はじめて聴いた時より今の方がずっと魅力的な名曲
Superstar / Delaney & Bonnie (1969年)
はじめて聴いた時より今の方がずっと魅力的な名曲とは
ふと懐かしい音楽を耳にすることがある。
TVやラジオで流れてくる懐かしい曲の数々。
時に「あれ?こんな良い曲だったかな?」なんて感じる曲も中にはあったりするから音楽は面白い。
本稿ではそんな「はじめて聴いた時より今の方がずっと魅力的な名曲」ばかりを取り上げていこうと思う。
『Superstar』とは
『Superstar』(スーパースター)は、Delaney & Bonnie(デラニー&ボニー)が1969年に発表した楽曲。
オリジナル・ヴァージョンの正式タイトルは "Groupie (Superstar)" だが、1970年に "Superstar" と改名され、1971年にはカーペンターズによるカヴァー・ヴァージョンが世界的にヒットした。
その後もルーサー・ヴァンドロス等、多くのアーティストに歌い継がれている。
作詞・作曲はレオン・ラッセルとボニー・ブラムレットによる。
ロック・ギタリストへの恋心を募らせるグルーピーを歌った歌詞で、リード・ボーカルはボニー・ブラムレットが担当。
サビの部分では、ゴスペルのコール・アンド・レスポンスを取り入れている。
当時デラニー&ボニー&フレンズのサポート・メンバーだったエリック・クラプトンがギターを担当。
この曲は最初、1969年のシングル『カミン・ホーム』のB面曲として発表された。
オリジナル・アルバムにはしばらく収録されなかったが、後述するカーペンターズのヴァージョンがヒットした後、デラニー&ボニー最後のアルバム『D&Bトゥゲザー』(1972年)に初収録された。
同作ではオリジナル・タイトル通り "Groupie (Superstar)" と表記されているが、ソニー・ミュージックエンタテインメントからリリースされた日本盤CDでは、日本語タイトルは『スーパースター』とされている。
またオリジナル・ヴァージョンを歌ったボニー・ブラムレットは、ソロ・アルバム『I'm Still the Same』(2002年)で、この曲をセルフ・カヴァーした。
デラニー&ボニー&フレンズに参加していたリタ・クーリッジは、1970年にジョー・コッカーのアメリカ・ツアーでバック・コーラスを担当した際、自身がフィーチャーされたコーナーで、この曲を歌った。
その模様は、ジョー・コッカー名義のライヴ・アルバム『マッド・ドッグス&イングリッシュメン』(1970年)に収録されたが、曲名は "Superstar" に変更されていた。
同ヴァージョンは、リタ・クーリッジ名義のベスト・アルバム『The Best of Rita Coolidge: The Millennium Collection』(2000年)にも収録。
カーペンターズ ver.
カーペンターズは、リチャード・カーペンターがテレビ番組『トゥナイト・ショウ』を見ていた時に、ベット・ミドラーがこの曲を歌い、妹のカレンにぴったりの曲だと思ったことから取り上げられた。
ただし、歌詞の一部は変更されている。仮歌の時点で既に、カレンの歌唱が完璧だったため、そのテイクがそのままレコード化された。
サード・アルバム『カーペンターズ』からシングル・カットされると、本国アメリカでは2位に達し、カーペンターズにとって5曲目の全米トップ10シングルとなった。
日本のオリコンでは7位となり、初めて日本でもトップ10入りを果たしている。
2007年には、映画『ゴーストライダー』のサウンドトラックで使用された。
カーペンターズによるカヴァーのきっかけを作ったベット・ミドラーは、その後改めて『スーパースター』のカヴァーを録音し、デビュー・アルバム『The Divine Miss M』(1972年)で発表した。
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ルーサー・ヴァンドロス ver.
ソロ・アルバムとしては3作目の『ビジー・ボディ』(1983年)に、アレサ・フランクリンが1973年に大ヒットさせた『待ちこがれて〔Until You Come Back to Me (That's What I'm Gonna Do)〕』のカヴァーとのメドレーとして収録された。
翌年にシングル・カットされ、全米87位、R&Bチャートでは5位に達した。
ソニック・ユース ver.
ソニック・ユースによるカヴァーは、1994年に発売されたトリビュート・アルバム『イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター〜カーペンターズに捧ぐ』に提供された。
ノイズ・ミュージック的なアレンジがなされている。
同ヴァージョンは、ベティー・サーヴァートによる『ふたりの誓い』のカヴァーをカップリング曲としたプロモーション用シングルも制作され、『ビルボード』誌のモダン・ロック・チャート(後のオルタナティヴ・チャート)で26位に達した。
ドイツ盤CDシングルには、カーペンターズ・ヴァージョンの『スーパースター』と、マシュー・スウィートによる『あなたの影になりたい』をカップリング曲として収録。
2007年には、映画『JUNO/ジュノ』のサウンドトラックで使用された。
なお、リチャード・カーペンターは2009年に、ソニック・ユースによる『スーパースター』に関して「僕には良いか悪いかは言えない。ただ好きじゃないんだ」と語っている。
『Superstar』といったらやっぱりカーペンターズ
というより、むしろ今の今までカーペンターズがオリジナルだとばかり思っていた。
カレンの美しくも哀愁漂う歌声が本作のイメージにあまりにピッタリすぎて、カヴァーを疑いすらしなかった。
入り口がカーペンターズだから、やはりどうしても他のメジャー曲に心を奪われがちだ。
『Yesterday Once More』や『I Need To Be In Love』。
『Top Of The World』に『Close to You』。『Please Mr. Postman』なんかもいいな。
さすがはカーペンターズと言うべきか、どこもかしこも名曲ばかり。
この名だたる名曲たちと比べてしまうと、『Superstar』には暗いイメージがつきまとう。
悲恋を歌った曲だがメロディと相まって一層の悲壮感を醸し出しているからだ。
Don’t you remember
(覚えてないの?)
You told me you loved me baby
(私を愛してるって言ってくれたこと)
You said you’d be
(あなたは言ったのよ)
Coming back this way again baby
(また戻って来るって)
Baby, baby, baby, baby, oh, baby
(愛しい 愛しい 愛しい人…)
I love you, I really do
(愛している 本当に)
※歌詞はカーペンダーズ版
カーペンターズの楽曲の中でも、マイナーではないけど二番手扱いのような『Superstar』。
だが年を重ねるにつれこの曲の持つ魅力がわかってきた気がする。
それはカレンをより深く知ったことにも関係する。
カレンの抱えていたもの。
もちろんそのすべてを理解することは叶わないが、誰にも吐き出せない想いが巡っていたことだろう。
そんなカレンの想いが込められて『Superstar』は悲壮感に溢れているのだと思うと、聴いていて涙が出てきそうになる。
カレンの美しい歌声の奥底にあるもの。
それを感じられるようになったのは、大人になった証拠だろうか。
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