ラジオってあったかいね
懐かしい声との再会
よくラジオを聴いていた時期、あまり聴かなかった時期
よくラジオを聴いていた時期
ラジオを聴く聴かないは、生活環境によって変わる。
よく車移動するような仕事や、社内な店内で常に流れている環境で働いていれば、ラジオを耳にする機会は自ずと増える。
そう、あれは今から20年ほど前の話。
その頃は車移動が常の仕事に従事していた。
当時乗っていた車には、カセットテープがまだまだ現役で活躍中だった。
用意できる音楽に限りがあるため、自然とラジオを聴く機会が増えていった。
しかしそこは元々ラジオ好きの著者である。
好きな番組を見つけては、ラジオに聴き入ることもしばしばあった。
この頃が学生時代以来に訪れた、ラジオ熱第ニ波だ。
ラジオではお馴染みの交通情報
ラジオには決まった時間に決まったフォーマットの情報がオンエアされる時間がある。
ニュースや提供CMも、ほとんどが決まった時間にオンエアされている。
「この番組でこのCMが流れているということは、今はだいたい何時何分」と予測可能なのがラジオなのである。
多少のズレはあるものの、分単位で正確に時間がわかるのはなかなか凄いことだと思う。
そうしたフォーマット情報の中のひとつに交通情報がある。
事故や渋滞の情報を教えてくれるコーナーだ。
事故や渋滞情報がナビやスマホで逐一わかる現在ではあまり聴かれなくなってしまったかもしれないが、ITなんて言葉が生まれる前は非常に重宝したツールである。
一定年齢以上の人なら、一度くらいは耳にしたことがあるだろう。
道路交通情報センター
ラジオで交通情報を知らせてくれるのが通称・道路交通情報センター。
正式名称を、公益財団法人日本道路交通情報センター(JARTIC[ジャティック])といい、日本の道路交通情報の収集および提供を行う業務機関である。
センターの呼称は、AM放送局が「(日本)道路交通情報センター」でFM放送局が「JARTIC(道路交通情報センター)」をそれぞれで用いる事例が多い。
放送回数が少ない地方局など「日本道路交通情報センター」と称する事例がある。
センター職員が本部のラジオブースから伝える場合と、センターの情報を各局のパーソナリティが読み上げる場合がある。
道路交通情報センターの中の人
前述した通り、ラジオの交通情報にはセンター職員が本部のラジオブースから伝える場合と、センターの情報を各局のパーソナリティが読み上げる場合がある。
そして著者がよく聴いていた番組のほとんどが前者であった。
パーソナリティがセンターへ繋ぎ、センターの職員さんが交通情報を知らせてくれるパターンだ。
その時のお決まりのセリフがある。
パーソナリティ:続いては交通情報です。道路交通情報センターの〇〇さん、お願いします。
特に必要がない限り何の気無しに聴いている交通情報であるが、次第に「〇〇さん」が気になってきた。
気になるとは、「今日は誰かな?」ということだ。
例えるなら、『サザエさん』で来週の予告を誰が担当するのかを予想する楽しみと同じ感覚である。
…もしかしたら誰もこんなことはしていないかもしれないが…
著者は「〇曜日のこの時間なら〇〇さん!」みたいな予想を、ゲーム形式にして楽しんでいた。
さらに音だけのラジオというツールでは、お気に入りの声や喋り方のパーソナリティを探すという楽しみ方がある。
道路交通情報センターの中の人もその例外ではなく、自ずとお気に入りのセンター職員さんが定まってくるのであった。
道路交通情報センターのSさん
ほぼ毎日欠かさず聴いていた番組で道路交通情報を担当していたSさん。
名前を覚えた方もそれほど多くはなかったが、Sさんの声だけは印象に残っていた。
声や喋り方がとても落ち着いていて非常に心地良く、いつの間にかSさんはお気に入りになっていた。
道路交通情報の担当がSさんじゃないと何だか調子が狂ってしまうほど、道路交通情報といえばSさんだった。
そしてラジオをあまり聴かなくなった
前述した通り、ラジオを聴く聴かないは生活環境に左右される。
生活環境が変われば聴ける番組も変わり、お気に入りの番組は聴けなくなってしまった。
radikoなんて便利なものはまだない時代だ。
TVとは違い、録音する手間もなかなか面倒くさいものだった。
アーカイブなんてもちろんないから、一度聴き逃せば同じ番組は二度と聴けなかった。
そうこうしているうちに次第にラジオを聴かなくなっていき、道路交通情報センター・Sさんの声も耳にする機会がなくなっていった。
ラジオ熱、再び
それから十数年後…
しばらくは、ほとんどラジオを聴かない生活を送ることになる。
たまにラジオが聴く機会があるとすれば車に乗っている時くらいなものだった。
次第に好きだった番組ですらタイミングが合わなければ聴かない生活に、いつの間にか慣れていってしまっていた…。
一度聴き逃したら二度と聴けないラジオ番組
TVとは違い、ラジオ番組の情報のほとんどはオンタイムのものだ。
旬の期間は非常に短く、時が過ぎれば不要になる情報が多い。
だからなのか、ラジオ番組に再放送はほとんどない。
再放送があるとすれば、地方局の深夜帯でくらいだろう。
だから一度聴き逃したなら、同じ番組は二度と聴けないのがラジオ番組の特徴だった。
ラジオ好きを救ったradiko
ある時、画期的な技術がラジオ好きにもたらされる。
スマートフォンやアプリ・パソコンでラジオが聴ける無料のサービス・radikoだ。
radikoはラジオ放送をインターネットで同時にサイマル配信(ライブストリーミング)するインターネットラジオの一種。
何と1週間以内に放送された番組が聴けるタイムフリー聴取機能付き。
おまけに日本全国のラジオ局が聴くことのできるサービス(有料)まで付いている優れものだ。
radikoのおかげで、仕事でどうしても聴けなかった番組が、放送後1週間以内であれば好きな時間にいつでも聴けるようになった。
これはラジオ好きには夢のような出来事だ。
しかもradikoはインターネット経由だから、電波の良し悪しに左右されずにラジオを聴くことができる。
引っ越しで電波状況が芳しくなくなった著者にとって、radikoは神器とも呼べる代物であった。
ラジオ熱、再び
久しぶりにラジオが傍にある生活が返ってきた。
昔とは番組もガラリと変わっていたが、新しい番組との出会いもまた嬉しいものだ。
新たなお気に入り番組を見つけると、ラジオを聴く機会も次第に多くなってくる。
大好きな『スナックラジオ』とも出会うことができたのも、radikoのおかげといえる。
また昔の超お気に入り番組が、いつの間にか終了してしまっていたのは悲しかった。
『アヴァンティ』。
大好きだったのに…
昔のお気に入り番組『アヴァンティ』の枠は、奇しくも今のお気に入り番組『スナックラジオ』とほとんど変わらない土曜日の夕方。
しかし土曜の夕方というのはラジオ界ではゴールデンタイムなのだろうか?
いつの時代でも、秀逸な番組が揃っているイメージがある。
かと思えばもうひとつのお気に入り番組は、いつの間にやら長寿番組となっていた。
『安部礼司』。
今やシーズン…17とか言っていたか?
こちらは今なお絶好調のようで嬉しく思う。
奇跡的なタイミングで耳にした道路交通情報
ラジオが傍にある生活の中で…
radikoのおかげでラジオがまた身近なツールとなった。
懸案だった電波状況も、radikoならば関係ない。
聴き逃しの心配もなくなった。
ラジオ生活万歳だ。
こうなると不思議なもので、暇さえあればラジオを聴くようになってくる。
いよいよラジオが傍にある生活が完全に戻ってきた。
とある番組で耳にした道路交通情報
ラジオを習慣が身についてきて久しい、ある夕方の番組を聴いていた時のこと。
それはいつもの道路交通情報だった。
それまでも道路交通情報は何度も耳にしていて、そのたびにSさんのことを思い出していた。
だが、昔聴いたSさんの声と出会うことはなかった。
部署が変わったのか、退職されたのか。
事情はわからないが、なんとなく寂しい気分になっていたことだけはたしかだ。
そしてこの日も、いつもと変わらない道路交通情報になるはずだった…。
道路交通情報センターのWさん
道路交通情報がはじまり、いつも通り何の気無しに聴いている。
担当するのはWさんという方。
最近の交通情報では初めて耳にする名だ。
なんとなくSさんを思い出させる、何とも穏やかで聴きやすい声だった。
また少し寂しい気分になる。
ひとしきり交通情報が伝えられると、番組パーソナリティとの若干の絡みがはじまった。
そのパーソナリティとWさんは初絡みだったようで、Wさんの自己紹介がはじまる。
その自己紹介を聴いて、我が耳を疑った。
奇跡的な再会
道路交通情報センターのWさんは話し出す。
W:「私、Wといいますけど結婚する前はSといいまして…」
ん?
W:「このたび職場復帰しましたので、今後ともよろしくお願いします」
な…何⁉︎
では、本当にあのSさんなのか!
そう。
声の主はあのSさんだったのだ。
しかもこの時が復帰一発目のような会話じゃないか!
古くからのラジオファンは、これを聴いて泣いて喜んだことだろう。
もちろん著者も、何故だかテンションが爆上がりしていた。
まさかこんな奇跡的な再会があるなんて…。
だがSさんがわざわざ復帰を口にしてくれなかったら、もしかしたら気づかなかったかもしれない。
あの日、あの時、あの瞬間にラジオを聴いていた自分を褒めてあげたい気分でいっぱいになった。
その後のWさん
それからはたびたびWさんが担当する道路交通情報を聴いている。
たまに旧姓を名乗ったりもしているけど、そのたびにあの頃を思い出す。
ご本人に届けるつもりもないし、わざわざ伝えることでもないが、この場を借りてWさんには感謝の意を伝えたい。
Wさん、復帰してくれてありがとう。
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