#21
停滞する思考に一石を投じる苦言
声にできない本音を言葉に…
何かと生きづらい世の中で、思ってはいても言葉にできない声がある。
感じていても声にするのが憚られる言葉がある。
それは耳障りが悪く、心地良い言葉ではないのかもしれない。
だが言葉にされて、はじめて気づくこともある。
本稿で取り上げる言葉は、ひとつ間違えれば暴言とも受け取られかねないものだ。
しかし何かを変えるためには、声に、言葉にしてより多くの人に考えてもらうべきだろう。
本稿が停滞する思考覚醒へのキッカケとなることを切に願う。
麻吹美華(「これは経費で落ちません!」より)
欠員状態だった経理部に麻吹美華(江口のりこ)という中途採用の新メンバーが加入。
しかし美華は、完璧な正義を目指しちょっとした辻褄合わせにも目くじらを立てる性格で、さすがの森若さん(多部未華子)も辟易し互いの持論を戦わせる。
そんな折、日ごろ経理部の言うことを聞かない秘書の有本マリナ(ベッキー)が、地方の旅館に商品を売った代金を経理部に持ってくる。
秘書が扱う経費は、社長案件のため特別枠という名目で経理部でもアンタッチャブルとされていたが…
ドラマ『これは経費で落ちません!』第6話「うさぎとタイガーの巻」でのヒトコマ。
ごねた方が
得するってことですよね
大人しくルールを守っている側が
損をして
ごねてルールを破る側が
得をする
間違ってませんか
犯罪者に優しく被害者に無神経なこの国の現状。
たとえば少年事件で加害者が刑事罰を免れたり、心神喪失で責任能力のない被告人が無罪判決を受けたりするのに対して、犯罪被害者の損害や苦痛を軽減させるような制度はほとんど存在しない。
いわゆる先進国(すでにそうとは呼べないのだけど…)の中で比較しても、日本ほど犯罪被害者をケアする公的制度が遅れている国はないのである。
そればかりでなく、報道や果てはSNSに至るまで総じて犯罪被害者に優しくない。
どうしてこんな世の中になってしまうのだろう?
通常であれば「小さな声」であるはずの加害者の声が、正義漢気取りの多くの人間の手によって過剰なまでに「大きな声」へと変換されてしまう。
本来なら弱者であるべき加害者が強者へとすり変わり、強者であるべき被害者が弱者化されてしまう狂った社会。
こんな異常事態が、あらゆる場面で起きている。
まさにごねた者勝ちの世の中である。
そういえば岸田首相が以前、国連演説で「小さな声にも真摯に耳を傾けながら」と "聞く力" を強調したことがある。
「小さな声」とは、いったい誰の声のことなのか。
彼がいつ「小さな声」に真摯に耳を傾けたというのか。
国のトップがこの調子では、日本の民度が落ちてしまっても致し方ないことなのか。
政治が変われば、ごねた者勝ちの理不尽な社会も少しは良くなるのか。
政治家であろうがなんだろうが、悪いことをしたら罰せられる社会を正常な社会と呼ぶのだと著者は思う。
これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~ 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)
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