日本映画
クライマーズ・ハイ
※本稿にはネタバレを含みます。ご注意下さい。
群馬県、御巣鷹山にJAL123便墜落…地元が現場となった新聞記者たちの激動の1週間
日本映画『クライマーズ・ハイ』とは
ジャンボが墜落。
全権デスクを命じられたのは、
組織から孤立した男だった――――。
1985年8月12日。
死者520名―――――
世界最大で最悪の単独航空機事故発生。
当時、地元紙の社会部記者としてこの大事故を取材した作家・横山秀夫氏(「半落ち」)が自らの壮絶な体験を元に17年の時をかけて書き上げた渾身作「クライマーズ・ハイ」。
発刊時各賞を席巻、大ベストセラーの本作が、
遂に映画となって登場する!
使命に燃える主人公・悠木和雅を演じるのは、映画、舞台、テレビと幅広く活躍する堤真一氏
(『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、CX『SP』)。
そして悠木に憧れつつも反発する県警キャップの佐山達哉に堺雅人氏(NHK『篤姫』、『ジ
ャージの二人』)。
男社会の中で奮闘する新人女性記者・玉置千鶴子に尾野真千子さん(『殯(もがり)の森』)。
悠木の同僚で親友・安西耿一郎に高嶋政宏氏(『隠し砦の三悪人』)。
冷酷なワンマン社長に山崎努氏(『クロサギ』)。
メガホンをとるのは、社会はドラマから娯楽超大作まで傑作を生み出し続ける原田眞人監督
(『金融腐蝕列島〔呪縛〕』、『魍魎の匣』)。
日本人の記憶に刻まれた、あの夏―――。
23年の時を経て、濃密な日々がスクリーンに蘇る。
記者たちと共に未曾有の一週間を体感せよ!
監督:原田眞人
製作:若杉正明
原作「クライマーズ・ハイ」
クライマーズ・ハイとは、登山者の興奮状態が極限まで達し、恐怖感が麻痺してしまう状態のことである。
2003年1月、「別册文藝春秋」に掲載され、8月25日に文藝春秋から単行本が刊行された。
週刊文春ミステリーベストテン2003年第1位、2004年本屋大賞第2位受賞。
著者が上毛新聞社の記者時代に遭遇した日本航空123便墜落事故を題材としており、群馬県の架空の地方新聞社を舞台に未曽有の大事故を取材する新聞記者とそれを取りまとめるデスクの奮闘を描く。
現場取材、記事の扱いについてのそれぞれの記者の思い、記事の割り付けといった編集部門のことだけでなく、広告・印刷・配送部門も含めた新聞社全体の仕事の流れも扱っている。
日本航空123便墜落事故
日本航空123便墜落事故は1985年(昭和60年)8月12日(月曜日)、日本航空123便(ボーイング747SR-100)が群馬県多野郡上野村の高天原山山中ヘ墜落した航空事故である。
日航ジャンボ機墜落事故とも言われる。
520名の死者を出し、日本の民間航空史上最悪の事故であると共に、単独機としては死者数において史上最悪の航空事故となっている。
乗客乗員524名のうち死亡者数520名、生存者4名で、前述の通り民間航空史上最悪の航空事故であるとともに、2023年時点で単独機の航空事故としては世界最多の死亡者数となっている(複数機が絡んだ事故を含めると、1977年3月のテネリフェ空港ジャンボ機衝突事故[死者数583名]に次ぎ史上2番目の死者数となる)。
また本事故は2024年に羽田空港地上衝突事故が起きるまでは、日本航空としては最後の機体全損事故であった。
夕方のラッシュ時とお盆の帰省ラッシュが重なったことなどにより、著名人を含む多くの犠牲者を出し、社会全体に大きな衝撃を与えた。
特に本件事故を指して「日航機墜落事故」「日航ジャンボ機墜落事故」と呼ばれる場合もある。
あらすじ
走り、叫び、書いた。
新聞記者たちの激動の一週間。
群馬県、北関東新聞社。
地元が現場となった航空機事故の全権デスクに任命されたのは、組織から一線を画した敏腕記者・悠木(堤 真一)だった。
モラルとは?
真実とは?
新聞は<命の重さ>を問えるのか?
プレッシャーに押しつぶされながらも信念を通そうと必死にもがいた悠木が見たものは?
登場人物
- 悠木和雅(遊軍・日航機事故担当全権デスク):演 - 堤真一
- 佐山達哉(社会部・県警キャップ):演 - 堺雅人
- 玉置千鶴子(地域報道班):演 - 尾野真千子
- 等々力庸平(社会部長):演 - 遠藤憲一
- 岸円治(政経部デスク):演 - 田口トモロヲ
- 田沢善吉(社会部デスク):演 - 堀部圭亮
- 山田厳(地方部デスク):演 - 金子和
- 吉井弁次郎(整理部):演 - マギー
- 神沢周作(地域報道班):演 - 滝藤賢一
- 伊東康男(販売局長):演 - 皆川猿時
- 亀嶋正雄(整理部長):演 - でんでん
- 守屋政志(政経部長):演 - 矢島健一
- 暮坂直樹(広告部長):演 - 樋渡真司
- 稲岡信也(投稿欄担当):演 - 山田明郷
- 森脇時彦(地域報道班):演 - 矢柴俊博
- 藤浪鼎(事故調査委員長):演 - 大鷹明良
- 黒田美波(元・社長秘書):演 - 野波麻帆
- 安西小百合(安西耿一郎の妻):演 - 西田尚美
- 粕谷隆明(編集局長):演 - 中村育二
- 追村穣(編集局次長):演 - 螢雪次朗
- 安西燐太郎(安西耿一郎の息子・成長後):演 - 小澤征悦
- 安西耿一郎(販売部):演 - 髙嶋政宏
- 白河頼三(社長):演 - 山﨑努
1985年(昭和60年)当時の空気感を完全再現
著名人を含む多くの犠牲者を出し、社会全体に大きな衝撃を与えた「日本航空123便墜落事故」。
夏休みの真っ只中に起こった事故だったこともあり、朝から晩までワイドナショーやニュースは事故の関連情報一色に染まった。
知人の中に、大阪に向けて羽田空港を飛び立った日航123便が洋上をフラフラと飛んでいる様子を目撃した者もいて、その話を後に聞いた時、子供ながらに衝撃を受けたことを今でもはっきり覚えている。
本作では、あの未曾有の大事件に直面した地元地方新聞社の新聞記者たちの奮闘と彼らをまとめる全権デスク・悠木和雄(堤真一)の刻苦と葛藤。
さらに編集部門以外の広告、販売、印刷など新聞社内部の流れや各部署との駆け引きが、1985年当時の空気感を完全に再現されリアルに描かれている。
携帯電話はおろかワープロや無線さえもないなか、未開の事故現場へ登る取材の不便さと過酷さや、昭和のコンプライアンスゼロの鉄火場のような職場の雰囲気は、あの時代を生きた人には懐かしく、今の若い人には想像できないだろう。
ワイドショーやニュースが伝えなかった事故直後のリアルで凄惨な現場風景
本作で何より印象に残っているのが、ワイドショーやニュースが伝えなかった事故直後の凄惨な現場風景が、非常にリアルに描かれていたことである。
では、なぜワイドショーやニュースで伝えられなかったというと、それは墜落現場の特定が大幅に遅れたことに起因する。
墜落時間は8月12日の18時56分。
だが、地元の消防団員が生存者の落合由美さんを発見したのは、翌日午前10時54分だった。
自衛隊が現場を特定したのも、公式には翌朝になってからということになっている。
つまり、墜落現場の映像がメディアに飛び込んできたのは、夜が明けてからということになる。
だが本作では地元紙の強みを活かし、墜落場所をいち早く特定している。
そして県警キャップの佐山(堺雅人)とサポートの等々力(滝藤賢一)が墜落場所へと向かうことになる。
だがそこは、ワイドショーやニュースで見た光景とはまったくの別物であった。
まさに地獄絵図。
阿鼻叫喚の凄惨な事故現場を目のあたりにする、記者の二人。
とはいえ、さすがにこのシーンはあまり深掘りされていない。
だが、よほどの地獄をみたのだろう。
現場を取材して戻ってきた時には、二人の眼光が別人になってしまっていた。
特に誰よりも記者の顔になっていた佐山(堺雅人)の目は印象的で、怖いくらい真に迫っていた。
この目が、墜落直後の現場の様子を如実に物語っている。
日本航空123便墜落事故の謎に迫る
日本航空123便墜落事故には謎が多い。
前述した通り、なぜか墜落現場の特定が大幅に遅れている。
内陸部に墜落したのだから、機体は直前まで、確実にレーダーで捉えられていたはずだし、近隣住民も火の手が上がるのを目撃している。
当時、地元の自治体からは県や国に通報もなされているのだが、なぜか墜落現場は現場とは無関係の長野県とされるなど、翌朝まで報道が二転三転し、特定されなかった。
もっと不思議なことは、米軍が墜落直後に横田基地から輸送機を現場に飛ばし、上空から山が炎上するのを確認し、自衛隊に通報するとともに、米軍輸送機の誘導で厚木基地を飛び立った米軍の救難ヘリが現場に到着しているのだ。
だが、救援ヘリは、救助開始寸前に作戦中止を命じられ、何もせずに引き返している。
つまり米軍は最初から墜落現場を完全に特定していたにもかかわらず、何故か日本政府には伝わっていないことになっているのだ。
すぐに救出に向かえば多くの人命が救えたにもかかわらず、現場の特定が大幅に遅れた。
ここで注目すべきは、墜落直前の123便を2機の自衛隊のファントム機が追尾していたという複数の目撃証言だ。
この証言のなかには、当時の小学生が事故の状況を綴った文集の中での証言も含まれている。
はたして、子供が嘘をつくだろうか。
この証言を前提にするならば、日本政府は当初から墜落現場を完全に把握していたことになる。
それでは、公式に機体を発見したとされる翌朝まで、自衛隊は一体何をしていたのだろうか。
証言によると、現場にはガソリンとタールを混ぜたような強い異臭がしていたそうだ。
また、現場の遺体は、通常の事故では、あり得ないほど完全に炭化していたという。
ちなみに自衛隊を含む軍隊が使う火炎発射機は、ガソリンとタールを混合したゲル状燃料を使用している。
これらの意味するものは?
初めて本作を観た時、全権デスク・悠木(堤真一)の態度の意味がわからなかった。
ジャーナリストがらみすみす大スクープを落とすような真似をする意味がわからなかった。
だが、多少なりとも事故についての知識を得た今なら、その理由が少しわかるような気がする。
日本航空123便墜落事故の原因は、公式には圧力隔壁の修理ミスによる破壊と、それに伴う油圧システムの全喪失による操縦不能とされている。
たとえばもし、発表されたこの事故原因が、不都合なことを隠すための情報操作だったとしたら?
本作を観る限り、全権デスク・悠木(堤真一)にその確信はない。
だが、何か直感めいたものがあったのだろうか。
だからこそ葛藤した。
結果的にスクープを落とす。
やはり何かを嗅ぎ取っていたからだったのかもしれない。
たまに無性に観たくなる衝動に駆られ、各種配信プラットフォームを漁り本作を探す。
だが、どこを探しても『クライマーズ・ハイ』は見つからない。
見放題にないのは仕方ないとしても、レンタルですら見つからないのはいったいなぜだろう。
もしかしたら真相に迫りすぎてしまったから?
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