Hard to Say I'm Sorry / Chicago (1982年)
伝説級のバンドの色褪せない名曲
ロックバンドのバラードこそ最強説
音楽のジャンルは年々多岐に渡り、あらゆるジャンルの垣根もなくなりつつある昨今。
そんな世でも、ひとつの確信だけは自分の中に根強く残っている。
それがロックバンドのバラードこそ最強説だ。
ただのロックバンドのバラード好きなだけのような気もするが、なるべく多くの人に共感してもらうべく、本稿ではロックバンドのバラードの名曲をご紹介していきたいと思う。
Chicago『Hard to Say I'm Sorry』とは
『Hard to Say I'm Sorry』(素直になれなくて)は、アメリカのロックバンドであるシカゴが1982年に発表した楽曲で、代表曲のひとつ。
バンドメンバーのピーター・セテラとプロデューサーのデイヴィッド・フォスターが制作した。
同年、全米シングルチャートで2週間1位を記録。
なお、アルバム『ラヴ・ミー・トゥモロウ(シカゴ16)』に収録されている。
シカゴは、1969年から1973年ごろまではブラス・ロックが中心のバンドだった。
その後、1974年ごろからはアダルト・コンテンポラリー路線を歩み『遥かなる愛の夜明け』『渚に聴けた恋』『愛ある別れ』『朝もやの二人』などのヒットを放った。
しかし1978年ごろからヒットに見放され、この曲は久々の大ヒットとなったものである。
当時商業的には全盛期を過ぎていたと考えられていたシカゴが、この曲で7年ぶりに全米シングルチャートで1位を記録した。
日本ではオリコン洋楽シングルチャートで1982年11月1日付から5週連続1位を獲得。
アルバム・バージョンでは、『Get Away』という曲が同一トラック内で続いて収録されている。
こちらの曲は、1970年代までのシカゴの音(ホーン・セッションを中心にしたスタイル)に近いものだった。
しかし、アダルト・コンテンポラリ・ラジオ局は、『Get Away』をカットして流していたという。
なお、プロモーション・ビデオはギリシャで撮影されている。
この曲には、シカゴのバンドメンバーのみならず、セッション・ミュージシャンが参加している。
ピアノはプロデューサーのデイヴィッド・フォスターで、アメリカのロックバンド・TOTOのメンバー3人(デヴィッド・ペイチとスティーヴ・ポーカロがキーボードで、スティーヴ・ルカサーがギターを演奏)も参加している。
発表と同年の1982年には、映画『青い恋人たち』(原題:Summer Lovers)のサウンドトラックでも使用された。
Hard to Say I'm Sorry / Get Away
素敵すぎる意訳
邦題『素直になれなくて』
原題は『Hard to Say I'm Sorry』だが、邦題の『素直になれなくて』というタイトルで広く知られている80年代の名曲。
タイトルは「It's hard for me to say I'm sorry」という歌詞の一部から。
直訳では「僕には "ごめんね" が言えそうにないから」みたいな感じかな?
このままでも十分素敵なタイトルなのだが、決定タイトルはさらに上をいっていた。
それが『素直になれなくて』。
なんて素晴らしい意訳なのだろう。
こういう頭の柔らかさが欲しいものだ。
伝説級のバンドの色褪せない名曲
一度も解散せずに、メンバーチェンジを繰り返しながら、未だに存続しているバンド・シカゴ。
再結成するバンドは多いが、一度も解散しないで続けているのはストーンズを含め僅かだろう。
長く続けてこれた秘訣を、メンバーがインタビューで語っている。
「売れると2つのタイプに分かれる。1つは次は他のメンバー無しで俺1人で作れるなと思うやつと、やった!こいつらと一緒でよかった!と思うやつとに…俺達は後者だった。」
なるほど。
このバンドを知らなくても『サタデー・イン・ザ・パーク』や映画『青い珊瑚礁』のサントラ曲は耳にしたことがあるだろう。
また本作は数多のCM曲にも使用されているため、バンドよりも曲の方が有名かと思われる。
正直著者も、CMで本作を知った口である。
その美しいメロディとハーモニーは、一度聴いたら忘れることはないだろう。
Hold me now
(抱きしめてほしい)
It's hard for me to say I'm sorry
(僕には "ごめんね" が言えそうにないから)
I just want you to stay
(きみにいてほしいだけなんだ)
近頃の洋楽はリズム重視でインパクトはあっても、末長く歌い続けられるようなメロディではないように思う。
そういう意味で本作のメロディには、インパクトが欠けるのかもしれない。
だが、半世紀近く経った今聴いても何ら遜色を感じられない。
これぞまさに王道バラードといえるだろう。
こういう曲こそ、未来に歌い継がれるべき不朽の名作なのだ。
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