小芝風花主演ドラマ
波よ聞いてくれ
『波よ聞いてくれ』とは
『波よ聞いてくれ』(英語: Wave, Listen to me.)は、沙村広明先生による青年漫画。
北海道札幌市を舞台に、主人公がひょんなことからラジオパーソナリティとしてデビューし、奮闘する姿を描く。「月刊アフタヌーン」(講談社)にて、2014年9月号から連載。
2020年にテレビアニメ化され、2023年4月期にはテレビ朝日系列でテレビドラマ化もされた。
テレビドラマ『波よ聞いてくれ』とは
テレビドラマ『波よ聞いてくれ』は、2023年4月21日から6月9日までテレビ朝日系「金曜ナイトドラマ」枠で放送された。
主演は小芝風花さん。
ラジオ局のロケーション撮影は栃木県を放送エリアとしているエフエム栃木にて行われている。
また、同局の番組「RBZ friday」では放送期間中、出演者が見所を伝えるコーナーが放送された。
原作の舞台は北海道札幌市だが、テレビドラマでは千葉県の架空の街・沙村市高崎区舞波町に設定変更されている。
第2話以降、番組の冒頭で人気ラジオパーソナリティが前話までのあらすじをラジオのDJ風に紹介してくれる。
あらすじ(テレビドラマ)
第1話
スープカレー屋「VOYAGER」で働く鼓田ミナレは、地元のラジオ局「MRS」のディレクター麻藤兼嗣に嵌められ、須賀光雄に失恋した上、騙されて金を持ち逃げされたと愚痴る様子をラジオでオンエアされる。
ミナレは抗議に向かうが、逆に麻藤に言いくるめられ、ラジオでアドリブトークを披露することになる。
第2話
『波よ聞いてくれ』に怪奇現象について調べてほしいという依頼ファックスが寄せられる。依頼者の沖進次はミナレと同じマンションの下の階の住人だった。
取材に訪れたミナレとADの南波瑞穂は天井から血が滴るのを目撃する。
天井裏に上がったミナレは肉塊を発見し、警察に通報する。
しかし、天井裏の肉塊はミナレが床下収納に放置した実家から送られたマトン肉が腐ったもので、ミナレは番組で公開謝罪する。
第3話
MRSの人気ラジオパーソナリティ・茅代まどかの大学時代の元交際相手・鶴田竜也は寄りを戻そうと、彼女の番組へ想いを伝えるメールを一方的に送信する。
思いが通じなかった鶴田はVOYAGERを訪れ、『波よ聞いてくれ』の中でまどかに公開プロポーズをさせてほしいとミナレに懇願する。
ミナレは鶴田の公開プロポーズを放送するが、直後に彼に公開説教をする。
番組に乱入したまどかにも「あなたは私の人生に必要ない」と断言される。
第4話
放送作家・久連木克三が出版社のセクシーな女性・穂隠愛理をVOYAGERに同伴する。
翌日、連絡が取れなくなった久連木から普段とは違う丁寧すぎる文面で、番組台本と意味不明のラップの歌詞がMRSへ送信されてくる。
ミナレが歌うラップをエンジニアの箱坂富美が逆再生すると「タスケテクレ カンキンサレテイル…」と聞こえ、指摘する空きビルに向かうと、久連木は公共電波の面白い番組の復権を目論む花輪富明を支持する謎の集団に監禁されていた。
花輪は電波ジャックの正当性を主張するが、必死にもがき番組制作しているので、ほっておいてくれとミナレに一蹴され、その言葉に負けを認めた穂隠は、久連木を解放する。
第5話
夜な夜な外出するVOYAGERのスタッフ城華マキエを心配する同僚の中原忠也は彼女を尾行し、ミナレは番組にするためそれに同行する。
マキエはHCBラジオの『アナグマ禁猟時間』で人気の芸人・アナグマ治郎と彼の自宅マンションに入り、ほどなく、治郎と破局したグラビアモデル・大神みんとも彼の部屋に入室する。ミナレたちは治郎の部屋に突入すると、みんとがマキエに寝取られたと治郎に包丁を向ける真っ最中であった。
マキエは自分が『アナグマ禁猟時間』で話題をさらった投稿者・ジョーカー・スコンスキーと明かし、治郎の所有する古いラジオ番組の資料を閲覧するため部屋を訪れ、誤解を招いたと謝罪する。
マキエはシスコンの兄・城華亨の束縛から逃れるため、放送作家として独り立ちすると兄に宣言する。
第6話
MRSラジオの『ヒロナツ・トーク』で人気のカップルインフルエンサー・澤木廣貴と西堀菜樹は奇抜発言で目立とうとリスナーの容姿をけなし番組が炎上するが、『波よ聞いてくれ』のほうがさらに過激な番組だと炎上を飛び火させる。
番組ディレクターの前下友亮は炎上を鎮静化させようと『波よ聞いてくれ』で謝罪文を読み上げさせ幕引きを図ろうとするが、ヒロナツが自分たちの言葉で謝罪しないことをミナレに公開説教され、編成部長の大祝香も謝罪の意思がないと判断し、「ヒロナツ・トーク」の番組打ち切りが発表される。
第7話
『波よ聞いてくれ』に、引きこもりの長男の悩みを聞き出して欲しいと母親から依頼メールが届く。
麻藤に制作を任され乗り気の瑞穂は渋るミナレを伴い、依頼者の多野家を訪問、連れ子を持つ片親同士が再婚後、実父が亡くなり、家族に血縁関係が一人もいなくなった青年・多野潤一と接触する。
潤一は劣等感の強い青年で、2年前、義母の深雪が彼が勤めていた会社の先輩と再婚すると知り、家から追放されると疑心暗鬼となり、籠城するようになったとミナレの強引なネゴに屈し告白する。
本当の依頼者の義妹・衿子が心配する中、潤一はミナレに老人ホームの出張スープカレー店で働かされ、高齢者と接し立ち直ったと思われたが、一人暮らしするのに、老人と同じく劣等感を抱かないであろう犯罪者相手の刑務官を目指すと宣言する。
最終話
ミナレの母・鼓田唯が目標もなく生きるミナレに堅実な男性と見合いさせると北海道から現れ、周囲を説き伏せ彼女を連れ帰ろうとする。
ミナレは日本一のラジオパーソナリティになる夢があり、ラジオ業界最大のイベント『ジューンブライド・ラジオ』の出演者の最終候補に選ばれたと告げたことから、唯はイベント出演がダメならば見合いをするよう条件を突き付ける。
イベント出演の選考に影響する次回放送の『波よ聞いてくれ』にミナレは意気込むが、放送直前に千葉で地震が発生し、街全体が停電となる。
番組は放送休止になると思われたが、麻藤は「こういう時だからこそ、お前の声をラジオで届ける意味がある」とミナレをMRSに呼び出し、被災で不安なリスナーに向けミナレは地震情報を織り交ぜ夜明けまでトークを繰り広げる。
ミナレの放送を聞き、彼女が周囲から愛され必要とされていると知った唯は、麻藤に娘をよろしく頼みますと挨拶し、北海道に引き返す。
主要登場人物
鼓田ミナレ
演 - 小芝風花
本作の主人公。
スープカレー屋のアルバイトから、地元ラジオ局で深夜ラジオのラジオパーソナリティとなる。
麻藤兼嗣
演 - 北村一輝
ミナレをラジオ業界に導く制作チーフディレクター。
南波瑞穂
演 - 原菜乃華
麻藤の部下でAD。
マンションを追い出されたミナレを自宅アパートに招き入れる。
中学生のころから放送作家としてファンであった、年の離れた久連木に想いを寄せる。
落ち込むと一心不乱に包丁を研ぐ癖がある。
箱坂富美
演 - 井頭愛海
レコーディングエンジニア。
久連木克三 / 呉ひさき
演 - 小市慢太郎
瑞穂が憧れを抱くMRSの雇われ放送作家。
「呉ひさき」名義で官能小説家を兼業している。
茅代まどか
演 - 平野綾
人気ラジオパーソナリティ。
ミナレに敵対心をむき出しにする。
中原忠也
演 - 片寄涼太
ミナレの同僚。
ミナレに好意を寄せる。
城華マキエ
演 - 中村ゆりか
「VOYAGER」に突如現れ、ミナレと中原に接近する謎の美女。
店長を負傷させた兄の贖罪に、VOYAGERでバイトとして働くようになる。
シスコンの兄・亨に自宅に6年間軟禁されていたが逃げ出し、中原に誘われ彼の自宅に居候する。
投稿ネーム「ジョーカー・スコンスキー」でラジオ番組にネタを投稿し、放送作家を志望する。
宝田嘉樹
演 - 西村瑞樹
店長。
同性愛者でイケメン細マッチョがタイプ。
シセル光明
演 - 小芝風花(二役)
小劇場や地方ラジオで活躍する麻藤の憧れの女芸人。
故人。
北海道出身。
当時テレビマンだった麻藤にテレビ出演を口説かれる。
20年近く前に、ネット社会の到来とその影響力を予見していた。
ミナレと容姿がよく似ているが、芸風はインテリで正反対。
生前、渡航前にミナレを連想させる姪っ子の存在を麻藤に語っていたが、少なくともミナレの母方の親戚ではないと明らかになる。
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小芝風花の覚醒がみえた傑作ドラマ
小芝風花さんの覚醒
小芝風花さんは著者が推す俳優さんのひとり。
彼女の一般的なイメージは、おそらくだがドラマ『妖怪シェアハウス』によるものが大きいのではないだろうか。
元気ハツラツ、快活で前向きな素直で良い娘。
きっとこんな印象だろう。
実際それだけではないのだが、そのイメージの定着のせいで近年オファーされる役どころが限定されかけてきていたように思う。
すなわち、世間一般の小芝風花像から逸脱しない安全無害なキャスティング。
だからこそ、本作への出演は嬉しさの反面、不安もいっぱいだった。
本作の主人公・ミナレは、元気ハツラツ、快活で前向きな素直で良い娘とは真逆のキャラクターだったからだ。
毒舌やさぐれヤンキーキャラのミナレを、小芝風花さんがどう演じるのか?
本作の評価は、その一点にのみ絞られていた。
しかし蓋を開けてみたら、そんな不安はただの杞憂。
毒舌やさぐれヤンキーキャラを見事に演じきった、小芝風花さんの覚醒をビリビリ感じられるほどの好演を魅せてくれている。
膨大なセリフ量を見事に演じきる姿は圧巻
本作主人公のミナレは、滑舌の良さやマシンガントークを武器にラジオパーソナリティーとして活躍していく。
そんな役どころだけに、初っ端から1シーンで100行に迫るセリフ量が待ち受けていたそうだ。
しかもその100行。
もちろん、ただ読めばいいというわけではない。
聴き取りやすいよう滑舌良く喋らなくてはいけないし、抑揚もつけなくてはいけない。
おまけにマシンガントークはラジオパーソナリティとしてだけではなく、素のミナレでもあるからどのシーンでも休まることはない。
マシンガントークバトルのシーンでは、なんとワンシチュエーションで台本16ページ分におよぶ膨大なセリフ量だったという。
そんな常軌を逸した台本を、書く方も書く方なら演らせる方も演らせる方ではあるが、それを見事に演じきった小芝風花さん。
まさに圧巻。
主演女優賞モノの演技であった。
ちなみに、風花さんが全8話を通して喋ったセリフは計2234行という膨大な量だったという。
覚える方も凄いが、数える方もどうかしている。
正気な沙汰ではないが、しかしこの挑戦こそ本作を傑作たらしめた所以である。
台本を渡された風花さん…いったい何を思ったのだろう…。
さらに余談だが、クランクアップを迎えた風花さんは、スタッフ・キャスト全員から「強烈マシンガントーク&ありえないような量のセリフを覚えたで賞」が贈られた模様。
風花ちゃん、本当によく覚えた。
素晴らしい。
脇役のキャスティングもズバリ
新たな推しの発見とバイキング・西村の好演
本作のキャスティングは新しい発見をもたらしてくれた。
麻藤兼嗣役を演じた北村一輝氏は、元々好きな役者さん。
原作とはキャラが違っていたが、北村氏らしいインチキぶりがとても良かった。
本作のキャスティング(小芝風花さんを除く)で一番秀逸だったのは、茅代まどか役を演じた平野綾さんをおいて他にないだろう。
女優、歌手、アイドル、タレントなどマルチに活躍する彼女だが、本職は声優さん(でいいと思われる)。
そして実際にラジオパーソナリティもこなす。
本物のラジオ番組を彷彿とさせる喋りのプロの実力は、是非観てほしい本作の見所のひとつである。
また久連木克三 / 呉ひさき役を演じた小市慢太郎氏も、見ればわかる俳優さん。
良い感じの味がある演技を魅せてくれている。
個人的な収穫といえば、新たな推しが見つかったこと。
南波瑞穂役を演じた原菜乃華さんと、城華マキエ役を演じた中村ゆりかさんは、今後注目したい俳優さんとなった。
真逆のふたりの共演が観れる本作は、個人的に眼福の作品になった。
しかし悔しいかな、一番意外な好演を魅せてくれたのが宝田嘉樹役を演じたバイキング・西村瑞樹氏。
セリフに若干の不安はあるものの、お姉系カレー屋店長を驚くほど見事に演じてくれている。
語弊があるかもしれないが、何の違和感もないところが凄い。
バイキング・西村氏も、本作で新境地を開いたと評してもけっして過言ではないだろう。
唯一、あまりに原作と掛け離れすぎる上に、お世辞にも演技が巧いとはいえない役者さんがひとりだけいたことが残念でならない。
アニメ版を超えた?
感動の最終話はラジオの素晴らしさを教えてくれる
ラジオパーソナリティが主人公の本作。
ラジオの特徴は、言うまでもなく音声のみで情報を伝える点にある。
聴覚のみに訴える為に独自の世界観・領域を持つともいえる。
制作も容易なことから番組制作上も様々な場面で機動性を発揮することができる。
そんなラジオの本領が一番に発揮されるのが災害時である。
ラジオは、災害時にもすみやかに広範な情報伝達が可能な汎用性の高い唯一無二のメディアなのである。
おまけに地域密着度も高い上に、オンタイムでの情報更新も可能。
ラジオから聴こえるパーソナリティの声は、安心感をも与えてくれる。
ひとりじゃないと教えてくれる。
ラジオとは、実は人と人との繋がりを感じることのできる、とてもあたたかいツールなのである。
そんなラジオの特性と魅力を最大限に伝えてくれるのが本作の最終話。
劇中ラジオで流されるZARDの「負けないで」が、これほど感動的に聴こえたの久しぶりのことだった。
ちなみにZARDの「負けないで」は、本作第1話で一番最初にラジオのオンエアにのった曲。
まったく芸が細かい。
そんな最終話。
アニメ版も大変良かったが、膨大なセリフ量で喋り続ける小芝風花さんの姿が、アニメよりドラマの方がより現実的に感じられた。
すでに何回も観ている最終話だが、毎回泣かされてしまうほど本作最終話はラジオの素晴らしさを如実に物語っている。
そういう意味でも、本作はより多くの人に是非観てもらいたい作品である。
ラジオ業界最大のイベント『ジューンブライド・ラジオ』編で劇場版化だ(希望)!!
放送終了してすぐ、すでに続編の要望が上がりまくっている本作。
テレ朝としては、この優良コンテンツを見過ごす手はないだろう。
そこで思ったのだが、もしかしたらテレ朝さん。
『ジューンブライド・ラジオ編』で劇場版化を狙っているのではないだろうか?
幾度となくドラマ本編で語られてきたラジオ業界最大のイベント「ジューンブライド・ラジオ」。
劇場版化するにはもってこいのテーマではないか。
おまけに風花ちゃんには『妖怪シェアハウス』が劇場版化されたという実績がある。
あくまでも予想でしかないが、割と現実味があると思うのだがどうだろう?
著者としては、劇場版化などと大層なことはしなくともスペシャルドラマ、もしくはSeason.2という形でも、続編を制作してもらえればそれで満足なのだが…。
劇場版もしくはスペシャルドラマもしくはSeason.2のオープニングは、ミナレがドラマの最後の最後に提供が被りながらも裏で喋っていた「昔、インフラのことをインド式フラダンスだって教えた高橋」の話題から始まってくれたら最高だ。
こんなところまでは誰も観ていないか…。
兎にも角にも、テレ朝さんには続編の制作を強く望む。
この作品が多くの人の目にとまりますように。
そしてラジオの素晴らしさが、たくさんの人に伝わりますように。
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