アニメ『【推しの子】』第三話「漫画原作ドラマ」
原作改変問題に一石を投じたこのエピソードが実写化でどう再現されるのか?
アニメ『【推しの子】』とは
『【推しの子】』は原作・赤坂アカ、作画・横槍メンゴ両先生による同名の漫画を原作とした日本のテレビアニメ作品。
第1期は2023年4月から6月までTOKYO MXほかにて放送され、原作のプロローグ「幼年期」から第4章「ファーストステージ編」までの内容(原作第1巻から第4巻まで)が、おおむね原作に沿った形でアニメ化された。
第1話は90分の拡大スペシャルとして制作され、プロローグ「幼年期」の内容(原作第1巻の冒頭から結末まで)がまとまって放送された。
放送に先駆けて3月17日より全国の映画館にて第1話が『【推しの子】Mother and Children』のタイトルで先行上映された。
配給は角川ANIMATION。
原作との違い
テレビアニメ版は、原作漫画の内容を極力再現した上で、原作に描かれていないコマの合間や細部を突き詰めるという方針が掲げられた。
原作漫画の雰囲気を忠実に追体験させるような表現も多く使われつつ、原作では見せ場となっていた場面にアニメ独特の演出手法を取り入れる改変も行われた。
また、後の展開との整合性を取るような改変や原作で発生している矛盾点の整合を行ったり、特に原作では1コマ2コマしか描かれなかった歌唱シーンに長尺を取るなどの変更点も用いられている。
一方、原作のプロローグ(第1巻)では未来の登場人物の視点から過去を振り返るインタビューの場面が意味深な形で各話の冒頭に挿入され、伏線や謎解きの手掛かりとなっていたのに対し、テレビアニメ第1話ではそれらの挿話が削られている。
また、アニメの流れを止めてしまう等の理由により、原作にあったエピソードや描写を削った箇所も複数存在する。
第三話「漫画原作ドラマ」
元天才子役・かなと再会したアクア。
ドラマ出演の打診をすげなく断るが、プロデューサーの名前を聞くなり返事を翻す。
その名はアイの携帯電話に残されたものと同じで…!?
原作改変問題に一石を投じたこのエピソードが実写化でどう再現されるのか?
『セクシー田中さん』の原作者でマンガ家の芦原妃名子さん死去の衝撃
『セクシー田中さん』の原作者でマンガ家の芦原妃名子さんのご冥福をお祈りするとともに、関係者の方々には謹んでお悔やみを申し上げます。
芦原さんはこのドラマの脚本を巡って制作側と一時、見解の違いが生じていたことを自身のSNSの投稿などで明かし、様々な反響が寄せられていた。
この事件が起こった直後に日テレから出されたコメントには耳を疑った。
自己防衛としか思えない言葉が並んでいたからである。
まるで他人事のような対応には、自己防衛をする前にすることがあるのではないかと憤りすら感じる。
痛ましい事件の根底にある問題は「ドラマ偏重主義」からくる「ドラマ多産化現象」
近年、テレビ局はドラマ制作に躍起になっている。
ドラマはほかの番組ジャンルより格段に制作費が掛かる。
そのため少し前までは費用対効果が低いと考えられてきた。
だが、今ドラマはテレビ局にとって「採算性が悪いコンテンツ」ではなく、「ドル箱」とも言える重要コンテンツに変わろうとしている。
その可能性を大きく裏づけたのが、民放公式テレビ配信サービス「TVer」におけるドラマの再生数の実績である。
最新の2023年10~12月期の総合番組再生数ランキングでは、上位10位に入っているバラエティは7位の『水曜日のダウンタウン』だけでそのほかはドラマの独占状態である。
『セクシー田中さん』も5位にランクインしている。
また、上位6作品が総再生数2000万回以上を記録し、ドラマの快進撃が目覚ましい。
地上波中心のビジネスでは赤字であったドラマは、配信によって日の目を見ることができたコンテンツなのである。
海外マーケットでも日本のドラマは熱い視線を浴びている。
毎年、フランス・カンヌで開催される世界最大級のテレビ見本市MIP(春はMIPTV、秋はMIPCOM)では、日本の経済産業省、総務省、文化庁の後押しもあって、多くの日本のドラマが世界中のバイヤーから買われている。
そんな現状からいま、テレビ局はドラマ多産化を推進しているのだ。
そしてそのドラマ多産化現象は、「ドラマ偏重主義」を助長している。
当然そこには歪みやひずみが生じてくる。
各局の制作現場は原作探しや、主演キャストの押さえ、脚本家の確保、スタッフィングの調整に日々追われることになるからだ。
特に原作やキャスト、脚本家に関しては水面下で激しい争奪戦が繰り広げられている。
主演キャストは局と有力芸能プロダクション間の「握り」によって数クール先まで「ベタ置き」されるという状況が生じてくる。
脚本家においても同様だ。
優秀な脚本家は少ない。
ものすごいペースでドラマ制作を進めなければならない状況下においては、大御所で手間のかかる脚本家は厄介なだけだ。
ドラマ多産化の流れの中では、"使い勝手のいい" 脚本家が重用されるのは、ある意味自然の成り行きである。
では、「"使い勝手のいい" 脚本家」とはどんな脚本家なのか。
それはもちろん局やプロデューサーの都合を聞いてくれる、制作側の都合に合わせられる脚本家のことだ。
だが "都合を聞いてくれる" というのは、単純に "言いなり" という意味ではない。
信頼関係を築き、お互いを信じているからこそ、細かい打ち合わせなどしなくてもその時々の事情を瞬時に理解して、"適当に" 対応してくれるのである。
プロデューサーは大体そんな脚本家とタッグを組むことが多い。
しかし、原作者に関しては少し事情が違う。
プロデューサーが企画の際に原作を選ぶのは、「その作品がおもしろいか」や「売れているか」「人気があるものなのか」など "作品本位" の理由である。
脚本家の場合とは違って、扱いやすさや言うことを聞いてくれるといった "人物本位" の基準ではない。
だからこそ、今回の芦原氏さんの訴えは大きな反響を呼んだ。
"作品本位" の原作選びは原作者の意向なんか考えていないから、「ドラマ化するなら『必ずマンガに忠実に』」や「マンガに忠実でない場合はしっかりと加筆修正をさせていただく」という要望や、「原作者が用意したあらすじやセリフは原則変更しないでいただきたい」という芦原さんの主張は、最初の段階で現場の制作者たちに「厄介だなぁ」という印象を与えてしまった可能性があると容易に推察できる。
今回の事件を受け即、松竹・東宝・東映などの映画会社の社長がコメントをしている。
彼らが述べているように、「原作モノ」と言われる原作をベースにするドラマ作品は、「原作の素晴らしいところを生かしていくのが大前提」なのは当たり前で、「プロデューサーはその作品をどう表現するか、作者の先生と話をしていくのが原則」であることがマスト。
「原作を映像化することは、原作者の方の許諾がないとできない」のも当然。
しかし、「原作の方とわれわれの方向性が違う時は、コミュニケーションを取って互いに了承する」「どう映像化するかはクリエーティブな部分で合意を重ねてやっていく」ことにまで至らなかったのが、今回の痛ましい事件の背景にはあるのだろう。
テレビ業界は今、戦国時代にある。
「映像ビジネス」の覇権と生き残りをかけた配信との激しい攻防戦の真っ只中だ。
オワコン化が進み、地上波放送枠での収入が見込めないテレビ局にとって、マネタイズにパラダイムシフトを強いられるのは、致し方ないことであろう。
だが、そのしわ寄せは現場に行く。
配信での二次利用をにらんだドラマ多産を求められる中で、制作費削減は留まることを知らず、これまで以上にペースを上げて制作を進めなければならない。
原作通りの映像化をやっていては、期限や予算にはまらないというのが正直なところだろう。
実際に、原作で設定されている主人公の職業や仕事場を変更することは序の口である。
カネがかかり過ぎるという理由で、サスペンスドラマの犯行の手口が変わることも日常茶飯事だ。
そこにあるのは、マネタイズ邁進というテレビ局上層部の方針と、それに逆らえない末端テレビ局社員のサラリーマンとしての悲しい性なのかもしれない。
アニメ『【推しの子】』第三話「漫画原作ドラマ」をAmazon Prime Video制作陣はどう描くのか?
日本のメディアで問題化している原作改変(改悪)に対し、真正面から挑んだのがアニメ『【推しの子】』第三話「漫画原作ドラマ」である。
タイトル通り、漫画原作ドラマの撮影現場を "割りと" 生々しく描かれている。
敢えてここで "割りと" と加えたのは、ドラマ制作陣の「良い作品を作りたい」というクリエイター魂が勝つならまだ良いが、話題性や制作スケジュールだけに追われるプロデューサー主体の現場では、きっともっと悲惨なのだろうと推察されるから。
アニメではその辺りの事情が汲み取れるほど、メディアの闇がしっかりと描かれていた。
そんなメディアの闇を浮き彫りにした作品に、さらなる展開が起こる。
『【推しの子】』実写化の報である。
実写化の報を受けて一層興味深くなったのが、漫画原作ドラマで「漫画原作ドラマ」がどう描かれるのかである。
脚本次第では、もちろんカットすることも可能ではあろう。
しかしアニメ『【推しの子】』第三話「漫画原作ドラマ」のシナリオは、『【推しの子】』の物語を進める上で、実はかなり重要な役割を果たしている。
なぜなら『【推しの子】』に登場するヒロインの1人・有馬かながキャラ付けされた重要な回であるからだ。
第三話「漫画原作ドラマ」は、かつて「10秒で泣ける天才子役」として一世を風靡し、子役としてのピークを過ぎてからも細々と役者の仕事は続けていた彼女の、止まりかけていた芸能人生が再び動き出すことになる非常に重要な回になる。
また、この時彼女が主人公・星野アクアの役者としての才能に気づくことは、その後の展開に重要な役割を果たす。
ある意味では、『【推しの子】』は本筋は第三話「漫画原作ドラマ」から始まっていると言っても過言ではないのだ。
何より『【推しの子】』が漫画原作である以上、それを実写化するなら本来避けて通ることができないエピソードのはず。
故にこのエピソードをカットするか否かは、『【推しの子】』実写化制作陣が本作にかける意気込みの。
もっと言うなら、Amazon Prime Videoが原作改変問題に対してどう考えているのかという重要な試金石にもなるだろう。
ただし、もしAmazon Prime Video制作陣が第三話「漫画原作ドラマ」をカットするようなことがあるなら、それは改変ではなく改悪だ。
メディアや芸能界の闇に斬り込んだ『【推しの子】』という作品を、根本的に否定するメディア側の原作改悪でしかないのである。
尺の都合できっとすべては描ききれないだろう。
それは理解できる。
だが実写化への期待値が高いだけに、駄脚本で裏切る行為だけはファンとしては避けてもらいたい。
原作者が納得した形で、改悪ではなくあくまでも改変。
そうあるべきでありそうでなければならないと、今痛烈に感じている。
【推しの子】OP主題歌「アイドル/YOASOBI」 高橋李依(アイ役)cover.【歌ってみた】
『【推しの子】』の主題歌は、YOASOBI「アイドル」以外もはや考えられない。
もし、実写化に際してYOASOBI「アイドル」が使えないのなら、主題歌はこれでいいのでは?
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