが5話制作された。
なお、「週刊少年マガジン」に出張読み切り掲載された作品であり原作の前日譚を描いた特別編『イルゼの手帳』は、原作単行本第11巻限定版に収録される予定だったが、テレビアニメ版の制作遅延の影響を受けて第12巻限定版へ延期され、2014年9月28日に毎日放送制作・TBS系列の「日5」枠にて全国ネット放送された。
2019年7月20日にも同月18日に発生した京都アニメーション放火殺人事件の影響を配慮し都合により「スーパーアニメイズム」枠『炎炎ノ消防隊』第3話の放送を見送ることになり代替番組として再放送された。
2017年には外伝『悔いなき選択』がアニメ本編2期放送開始に先立ち、同年3月に地上波の一部局で1エピソード化した版が放送された。
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第3期
第3期(Season 3)は、2018年7月23日から10月15日までPart.1 全12話(38話 - 49話)が放送され、2019年4月28日から7月1日までPart.2 全10話(50話 - 59話)の全22話が放送された。
本シリーズからはNHK総合に放送局が変更され、ほぼ全国同時ネット放送が行われた。
講談社プロデューサーの立石謙介氏は「全国の皆様に同時に楽しめるように」と語っている。
放送開始直前となる7月21日0時26分には出演声優が数名登場する特番「進撃の声優大集合!」が生放送された。
なお、オープニング・エンディングのクレジット表記はNHK総合の放送版と配信版とでは異なっている。
前半は王政編からウォール・マリア奪還作戦の前夜までの話が放送され、後半はウォール・マリア奪還作戦から世界の真相が明かされたところまでが描かれた。
第4期(The Final Season)は、2020年12月7日から2021年3月29日までPart 1 全16話(60話 - 75話)が放送され、2022年1月10日から4月4日までPart 2 全12話(76話 - 87話)が放送され、2023年3月3日に完結編(前編)が放送予定、後編も2023年内に放送予定。
また、Part 1本放送前の11月9日から11月30日にかけては、第1期 - 第3期をまとめたダイジェスト版が4週連続・全4回にわたってオンエアされ、Part 2放送前の2021年10月25日から12月13日にかけては、1話から75話を6本にまとめたダイジェスト版とOAD『悔いなき選択』、『Wall Sina, Goodbye』、『Lost in the cruel world』が放送された。
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主題歌
『進撃の巨人』独特の世界観を表現するため、主題歌も個性的な作風のものが多い。
なかでも特に印象に残る2曲をご紹介しよう。
「紅蓮の弓矢」は紅白でも披露されたほどメジャー曲で、ご存知の方も多いだろう。
『進撃』といえばコレ。
機種にもよるが、カラオケでまさかの歌詞を出さないのも「紅蓮の弓矢」ならでは。
一方「夕暮れの鳥」はマイナー中のマイナー曲。
歌うは神聖かまってちゃん。
知る人ぞ知る、のバンドだ。
闇堕ち全開の世界観がたまらない。
ダークな世界観も激ヤバ。
#01 - #13.5
OAD#3.5・3.25・3.75
「紅蓮の弓矢」
作詞・作曲:Revo、歌:Linked Horizon
Linked Horizonの2枚目のシングル。
Revoは「紅蓮の弓矢」の制作に際し、タイアップ作品の舞台が戦時下であるため、緊迫感や軍楽っぽさを盛り込もうと思っていた。
そのため、巨人に関してはスーパーロボットや怪獣映画に見立てた上で、暴力性とスケール感を金管で表現している。
歌詞は当初、ストレートで「健全な歌詞」だったが、あまりにも綺麗事にこだわりすぎていたために没となった。
そのため、Revoは一度ダメ出しを指摘されてからは次も駄目なのではないかという恐怖心が頭を過ぎっていたが、前作に比べてストーリーがラフだったこともあり、比較的やりやすかったという。
その後、完成した歌詞を一か八の気持ちで見せたところ、採用に至った。
#26 - #37
夕暮れの鳥
作詞・作曲:の子、歌:神聖かまってちゃん
神聖かまってちゃんの各種音楽配信サービスにて「TV size」音源でポニーキャニオンよりリリースされた。
本作のために書き下ろされた。
これは原作者であり、神聖かまってちゃんのファンだと公言していた諫山創先生の強い希望により実現している。
ジャケットは、諫山創先生が神聖かまってちゃんのメンバーを描いた描き下ろしイラストが使用されている。
原作の世界観を圧倒的な超美麗作画でスケールアップ!
アニメ化により生まれた大ヒット
そもそも、原作『進撃の巨人』を読んで大ヒットを予想できた人がどれほどいただろう。
正直、本作に大ヒットの要素は少なかったように思う。
ご覧になった人ならおわかりだろうが、原作の作画はお世辞にも上手いとは言い難い。
それが何故、社会現象を巻き起こすほどの大ヒット作品にまで成り上がったのか?
それはひとえにアニメのおかげだ。
昔のアニメとは違って、原作を凌駕するアニメ作品が近頃ではとても多くなった。
本作もその例外ではない。
とにかく作画が美しい。
美しすぎる。
特に難しいと思われた巨人化能力者が巨人化する際の描写。
原作では当初コマ割りでやり繰りしていたが、アニメとなるとそうはいかない。
自然かつスムーズな展開を求められる。
そこで本作を担当したアニメーターは、あるアイデアを思いつく。
原作にはなかった、頭上から雷が落ちる描写で巨人化を表現したのだ。
この描写は秀逸だった。
何かが起こりそうなワクワク感。
そして何より格好良かった。
このアイデアは、後に逆輸入され原作でも巨人化の際に発光する表現がされるようになっている。
立体機動装置に関する描写も、アニメの方が圧倒的だ。
スピード感と躍動感がハンパない。
原作ではなく、アニメを観て「コレ欲しい!」と思った人も多いだろう。
このように、本作の大ヒットはアニメーターの努力の賜物といえる。
アニメーターの勝利だ。
放送局が変わってから拭えない尻つぼみ感
そもそもMBS・TBS系列で放送されてたのになぜNHKに?
もともと本作はMBS・TBS系列で放送されていた作品だ。
それがいつの間にやら天下の国営放送局・NHKが版権を取得。
同時に放送局も移行している。
この理由として考えられるのが、
- NHKに放映権を売ったということなんじゃないか?
- 2期の反応がイマイチだったのが理由だったんじゃない?
というもの。
たしかに人気(当時)の指標ともなっている円盤売上枚数の累計平均が、第2期は第1期の約1/7ぐらいまで落ち込んでしまった(BOX売りになった影響もあるだろうが、それでも下がりすぎ)。
加えて第2期は、「完全にオワコン」という声も多く挙がってしまうほど、"1期放送時と比べて" ほとんど話題になっていなかったという。
この結果を踏まえた上で考えられるのは、
という利害の一致である。
またNHK側には、人気コンテンツを獲得し、若者を取り込みたかったという、実にいやらしい思惑も見え隠れする。
この頃から本作の尻つぼみ感が始まる。
この頃から原作でも華がなくなる
放送局が変わって拭えない尻つぼみ感。
実は原作を読んでも同様の感覚を覚える。
物語はこの頃から、ダークファンタジーから政治的な描写へと移行する。
いろいろな「なぜ?」が明らかになってくるのだが、おかげでアニメーターの腕の見せ所が激減する。
胸が躍るような描写も減り、人間関係メインの描写へと変わっていく。
失速の原因には、原作の底力の弱さもあると思う。
もともとアニメーターの力で成り上がった作品である。
アニメーターが腕を振るえないなら、「完全にオワコン」と揶揄されるのも致し方ないことかもしれない。
それほど本作を担当したアニメーターは優秀だったのだ。
ついに完結
「進撃の巨人」The Final Season 完結編が、いよいよ放送。
2013年に第1期放送だから、足掛け10年。
長かった。
特に放送局が変わってから、テンポの悪さが際立つ。
一世を風靡したのも今や昔。
今では話題に上ることも少なくなった。
人気に胡座をかくとこうなる。
制作陣は人気が下火になる前にどんどん新作を投入すべきだった。
作画が美しかっただけに、それだけが悔やまれる。
アニメーターの努力を、プロモーターが台無しにしてくれた気分だ。
それでもようやくたどり着いた完結編。
「進撃の巨人」を手掛けるアニメーターは最高だ。
最後まで美しい作画を魅せてほしい。
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